飲食店経営の原価・人件費はどう下げる? FL42%を実現するコスト削減術
飲食業界において、売上に対する食材費(Food)と人件費(Labor)の割合を示す「FL比率」は経営の行方を左右する大きな指標です。
一般的に60%〜65%が適正と言われる中、驚異の「FL比率42%」という数字を叩き出しているお店があります。
「目の前に月商200万円に届かない経営者がいたら、まず何をアドバイスするか?」
そう問われて語るのは、人気の街・学芸大学の2階に店を構える「nicome」オーナーの吉村さんです。
このお店には、これからの飲食店経営のヒントとなる徹底した合理化戦略がありました。
街のニーズに合わせて「こだわり」を捨てる
オープン当初はイタリアン寄りの大皿料理などをメインにしていましたが、売上が200万円に届かない月もありました。そこで吉村さんが取った行動は、自分たちの「こだわり」を手放すことでした。
【吉村さん】
「まず1個言うとしたら『こだわりは捨てる』。自分たちがやりたいことと、その町とかニーズにそれが刺さってるかどうかがやっぱ違うんだなっていうのは思って。」
学芸大学は、少しずつ料理をシェアしたり、2〜3軒をハシゴしたりする街です。
そこで、おつまみ感覚で気軽に来れるスタイルに変え、トータルの支払い額が抑えられるようドリンクの価格も下げました。
結果として若い世代の頻度高い来店に繋がり、現在では月商400万円を超えるまでに成長しています。
極限までロスをなくす「フード原価26%」の裏側
ナチュールワインやクラフトビールなど原価の高い商品を扱いながら、どのようにこの数字を実現しているのでしょうか。
【吉村さん】
「発注する時も同じような業者の2つ画面を開いて、安い商品を見比べて発注するとか。本当にちっちゃいことなんですけどそこで利益が取れる。」
さらに、1つの食材を極限まで使い切ることも徹底しています。
例えばブリであれば、塩焼きやアクアパッツァなど1つの食材から5品ものメニューを展開しています。
「もったいない」という思いからくるこうした工夫が、原価率の低減に直結しています。
社員ゼロ、隙間時間で回す「人件費15%未満」の組織論
現在、お店に社員はおらず、吉村さん1人とスポットで入るアルバイトだけで回しています。
【吉村さん】
「元々大学生でうちに働いてくれてた子が社会人になって、(中略)普段はもう働いてるけど開いてる時間また手伝いに来ますねみたいな子も多いですね。」
ピークタイムの必要な時だけスタッフを配置できるため、自然とコストが下がっています。
ただ働いてもらうだけでなく、普段の社会人としての話を聞いたり、様々な業界のビジネスの話を吸収したりと、お互いにとってメリットのある関係性を築いているからこそ成り立つ組織論です。
誰でも「映える」一皿が作れる仕組み化
魅力的な盛り合わせメニューも、実はアルバイトスタッフが作れるようにマニュアル化されています。
【吉村さん】
「ちょっとお皿の中心にまとめた方が収まりいいよみたいな、そういう声かけとかでも写真と文章でLINEで共有して、そしたら基本的にはみんなすぐ作れますね。」
緑やオレンジなど同じ色が隣り合わないようにする配置のルールを決め、仕込みも簡略化しています。
クオリティを落とさずにスタッフに任せることで、オーナー自身は別の業務に時間を使えるようになります。
「こだわりを捨てる」ことから始まり、食材のロス削減、柔軟な人員配置、そして業務の仕組み化。
nicomeのFL比率42%という数字には、これからの飲食店が生き残るための強かで温かい戦略が隠されていました。
本記事の動画:飲食店経営の原価・人件費はどう下げる?FL42%を実現するコスト削減術
撮影協力:学大居酒屋nicome
オーナー 吉村 光平さん
■前編はコチラ
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