【利益率30%超】客単価7000円を捨てた決断。「客が消える」恐怖から生まれた逆張りの経営戦略


売上を伸ばすために客単価を上げる。それは飲食業界における一つのセオリーと言えます。
しかし、せっかく上がった「客単価7000円」という数字に、日常遣いの客が離れる危機感を覚え、自ら客単価を下げる決断をしたお店があります。
それが、亀戸にある「サカナビストロ ToMo」です。

わずか14坪で月商480万円、営業利益率30%超を叩き出す裏側には、徹底した仕込みの仕組み化と、長く愛されるための緻密な計算がありました。

たった2人で35名の貸切を回す「コース主体」のオペレーション

サカナビストロ ToMoでは、平日であれば最大35名の貸切予約をわずか2人(オーナー安部さんとアルバイト1人)で回しています。
それを可能にしているのが、団体客への「コースの提供」です。

【安部さん】
「アラカルトだったら多分2人じゃできないです。コースだからこそ事前に準備ができて、すぐに出せる冷菜や、1度揚げしておいて温めるだけというフランス料理の加工品の良さを活かせるんです。」

予約時間に合わせて仕込みをしておけば、営業中は少人数でもスムーズに提供できます。人件費率はアルバイトのみで8%、安部さんを含めても約20%前後に抑えられています。

ランチをやめて仕込みに全振り。原価率30%に抑える強弱のつけ方

提供する料理は、パンを含めて約9.5割が手作りです。
仕込み時間を確保するため、サカナビストロ ToMoはあえてランチ営業をやめる決断をしました。

【安部さん】
「ランチタイムの部分を、本当にマンパワーで仕込みに当てています。カルパッチョの魚なども毎日市場へ出向き、その日の予約状況を見ながら必要な分だけを買い付けることで、フードロスが出ないようにしています。」

一部には原価率80%を超えるメニューもありますが、「本日のおすすめ」で原価の安い旬の食材(そら豆など)を組み合わせて強弱をつけることで、全体のフード原価率を28〜30%にコントロールしています。

ビストロ初心者も歓迎。16時オープンで「路頭に迷う人の救世主」に

サカナビストロ ToMoのオープン時間は、一般的な居酒屋より早い16時(土曜は12時)です。
早い時間に仕事が終わる会社の打ち上げ需要などを拾い、「他のお店が開いていなくて行き場がない…」と路頭に迷うお客様の救世主的な存在となっています。

また、ビストロでありながらワインにこだわらず、レモンサワーを6種類用意するなど、ビストロ初心者でも親しみやすいバラエティ豊かなドリンク構成にしています。
固定概念に囚われないメニューが、幅広い層の集客に繋がっています。

客単価7000円は「お客様が消える」。ハッピーアワーの本当の狙い

そして最大の転機が、客単価が7000円まで上がってしまったことでした。

【安部さん】
「単価7000円って嬉しいことじゃないですか。だけど、7000円を昼に使うかって言ったら使わない。本当に特別な日にしかお店を使わなくなって、お客さんがいなくなるなと思ったんです。」

そこで導入したのが、16時〜18時30分(土曜は12時〜16時)のハッピーアワーです。
ドリンクを300円という低価格で提供することで、お客様は値段を気にせず何杯も注文してくれます。

【安部さん】
「普通なら単価が上がったら喜ぶところですが、先を見据えると逆に『単価を下げないといけない』と思ったんです。ウチは食事の値段は安くしていないので、ハッピーアワーを利用して来てもらえれば、単価は3500円くらいに収まり、利益率はその分しっかり上がります。」

食事の価値は安売りせずに、ハッピーアワーでドリンクの注文数を増やし、あえて客単価を日常使いのラインまで下げる。
目先の売上に捉われず、「お客様が何度も通いたくなる」適正価格を自らコントロールすることこそが、利益率30%超の大繁盛店を生み出す最強の逆張り戦略と言えるでしょう。

本記事の動画:【利益率30%超】客単価7000円を捨てた決断。「客が消える」恐怖から生まれた逆張りの経営戦略

◆前編はコチラ

◆取材協力
サカナビストロ ToMo/オーナー 安部 友希さん

飲食店のための食べログチャンネル

前の記事へ

【売上1.6倍】ワンオペビストロが日本ワインにこだわる理由とは?

次の記事へ

【13坪で月商540万】沖縄料理屋からの脱却! 客単価を劇的に上げる集客術

関連記事