原価高騰でも仕入値1/4。売上300万UPを生む利益構造とコストを抑え込む独自の手法
原材料費の上昇や深刻な人手不足など、飲食店を取り巻く環境が厳しさを増す現代。
あえて「人手を余分にかける」「高級食材を種から仕入れる」といった常識破りの戦略で驚異的な売上を叩き出しているお店があります。
それが、恵比寿にある創作中華「CARAVAN 来民」です。
当初想定していた月商1500万円を大きく上回り、オープン直後から月商1800万円を達成。
その驚異的な利益構造の裏側を探ります。
「7人のところに9人」。あえて人員オーバーで営業し、常連を逃さない逆転ロジック
最初の1〜2ヶ月間はアルバイトを入れず、あえて「社員だけ」で営業するスタイルに。これにより教育コストをゼロにし、全員が同じベクトルで売上に向かって走る強いチームを作りました。
さらに特徴的なのが、名古屋の店舗を踏襲した接客スタイルです。
【オーナー・伊奈さん】
「普通の飲食店が7人かけて営業しているところを、うちでは9人とかで営業するんです。そうすることによって、例えばトイレが常に綺麗に保てたり、2人が『浮く』状態を作って、お客さんとゆっくり喋れる。それによって、常連客になってくれる人たちを取りこぼさず、また次も来てくれるような関係性が作れるんです。」
人員を減らして目先の人件費を削るのではなく、あえて「1〜2人オーバー」の人数で営業を回す。
一見非効率に見えるこのゆとりが、常連客の定着化(リピート)を生んでいます。
【伊奈さん】
「独立した9年前から、この『1〜2人オーバーで営業することが売上に繋がる』というのは分かっていました。人手をかけて圧倒的な売上を取ってしまえば、結果として人件費率は下がっていくというロジックです。」
求人広告費は0円。ファンが仲間になる「インスタ採用」と驚異の海外休暇制度
スタッフの採用は、ほぼ「Instagramの告知のみ」で完結しています。
それにもかかわらず、1年間で社員面接を希望する人は40人近くにのぼります。
【伊奈さん】
「求人媒体は使わずに、インスタだけで募集をかけています。面接に来る方の多くは、元々うちのお客さんだった人たちです。実際にお店に来て、空間や僕たちの人柄、スタッフの輝く姿を見て『ここで働きたい』と応募してくれます。」
こうして集まる優秀な仲間たちのために、CARAVAN 来民では他店にはない驚きの待遇「海外休暇制度」を用意しています。
【スタッフさん】
「飲食業界としてはかなり待遇が良く、休みもしっかり取れます。1年のうち1ヶ月間なら、好きなタイミングで海外に行っていいという『海外休暇制度』があり、私はその制度を使って1ヶ月フランスに行ってきました。」
働くスタッフの心を満たす環境が、さらなる求人効果とモチベーションアップを呼ぶ好循環を作っています。
高級食材を「種から育てる」。信頼関係で仕入れ値を1/4に抑える契約栽培
イタリアで「世界一のナス」と称される「フィレンツェナス」など、通常であれば仕入れ値が高く、手が出しづらい食材を驚きのコストで仕入れています。
【伊奈さん】
「普通に仕入れようとしたらかなり高い食材なのですが、うちは『種』から仕入れて、農家さんにその種を畑に植えて育ててもらっているんです。種の値段で買っているので、仕入れ値は通常の4分の1程度まで抑えられています。」
しかし、種から育てる契約栽培は、実らないなどのマイナス要因が発生するリスクもあります。
【伊奈さん】
「もちろん種がダメになるリスクも考えての4分の1です。これができるのは、農家さんとの強固な信頼関係があるからこそ。僕たちのお店という『空間』や、そこで働くスタッフたちの人柄を農家さんが実際に見て、『この会社を応援したい、この人たちに食材を届けたい』と思って協力してくれているんです。すべては人と空間の繋がりから始まっています。」
「バーだと思われる恐怖」を克服。中華×100種のジンが織りなす究極の1軒目需要
特に、看板メニューである「赤味噌麻婆豆腐」と、それにぴったり合うジンの組み合わせは究極のペアリングとなっています。
【リポーター・大岩さん】
「麻婆豆腐をスッキリさせてくれる。永遠にいけるペアリング。これ最強です!」
なぜ中華にジンを合わせたのか、伊奈さんはこう語ります。
【伊奈さん】
「もともと100種類のジンを出している名古屋の系列店のノウハウがあり、そのジンをそのまま持ってきた上で中華を合わせたいという構想がありました。最初は『お茶割り』が合うと想定していましたが、試作でジンと掛け合わせた時に『こっちの方がいける』と確信したんです。」
しかし、オープン前はお店にこれだけお酒のボトルが並んでいると、「バーだと思われてしまうのではないか」という強い懸念があったと言います。
【伊奈さん】
「バーだと思われて2軒目、3軒目利用ばかりになってしまうと、売上を大きく作ることが難しくなります。だからこそ、最初の1軒目としてしっかりお腹を満たしてもらえるよう、手のかかった本格的な中華料理を、しっかりとしたお皿で出すことを強く意識しました。その結果、ありがたいことに1軒目としての需要を高く掴むことができています。」
1秒を削る「スライド冷蔵庫」と「ポーション化」でスピード提供を極める
中華料理はスピードが命。
それを支えるのが、冷蔵庫の設計と、仕込み段階でのシステム化です。
【伊奈さん】
「スピードを上げるために、まず仕込みの人数はかなり多めにかけています。そして、冷蔵庫の扉はすべて『スライド式(引き戸)』にこだわりました。よくある観音開きの扉だと、開けた瞬間にキッチンの動線が塞がって、スタッフの動きが止まってしまいます。」
よく見かける観音開きの扉は、開けた瞬間にキッチンの動線を塞ぎ、スタッフの動きを止めてしまいます。
しかし、同店が採用するスライド扉であれば一切動線を塞ぐことがなく、このわずかな工夫が営業中の「1秒」を確実に短縮するのです。
さらに、提供スピードを極限まで高めるため、食材はあらかじめ「1ポーション(1人前)」ごとに分けて冷蔵庫に保管されています。
【伊奈さん】
「オーダーが入ってから炒める際にも、迷いなく、グラム数をその都度測ることもなく、ポーションのまま鍋に持っていけばいいだけの状態にしています。」
注文が入ってからコンロの前で迷うことも、その都度グラム数を測る手間もありません。
この徹底された事前準備があるからこそ、少人数での営業であっても、圧倒的なスピードで出来立ての熱い料理を提供し続けることができるのです。
今後は、15席あるカウンターが常連のお客様で毎日埋まり、テーブル席には全国、さらには全世界からお客様が訪れるような光景を作っていきたいと語る伊奈さん。
一見、常識破りに見える「CARAVAN 来民」の挑戦ですが、その根底にあるのは「お客様を楽しませたい」「スタッフを輝かせたい」という強いパッションです。
この徹底的に現場を愛する熱い想いこそが、これからの飲食業界をさらに盛り上げていくに違いありません。
本記事の動画:原価高騰でも仕入値1/4。売上300万UPを生む利益構造とコストを抑え込む独自の手法
◆前編はコチラ
◆取材協力 CARAVAN 来民(キャラバン ライミン)/オーナー 伊奈 修平さん
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