激戦区・三軒茶屋で選ばれる店のノウハウ。旬の「時期をズラす」だけで売上が変わるタイムラグ戦略


今やSNSでの集客や「映え」を意識した施策は、欠かせない要素となっている飲食業界。
しかし、誰もがそこへ力を入れる時代において、あえてSNS集客に頼らず、「アナログな口コミ」と食材の価値を真っ直ぐに伝えることで激戦区・三軒茶屋で選ばれ続けるお店があります。

「他の店で出してないタイミングで、その美味しい野菜を出せるっていうのは際立つなと。」

そう語るのは、秋田の野菜と日本酒に特化したお店「せきらら」のエリアマネージャー北村さんと店長の藤野さんです。
競合の多いエリアで生き抜くための、驚きの仕入れの工夫と本質的な店づくりの裏側には、これからの飲食店にとって重要なヒントが詰まっていました。

他店が終わった頃に旬が来る。売上を変える「タイムラグ戦略」

同店の最大の強みは、「秋田野菜」を中心とした仕入れです。
ただ産地にこだわるだけでなく、秋田という寒冷地ならではの気候が、他店との圧倒的な差別化を生んでいます。

【藤野さん】
「秋田の野菜は旬がちょっとずれるんです。一般的にスーパーで枝豆が売れ始めてから、1ヶ月から2ヶ月ぐらい遅れて秋田では旬になってくる。」

他店での提供が落ち着く頃に、秋田産の野菜は一番の食べ頃を迎えます。
この「時期をズラす」タイムラグ戦略により、同じ野菜でも他店より長く、かつ印象的にお客様にアピールすることができるのです。

単価を上げる「付加価値」の乗せ方

食材の強みを活かしつつ、店舗のオペレーションと利益率を向上させる工夫も行っています。

【北村さん】
「例えば万願寺とうがらしを焼いて600円で出しますとなった時に、そこに秋田のふきのとうの味噌(蕗味噌)があったら、プラス100円、200円のように商品価値をつけられる。」

複雑な調理技術を必要とせず、シンプルに焼いた野菜に特製のソースや味噌を乗せるだけ。
これにより、経験の浅いスタッフでもクオリティを保ちながら、お客様に高い付加価値を提供できる仕組みを作っています。

「秋田縛り」の日本酒と、的確な提案を可能にするメモ

こだわりの秋田野菜に合わせる日本酒も、冷酒から熱燗まで全て「秋田縛り」で徹底しています。
また、酒瓶には、お客様が食べているものに合う日本酒をスタッフがおすすめできるよう、味覚を補完するメモが。

【北村さん】
「日本酒とアテっていうコンセプトでやっているので、すぐにこの日本酒がどういう味わいかっていうのが一目で分かるようにしています。」
【藤野さん】
「(このメモは)アルバイトの子が全部作ってくれてるんです。」

これにより、知識の浅いアルバイトでもお客様の好みや要望に合わせて的確な提案ができるようになり、顧客満足度の向上にも直結。
また、お客様の「どの日本酒を頼めばいいのかわからない」というストレスを無くし、安心感を提供することにも成功しています。

SNS映えよりも「本質の価値」を伝えるアナログな口コミ集客

過去にはロゴ入りのグラスを作り、SNS映えを狙った時期もありましたが、現在はお金をかけたSNS集客を行っていないと語ります。

【北村さん】
「三軒茶屋という街はコミュニティの街。住んでいる人が多いので、アナログですが口コミで広がっていってもらった方が、最終的に20年、30年と長く続くお店になるかなと。」

秋田ではじゅんさいや山菜の収穫の際クマが出るなど、命懸けで採ってくれる生産者がいます。
だからこそ例えば「グラスが可愛いお店」として消費されるのではなく、生産者の思いや食材の本当の価値を伝えることを第一に考えています。
SNSに頼り切るのではなく、目の前のお客様に寄り添い、確かな価値を伝えていく。
激戦区・三軒茶屋で選ばれるお店の裏側には、流行に流されない実直で強い経営戦略が隠されていました。

本記事の動画:激戦区・三軒茶屋で選ばれる店のノウハウ。旬の「時期をズラす」だけで売上が変わるタイムラグ戦略

■前編はこちら
激戦区・三軒茶屋で選ばれる「野菜」の魅せ方。あえて盛り合わせを解体した理由

■取材協力
せきらら
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