【居抜きに3500万】客単1万を生む炎と空間/営業負担を削る「前日“香り”仕込み」の全貌


飲食店において、客単価を上げるための「付加価値」づくりは永遠の課題です。
そんな中、客単価1万円、滞在時間4時間という高い満足度を誇る「並木橋みりん」。
薪や炭といった「炎」を使った非日常の演出だけでなく、オペレーションの効率化や、居抜き物件を活かした空間づくりにも独自の戦略を持っています。
総額3500万円を投資したという、こだわりの店舗運営の全貌に迫ります。

「藁・薪・炭」を使い分ける。理にかなった香り付けの技術

並木橋みりんの魅力は、なんといっても多様な熱源を使った調理です。
しかし、ただ火を使っているわけではなく、食材に合わせて熱源を明確に使い分けています。

【オーナー・田中さん】
「お刺身だったら藁で、野菜とか肉系は薪で少し香りをつけます。基本的には薪と藁は火を通すというよりも香り付けですね。炭は遠赤外線なので、中まで火を通す時に使います。」

例えば、春キャベツの春巻きは薪で香りをつけます。
ビタミンKやβカロテンが豊富なキャベツは油と一緒に摂取することで栄養の吸収率がグッと高まるなど、美味しさだけでなく栄養面でも非常に理にかなった調理法が採用されています。

提供スピードを上げる「前日の“香り”仕込み」

薪や炭を使った調理は手間がかかり、提供スピードが落ちるイメージがありますが、並木橋みりんでは営業負担を削る画期的なオペレーションを取り入れています。

【田中さん】
「例えば春巻きも、前の日に全部薪で香り付けをしておいて、当日は揚げるだけにしています。最初は1日経つと香りが飛んでしまうと思っていたのですが、意外とそんなことはなくて。付加価値もつけられて提供スピードも時間(手間)がかからないので、薪焼きはいいところしかないですね。」

また、メニューは一気に変えるのではなく、月1回来店するお客様などに合わせてポイントごとに変更。
生産者とコミュニケーションを取りながらベストな調理法を探求し、「お客様の『美味しい』が聞きたい」というひたむきな姿勢がメニュー開発の軸になっています。

居抜き物件に3500万。あえて「絨毯」を選ぶ空間戦略

店舗の内装にも、投資とコストカットのメリハリが効いています。
実は並木橋みりんは居抜き物件を活用しており、カウンターや客席側の壁などは以前のものをそのまま使用しています。
一方で、入り口から入った瞬間に目を引く赤いカーテンやアンティーク家具にはしっかり投資。
そして最大の特徴が、床一面に敷かれた「絨毯」です。

【田中さん】
「硬い石などではなく絨毯にすることで、足元がリラックスできて癒しに繋がります。専用のクリーナーを使うなど掃除は絶対に大変なのですが、お客様からも珍しくて落ち着くと言われますし、結果的に滞在時間は長くなるような気がします。」

物件取得費やこだわりの家具、器などを含めた初期投資はトータルで約3500万円。
居抜きで抑えるところは抑えつつ、お客様の居心地の良さに直結する部分には妥協なく投資を行っています。

スタッフが輝ける場所を作り、次の展開へ

【田中さん】
「スタッフが増えてきたので、みんなが輝ける場所を作っていきたいですね。食材探しもそうですし、人がいれば店舗展開もガンガンやっていこうかと思っています。」

圧倒的な空間演出と、裏側を支えるロジカルな仕込みの仕組み化。
そして何より、お客様に喜んでほしいという内に秘めた熱い思いこそが、客単価1万円の満足度を生み出す最大の理由なのでしょう。

本記事の動画: 【居抜きに3500万】客単1万を生む炎と空間/営業負担を削る「前日“香り”仕込み」の全貌

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◆取材協力
並木橋みりん/オーナー 田中 秀和さん

◆「小規模店の必勝法」を取材する当シリーズの他の回はコチラ

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