客層は絶対絞らない。開業半年で月商900万・稼働率200%を叩き出した「全方位」SNS戦略


「ターゲット層を明確に絞り込み、そこに響く発信をしよう」。
マーケティングの教科書を開けば、必ずと言っていいほどそう書かれています。
しかし、そうしたセオリーとは正反対に「ターゲットは絶対に絞らない方がいい」と言い切り、全方位に向けた発信と圧倒的なコミットによって、開業わずか半年で月商900万円、ピーク時の稼働率200%を叩き出すモンスター級の繁盛店があります。
それが、代々木八幡にあるビストロ「Pulse」です。

2025年10月のオープン当初は閑古鳥が鳴いていたというPulseが、なぜわずか半年でこれほどの急成長を遂げられたのか。
オーナーシェフの大村さんが実践する、嘘のない徹底的な「SNS集客」と、常識に囚われない店舗経営の裏側に迫ります。

1日10投稿のストーリーズは「指を動かすだけ」。成功者を徹底的にオマージュするコミット力

現在でこそ大繁盛しているPulseですが、オープン当初は集客に大きく苦戦し、静かな日々が続いていたと言います。
そこで大村さんは、2026年1月1日から本気のSNS発信を開始しました。
その投稿頻度は、個人のレベルを遥かに凌駕する圧倒的なものでした。

【大村さん】
「リール動画は必ず毎日に1日1投稿、ストーリーズは最低でも毎日10個は上げていました。みんな『そんなに上げるネタがあるの?』って言いますけど、やろうと思えば絶対にできます。極論を言っちゃえば、指を動かすだけですからね。」

毎日これだけの数を投稿するとなると、多くの人が「常に新しいネタを考えなければ」と行き詰まってしまいます。
しかし大村さんが取った戦略は、ゼロから捻り出すことではなく、すでに世の中で伸びているアカウントの構成を徹底的に分析し、その「型」を大いに参考にして実行し続けることでした。

【大村さん】
「世の中でめちゃくちゃ伸びている人のことを、そのままやればいいだけなんです。徹底的に擦るというか、オマージュですね。オムレツという料理が世界中にあるのと同じで、ウケている手法を擦り続けることに躊躇する必要はありません。成功の法則はネット上に転がっていますから。」

この「すべての時間を店舗に繋げるコミット」を3ヶ月間継続した結果、4500人だったフォロワーは一気に3万人にまで急増。
それに比例して来店客も増え続け、月の9割近くが満席で、1日あたりの回転数も上がり「稼働率200%」を日常的に達成するまでになりました。

「ターゲットは絞るな」。個人店こそ間口を広げるべき本当の理由

大村さんが提唱する最もユニークな考え方が、「個人店や小さな店は、ターゲットを絞り込んではいけない」という逆張りの戦略です。
大企業であればターゲットを明確にすべきですが、個人規模の店舗でターゲットを狭めてしまうと、ただ自分から間口を狭め、お客様の候補を排除するだけになってしまうと語ります。

【大村さん】
「例えば、年に1回しか記念日にレストランに行かないようなお客様でも、人生のステージが上がっていくことで、将来は月に1回通ってくれるようになるかもしれない。逆に、毎週来てくれていたお客様でも、子供ができてライフスタイルが変われば、一時的に来られなくなることだってあります。それなのに『富裕層向け』などとターゲットを絞って発信してしまうと、その変化に対応できず、自らチャンスを捨ててしまうんです。」

誰かを切り捨てるのではなく、あらゆるライフステージのお客様を受け入れられるよう、全方位に向けて発信すること。
この考え方が、結果として幅広い層を惹きつける強大な集客の網となっています。

リールからYouTube、音声配信へ。徐々に深くファンにする「3つの使い分け」

全方位へ向けた発信を実践するため、大村さんはプラットフォームごとに役割を明確に分けた「ファン化の導線」を構築しています。
主戦場となるInstagramのリール動画は、あえてテンポの良い「20秒」という短さに設定されています。
動画の冒頭に引きの強い言葉を投げかけて興味を引き、詳しいレシピや情報はキャプション(本文)に記載する手法です。
これにより、ユーザーがキャプションを読んでいる間、バックグラウンドで20秒の動画が何度も自動的にループ再生されるため、プラットフォーム上の評価が劇的に高まり、さらに広く拡散されやすくなるというロジカルなアルゴリズム対策を仕掛けています。

一方で、もう一つの映像プラットフォームであるYouTubeでは、1本約20分という長めの構成を採用しています。
家庭で簡単に作れる再現レシピから、プロの料理人に向けた本格的な技術紹介まで、あえて小難しい経営思想などは語らず、純粋な「料理の魅力」に特化して丁寧に発信を重ねています。

さらに、最近始めたSpotifyでの音声配信では、大村さんが日頃考えている経営のリアルな想いや自身の思想を熱く語りかけています。
このように、あえてプラットフォームごとに役割を分ける意図について、大村さんは次のように語ります。

【大村さん】
「Spotifyは最初、自分の考えをまとめるために始めてみたんですが、意外と『聞きました』と言ってくれる人が増えてきて。いわゆるコアなファンがラジオを結構聞くと思うんで、そういう分け方に結構してますね」
Instagramで広く興味を引き、YouTubeで料理への信頼を重ね、最終的にSpotifyのラジオでより深く大村さんの人間性や思想に触れてもらう。プラットフォームの奥に行けば行くほど、より深い「お店のファン」になっていくという見事な導線が設計されているのです。

倍率60倍の超一等地を勝ち取る。「ラブレター」と「未来の設計図」の力

Pulseが構える場所は、代々木八幡駅から徒歩1分という、誰もが羨む超一等地です。
当然、物件の募集が出た際には、大手企業を含めて「60件」を超える申し込みが殺到しました。
その大激戦を、大村さんはどのようにして勝ち抜いたのでしょうか。
そこには、通常の数字や実績だけをアピールするのとは一線を画すアプローチがありました。

【大村さん】
「大家さんが見ていたのは、会社の規模ではなく『この街にどんな価値を残してくれるか』というフラットな視点でした。そこで僕は、これまでの経歴やプロフィールに加えて、とにかく熱い思いを詰め込んだ作文、言わば『ラブレター』を書いて提出したんです。文法なんてめちゃくちゃでも、とにかく自分の熱をぶつけました。」

さらに大村さんは、デザイナーに依頼した詳細な店舗の内装イメージや家具のレイアウト図も添付。
大家さんが「この店ができたら、街がどんなに良くなるか」を手に取るように想像できるよう、徹底的に「未来」をビジュアルで示しました。
「代々木八幡の顔になりたい」という強いパッションと、大家さんの視点に立った丁寧な可視化。
この掛け算が、大企業の資金力を跳ね返し、奇跡の出店へと繋がったのです。

ターゲットを絞り込むというマーケティングの常識を捨て、すべてを店舗に繋げる徹底的なコミットと、泥臭い行動をやり切る強さ。
「代々木八幡の顔になる」という言葉通り、自らを看板にして走り続ける大村さんの圧倒的な熱量と計算されたロジックは、これからも街に新たな活気をもたらし、多くのファンを惹きつけ続ける原動力となるはずです。

本記事の動画: 客層は絶対絞らない。開業半年で月商900万・稼働率200%を叩き出した「全方位」SNS戦略

◆繁盛店のSNS戦略を紹介
飲食店のSNS戦略

◆取材協力
Pulse オーナーシェフ 大村隆亮さん

飲食店のための食べログチャンネル

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