あえて非効率を選ぶ!? 月商70万のどん底から大逆転した「記憶に残る」接客術
飲食業界において、モバイルオーダーの導入による利便性の向上は、今や新しいスタンダードとなりつつあります。
そんなデジタルによる効率化が普及する今だからこそ、あえて「お客様との接点」に価値を置き、独自の接客スタイルで月商70万円のどん底から約400万円へと大逆転を遂げたお店があります。
水道橋で「阿酒羅(あしゅら)」を営む角振(つのふり)さんは、飲食店を単に食事を供する場ではなく、「人と人とのつながりが生まれる場所」であると捉えています。
オープン当初の苦労を乗り越え、SNSでのバズと熱狂的なファンを生み出した裏側には、お客様の心理に寄り添う驚きの接客術と演出がありました。
「広告媒体」として突き詰めた写真映えの演出
【角振さん】
「どうやったら写真を撮ってもらうかっていう演出は色々考えてて。カニ味噌をバーナーで炙るところだったり、一品一品が色とりどりになってるとか。(映え写真は)うちでいう広告媒体になりますので」
例えば名物のシュウマイは、せいろに入れたまま客席へ。
お客様の目の前で蓋を開け、その瞬間湯気が立ち上り、中から赤や黄色の色鮮やかな具材が現れます。
これにより、静止画だけでなく開けるところの動画としても、Instagramのストーリーズに上げたくなるという心理を見事に突いています。
前職の中目黒の繁盛店で培った経験を活かし、お店のターゲット層に合うインフルエンサーを招待したことも、初期の認知拡大に大きく貢献しました。
罪悪感なく撮影させる「あえて一旦離れる」接客術
例えば名物の土鍋ご飯を提供した際、スタッフがその場ですぐに料理を混ぜたりする方が効率的ですが、角振さんはあえて「一旦離れる」というスタイルを徹底させています。
【角振さん】
「ちょっとタイミングで混ぜに来ますねって一言伝えて、あえて、ちょっと離れたところに置いておいた茶碗を取りに行き、そのままとりあえずホールを1周する。店員さんが近くにいると逆に撮りづらいんですよ。圧になるから。」
お客様は写真を撮りたいけれど、スタッフを待たせるのは申し訳ないという罪悪感を抱きがちです。
そこでスタッフが意図的にその場を離れることで、お客様は気兼ねなく撮影に没頭できます。
そして、その離れている間に他のテーブルのオーダーを取るなど別の仕事を進め、写真撮影が終わった頃合いを見計らってから混ぜに行く。
一見非効率に見えるこの動きが、お客様に“写真を撮りたくなる瞬間”を意図的に生み出し、結果として拡散につなげる接客テクニックとなっているのです。
モバイルオーダー時代に「記憶に残る」価値とは
【角振さん】
「やっぱり“ここに来て良かった”とか、店員とのやり取りや雰囲気、友人との会話って、意外と記憶に残ると思うんです。だからこそ、そういうところは大事にしています。」
美味しい料理や映える演出だけでなく、スタッフの気遣いや会話の心地良さ。
それらが組み合わさることで、初めてお客様の「記憶に残る」お店になります。
相手の気持ちに寄り添うことが最大の集客
水道橋「阿酒羅」の躍進は、単なるSNSのテクニックではなく、常に「お客様がどう感じるか」に寄り添い続ける姿勢が生み出したものです。
効率化の波に逆行するような「記憶に残る接客」の追求には、これからの飲食店が長く愛されるための本質的なヒントが隠されていました。
本記事の動画:あえて非効率を選ぶ!?月商70万のどん底から大逆転した「記憶に残る」接客術
■取材協力
水道橋 阿酒羅(あしゅら)
■飲食店のSNS戦略について紹介している回はコチラ
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