【悪立地×ワンオペ】15年続くワイン酒場に学ぶ、追加注文を生む「2杯ルール」と無限ワインのカラクリ
飲食業界において、人手不足による「ワンオペ(1人営業)」や、長引く不況による「お酒離れ」は深刻な課題となっています。
しかし、あえて「飲み物2杯以上」というルールを掲げ、ワンオペでありながら15年もの長きにわたり地元で愛され続けるワイン酒場があります。
「飲み物を注文されないお客様が増えるっていうのは、経営的にも危惧しなきゃいけないところかなっていうのはすごく思いましたね。」
そう語るのは、店主の菊地さん。
コロナ禍を機にワンオペへと切り替え、逆境を乗り越えてきた背景には、顧客心理を巧みに突いた価格設定と、徹底した合理化の仕組みが隠されていました。
飲めば飲むほど安くなる「無限ワイン」のシステム
【菊地さん】
「1杯うちは今税込800円で提供していて、3杯で2300円なので通常より100円安くなって、それが4杯になると2800円。6杯目以降は1杯600円になります。」
この価格設定により、「もう1杯飲んだほうがお得だ」という心理が働き、自然と杯数が進む流れを作り出しています。
中には、1人で来店し2時間で14杯も飲んでいくお客様もいるほどだそう。
スーパーの直輸入も活用。足で稼ぐ「原価コントロール」
菊地さんは年間何百種類ものワインをテイスティングし、価格以上の価値を感じるものを厳選しています。
【菊地さん】
「スーパーみたいなそういうところでも実は直接輸入してるワインとかってあったりするんですよ。そういうところのワインは価格も安いですし、味がちゃんとしていればそれを使うことで原価が下がるので、そういうところのワインもとにかく全部試します。」
あえて高級なワインは扱わず、自分の舌で確かめた美味しいワインを探し出す努力が、この驚異的なシステムを支えています。
また、お客様の8割を占めるリピーターを飽きさせないため、毎月グラスワインの銘柄を変えるという労力も惜しみません。
「飲まない客」のリスクを逆手に取った「2杯ルール」
これはコロナ禍が明け、若年層の来店が増える中で「飲み物を注文しないお客様」への危機感から生まれたものでした。
【菊地さん】
「(注文ルールが)1杯以上だと、本当に1杯の方がなんか増えそうな予感がしたので、2杯っていう風にしておけば『あのお店に行ったんだから2杯ぐらいは普通に飲むよね』みたいな感覚の人を呼び込めるのかなっていうのがありました。」
時代の「お酒離れ」に逆行するようなルールですが、結果的にお店の立ち位置が明確になり、お酒をしっかり楽しむお客様が増加したと言います。
ワンオペを成立させる「前菜盛り合わせ」の仕組み
【菊地さん】
「メニューの数を絞りましたね。当初多分30品ぐらいあったと思うんですけど、25いかないぐらいに。あとはオーダーが入ってからゼロから作るメニューを減らし、ある程度事前にできていて、最後仕上げするとか温めるだけとか、そういう感じのメニュー構成にしました。」
特に工夫されているのが、来店客の8割が注文するという「前菜の盛り合わせ」です。
1つのお皿に7種類が乗ったこのメニューを事前に準備しておくことで、すぐにお客様に提供できます。
お客様がそれを楽しんでいる間に他のメニューを調理する時間が生まれ、1人でもスムーズに営業を回すことができるのです。
飲めば飲むほど安くなる価格設定、「2杯ルール」によるターゲットの明確化、そしてワンオペを成立させるメニュー構築。
一見ハードルが高く見えるルールも、お客様に「お得感」と「居心地の良さ」を提供するための緻密な戦略に裏打ちされていました。
悪立地で15年続くワイン酒場には、これからの個人店が生き残るための強かで合理的なヒントが詰まっていました。
本記事の動画:【悪立地×ワンオペ】15年続くワイン酒場に学ぶ、追加注文を生む「2杯ルール」と無限ワインのカラクリ
■取材協力
ワインボックス バルコ (Winebox Barco)
■その他ワンオペシリーズ
ワンオペ店の工夫
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