【客単価6倍×コスト吸収】蕎麦客がコースを頼む!? 高級店と大衆店で利益を最大化する超・戦略的な店作り


美味しい蕎麦をリーズナブルに提供する。
それが一般的な蕎麦屋のイメージかもしれません。
しかし、単品の蕎麦は1杯990円〜とリーズナブルでありながら、お店全体の平均客単価は約6,000円という高い数字を誇るお店があります。
それが、北海道の真っ黒な「音威子府(おといねっぷ)そば」を提供する「音威子府TOKYO」です。
蕎麦だけで終わらせずコース料理へと誘導し、さらに「食品ロスゼロ」を実現する裏側には、緻密に計算された超・戦略的な店づくりがありました。

1杯の蕎麦からコースへ。北海道の魅力を伝える提案力

音威子府TOKYOが提供するのは、北海道の一番小さな村から届く珍しい「音威子府そば」。
昼は990円、夜は1080円で提供していますが、多くの客が頼むのは3300円から用意されているミニコースです。
わざわざ電車に乗って訪れるターゲット層に対し、スタッフは「蕎麦だけでなく、北海道の旬の食材を少しずつ楽しめるコースがありますよ」と自然に提案します。

【鈴木さん】
「蕎麦だけ食べて帰っていただくと、北海道の魅力が全て伝わらないと思います。季節で取れるアスパラやトマト、トウモロコシなどを少しずつ楽しめるコースを用意し、お客様の要望にお応えする形で提供しています。当店の時間を過ごして、帰る時には北海道を好きになっていてほしいんです。」

無理に勧めるのではなく、お客様がより楽しめる方法としてコースを案内することで、1000円ほどの蕎麦から約6000円の客単価へと大きく引き上げています。

狭さを逆手にとった「ライブ感」と理にかなった調理法

コースで提供される料理も、ただ出すだけではありません。
店内が狭いことを逆手に取り、揚げたてや焼きたての料理を、湯気が立っている熱いうちにお客様の前に届ける「ライブ感」を大切にしています。

例えば、北海道産のアスパラガスは天ぷらにして提供されます。
天ぷらにすることで、アスパラガスに含まれる豊富な水分が中に凝縮され、噛んだ時に旨味がじゅわっと溢れ出します。
また、熱を通すことで細胞が壊れ、疲労回復に良いとされる成分「アスパラギン」などの栄養素も吸収しやすくなるなど、非常に理にかなった調理法が採用されています。

高級店と大衆店の連携が生む「ロスゼロ」の油運用

さらに驚くべきは、高級感のある天ぷらを提供するためのコスト管理の仕組みです。
通常、客単価の高い天ぷら店などでは、鮮度を保つために油を1日に何度も交換し、それが大きなコストとなります。
そこで音威子府TOKYOは、20年以上運営している自社の大衆向け立ち食い蕎麦店と連携する画期的な方法を編み出しました。

【鈴木さん】
「当店で使った鮮度の高い油は、大衆店舗の方へ持っていって使っています。これにより、当店では鮮度の高い油を維持しつつ、油のコストを吸収してリーズナブルな価格でご提供する工夫をしています。」

高級店と大衆店で油をシェアすることで、高いクオリティを保ちながら食品ロスもゼロにする。
まさに戦略的な仕組み化と言えます。

「一点突破」のオペレーションと文化継承の夢

客単価の向上とコスト削減に加え、営業中のオペレーションも「北海道の魅力を伝えること」に特化しています。
仕込みの時間にできる限りの作業を終わらせ、営業中はお客様と会話ができるよう「前を向いて」調理する工夫をしています。
そのため、後ろを向いて作るメニューは看板メニュー以外、極力少なくしていると言います。

【鈴木さん】
「私たちの目的は、美味しいのはもちろん、北海道の体験を伝えることです。音威子府そばが北海道の文化として長く続いていくこと。いつか私たちでなくとも誰かが、エスコンフィールドに音威子府そばのお店を出してくれたらすごくいいなと思っているんです。」

単なる飲食店としての利益追求にとどまらず、確固たる理念のもと「一点突破」で文化を伝えようとする情熱。
それこそが、高い客単価と熱狂的なファンを生み出す最大の原動力なのでしょう。

本記事の動画: 【客単価6倍×ロスゼロ】蕎麦客がコースを頼む!?高級店と大衆店で利益を最大化する超・戦略的な店作り

◆前編はこちら

◆取材協力 音威子府TOKYO/オーナー 鈴木章一郎さん

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