【客単価アップ】「他店で飲めなくなる」酒戦略。料理の付加価値を上げる熟成ペアリング術


多くの経営者が頭を悩ませる中、料理そのものだけでなく「お酒」に圧倒的なこだわりを持つことで、お客様から「他のお店で日本酒が飲めなくなった」と熱狂的な支持を集めるお店があります。
それが、焼き鳥店の「山本屋」です。
料理の付加価値を極限まで高め、客単価アップにも繋がる「日本酒の熟成」と「ペアリング」の技には、リスクを恐れず美味しさを追求する真摯な戦略がありました。

無濾過の生原酒を「最低3年」寝かせる独自の熟成戦略

山本屋で提供される日本酒は、99%以上が「無濾過の生原酒」です。

【山本さん】
「基本的には日本酒は作って水を足して火を2回入れるのが一般的ですが、うちで扱っているのは濾過をせず火入れもしない、作り立てのままのお酒です。」

作り立ての無濾過生原酒は、味が整えられていないため苦みや辛み、えぐみが残り、エッジが効いているのが特徴です。
同店ではこれをそのまま出すのではなく、少なくとも3年、長いものでは10年以上寝かせてから提供しています。

【山本さん】
「ワインと一緒で、角が取れて味がまろやかになってバランスがとれると思います。元々飲みやすいものの方が万人受けするかもしれませんが、無濾過生原酒を寝かせた方が絶対的にお料理に合うんです。焼き鳥串をより美味しく楽しんでもらうために、力を借りています。」

専用倉庫で自社熟成。他店には出せない唯一無二の味わい

10年もの長期間お酒を保管するために、同店では専用の倉庫を借りて温度管理を行っています。
お酒の飲み頃は、日本酒度やアミノ酸度、酸度などのバランスを見て見極めていると言います。

【山本さん】
「熟成もその状況によって味わいは変わるので、同じ年度の同じお酒だとしても、他で置いてあるお酒とうちのお酒は違うと思います。」

自社で長期間寝かせることで、他店では味わえない山本屋だけの日本酒が完成し、圧倒的な差別化を生み出しているのです。

串ごとに合わせる。掛け算を生む「ペアリング」の極意

こだわりの熟成酒は、ただ提供するだけでなく、お客様が食べる串に合わせて的確にペアリングされます。

【山本さん】
「広がるお酒とすって落ちるお酒があって、それが内臓に合うか合わないか、お肉と合うのか合わないか。例えば山田錦だったらお肉の方が合う傾向が高いなど、お米で合う合わないっていうのはあると思います。できるだけ合わせるようにお出しする努力はしています。」

食べ物だけに注目するのではなく、料理をより美味しく楽しんでもらうためにお酒にもこだわる。
このペアリング効果が、焼き鳥の味わいを何倍にも引き上げているのです。

「数字は後からついてくる」。リスクを恐れず本質を追求する

しかし、5年、10年とお酒を寝かせることは、保管倉庫のコストがかかる上に売れるかどうかも分からないため、経営者としては大きなリスクを伴います。
それでも山本さんは、このスタイルを貫いています。

【山本さん】
「売れるかわかんないけど美味しかったらやるじゃないですか。数字とかはちょっと置いといて、嘘はつかない方がいい。仕事に対しては真摯でありたいと思っています。美味しいと分かってるからやるっていう、一見遠回りでも、実はお客様を掴むのに一番近道だと思います。」

熟成にかかる費用として、1年寝かせるごとに50円をプラスして提供していますが、維持コストとの釣り合いは計算していません。シンプルに「美味しいお酒を知ってほしい、飲んでほしい」という思いからこの値段で提供しています。
目先の利益や効率を追うのではなく、美味しいと信じたものをリスクを取ってでも追求し、料理とお酒のペアリングで究極の付加価値を生み出す。
この真摯な姿勢こそが、他店には真似できない満足度を生み、お客様を虜にし続ける最強の酒戦略と言えるでしょう。

本記事の動画:【客単価アップ】「他店で飲めなくなる」酒戦略。料理の付加価値を上げる熟成ペアリング術

◆前編はコチラ

◆取材協力
山本屋/オーナー 山本 将人さん

長く続く店シリーズ

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