初月で月商1700万。年間500軒のリサーチから導いた「失敗リスクを極限まで減らす」店舗設計


飲食業界において、新規出店は常に高いリスクを伴います。
しかし、そんな「失敗リスク」を徹底的なリサーチによって極限まで減らし、オープン初月で月商1700万円という驚異的な数字を叩き出したお店があります。

東京・新橋にある海鮮居酒屋「ひまり商店」を立ち上げた株式会社Dazy代表の林さんは、事前の緻密な調査と「お客様が思わず自慢したくなる」空間づくりで爆発的なヒットを生み出しました。
林さんのとてつもないバイタリティと計算された戦略の裏側にはどのような秘密があるのでしょうか。

新橋=サラリーマンの街という思い込みを捨てる「逆張り」のターゲット戦略

新橋といえば、サラリーマンの街というイメージが強く、多くのお店が4〜50代男性をターゲットにしています。
しかし林さんは、そこに隠れたビジネスチャンスを見出しました。

【林さん】
「いろんな人が働いているのに、若者にフォーカスしたお店がほとんどない。ゆりかもめが近くに通っていたり、神奈川・埼玉・千葉からもアクセスが近い。飲みに行こうってなった時に新橋が選ばれることが多いのに、デート利用とか友達同士で来るようなお店があまりない。」

首都圏からのアクセスの良さに着目し、あえて若者や女性、デート利用を狙った店舗を設計。
また、近隣の結婚式場の二次会需要などで、結果として、懸念されていた土日の売上が平日を上回るという大成功を収めました。

年間500軒の食べ歩きと、SNSのフォロワーを活用した「盛り付けのA/Bテスト」

林さんの最大の強みは、その圧倒的な行動力に基づくリサーチ量です。
年間約500軒もの飲食店を巡り、良いと思った要素を徹底的に自店舗に落とし込んでいます。

【林さん】
「例えば、お皿が綺麗なお店だったら、写真を撮って、『どこの焼き物で、どれくらいの価格なんですか?』って毎回聞くようにしています。」

同店ではお皿だけで約400万円を投資。
さらに、SNSでバズっている動画の要素が「盛り付け」なのか「内装」なのかを分析し、盛り付けに迷った際には自身の約8000人のInstagramフォロワーに向けてストーリーズでアンケートを取ります。
得票数だけでなく年齢・性別も考慮し、定量的なデータに基づいて決定するという徹底ぶりです。

他店と比較される商品は極限まで安く。店独自のオリジナル料理で利益を出す

激戦区で選ばれるために林さんが重視しているのが、お客様に「コストパフォーマンス」を感じてもらうことです。
客単価5000円の居酒屋は決して安くありませんが、8000円から1万円の"ちょっといい和食店"のような内装や照明を使用し、空間のギャップで満足度を高めています。

【林さん】
「赤星のビンビールを290円で出してる店があるんですけど、他は600円、700円で出してるのに(中略)それだけでコスパを感じるじゃないですか。でも、この店にしかない創作料理が(原価率)40%かかってても、それがコスパがいいのかどうなのかってお客さんはわからない。」

他店と比較しやすいビールや生牡蠣(390円)などは安く提供してお得感を演出し、比較のしようがないオリジナルの創作料理(あて巻きなど)で原価率を調整し、しっかりと利益を残す構造を作り上げています。

翌日の「オフィスでの会話」まで計算された接客マニュアル

また、現代の飲食店経営において欠かせないのが「UGC(ユーザー生成コンテンツ=お客様によるSNS投稿や口コミ)」の創出です。

階段のインパクトや入口の牡蠣のディスプレイなど、写真に撮りたくなる仕掛けを散りばめるだけでなく、スタッフの接客にも思わず口コミしたくなる緻密な計算があります。
産地やこだわりをあえて口頭でしっかりと伝えることで、翌日、お客様がオフィスで、「広島県産の大ぶりの生牡蠣が390円だったよ」と、他人に"美味しそうな文言"で話せる状態を意図的に作り出しているのです。

徹底した顧客視点がもたらす、失敗しない店づくり

林さん自らがお客様と同じ目線に立ち、「どうすれば喜ぶか」「どうすれば口コミしたくなるか」を徹底的に考え抜く。
そして、それを裏付けるために自らが多くの飲食店へ足を運ぶなど、泥臭いリサーチとデータ収集を怠らない。

新橋「ひまり商店」の圧倒的なロケットスタートは、ひらめきや運ではなく、お客様の行動心理と数字に基づいた「失敗リスクを極限まで減らす」計算し尽くされた経営戦略の賜物でした。

本記事の動画:初月で月商1700万。年間500軒のリサーチから導いた「失敗リスクを極限まで減らす」店舗設計

■取材協力
新橋海鮮居酒屋 ひまり商店/株式会社Dazy代表取締役 林 龍男さん

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