【ウォークインゼロ】なぜ裏通りの店に「週4日」も通うのか? ワンオペ店を支える謎の看板メニュー


人通りの多い表通りから、一目につかない裏通りの隠れ家物件へ移転――。
ふらりと立ち寄る「ウォークイン客」がほぼゼロという立地条件でありながら、客数は1.3倍に増加し、客単価も1000円アップして大繁盛しているお店があります。
それが、杉並区高円寺にある「ルルさん」です。
レンタルスペースでの営業を経て、裏通りに念願の実店舗を構えたオーナーの寺岡さん。
不利とも思えるロケーションを逆手に取り、週に4日も通う熱狂的なリピーターを生み出し続ける、緻密な「空間設計」「メニュー開発」「ワンオペレーション術」の全貌に迫ります。

ウォークインゼロの裏通りへ。前より家賃が安い物件で「客単価1000円UP」へ大躍進

レンタルスペース時代は表通りに面したオープンなガラス張りで営業していたルルさんですが、実店舗として選んだのは、通りから一本入った人目につかない裏通りの物件でした。
ふらっと入ってくる新規客(ウォークイン客)はほぼ見込めない不利な立地でしたが、寺岡さんには勝算がありました。

【寺岡さん】
「実店舗になってから、家賃は前のレンタルスペースの月額よりも安くなったんですよ。人目につかない裏通りなのでフラッと入る人はほぼ皆無ですが、客数は1.3倍に増え、客単価も2500円から3500円くらいまで上がりました。」

さらに、外から丸見えだったレンタルスペースに比べ、実店舗をあえて隠れ家のような閉鎖的な空間にしたことで、特に1人飲みを楽しむ女性客から「人目を気にせず飲める」と大好評。
立地のハンデを居心地の良さに変えることに成功しました。

座り席と立ち飲みのハイブリッドで機会ロスをゼロに

わざわざ裏通りの店舗まで足を運んでくれたお客様を、寺岡さんは絶対に「座れないから」という理由で断りたくないと考えています。
そこでルルさんでは、店内に「座り席」と「立ち飲みエリア」という2つの異なるスペースを用意しました。

【寺岡さん】
「わざわざ探して来てくれているので、断りたくないんです。だから、最初は座り席から埋めていって、満席になったら『立ち飲みでも大丈夫ですか?』とお聞きして、立ち飲みエリアに入ってもらいます。座り席が空いたら『あちらへ移動しますか?』と案内する形にしています。」

サクッと飲みたい人はそのまま立ち飲みを楽しみ、じっくり過ごしたい人は席が空き次第移動する。
席を固定しないフレキシブルなレイアウトにより、満席による客の機会ロスをゼロに近づけています。

週4で通う常連を飽きさせない。「2種類×週3〜4回変更」のお通し戦略

実店舗化に伴い、ルルさんではレンタルスペース時代にはなかった「お通し(お席代)」を導入しました。
しかし、ただお通しを出すのではなく、常連客が多いルルさんならではの工夫が施されています。
一番の常連客になると、なんと「週に4日」も来店すると言います。

【寺岡さん】
「常連さんが多いので、なるべくお通しは常に2種類用意していて、週に3〜4回は内容を変えるようにしています。毎回違うお通しが出てきたら、嬉しいじゃないですか。」

頻繁に通う常連客に「今日は何が出てくるんだろう」というワクワク感を提供し、何度訪れても飽きさせないおもてなしの工夫が、週4日の来店を支えています。

発注ミスから生まれた大ヒット!その名も「臭売(シュウマイ)」

ルルさんには、「これ食べるためにここに来る」とお客様に言わしめる絶対的な看板メニューが存在します。
それが「ラム肉とブルーチーズの臭売(シュウマイ)」です。
実はこの人気メニュー、仕入れ時の「発注ミス」という意外なきっかけから生まれました。

【寺岡さん】
「ラム肉の仕込みの時に、間違えて業者さんに多く発注しちゃって(笑)。ラム肉ならブルーチーズが合うなと思って合わせて、どうせならもっと臭くしようとパクチーを乗せたんですが、それだと流石に癖が強すぎるなと。そこでドライマンゴーやブルーベリーなどのドライフルーツを入れたら、奇跡的にうまくいきました。」

ラムの旨味、ブルーチーズとパクチーの個性的なクセ、そしてドライフルーツの爽やかな甘みが絶妙にマッチ。
「ここでしか食べられない価値のある商品」として、多くのリピーターの心を掴む看板商品となりました。

ヤフオク食器と照明のこだわり。ワンオペを支える演出と仕掛け

ワンオペで営業を回す寺岡さんにとって、盛り付けや調理の手間をいかに減らすかも重要なテーマです。
そこで活躍しているのが「ヤフオクで宝探しのように買い集めた食器」です。

【寺岡さん】
「ヤフオクは競合が少なくて穴場なんです。白い料理を出す時にパセリや小ネギを乗せて色味をつけることもありますが、柄物のお皿を使えば、そうした彩りの手間(飾り)を省いても料理が見映えするんです。」

さらに、1ヶ月の改装期間のほとんどを「照明選び」に費やすなど、空間演出にもこだわりました。
カウンターのテーブルの色は、レンタルスペース時代にDIYで作ったテーブルの色を再現。
常連客が「このテーブルがすごく良い」と言ってくれたからと、引き継いでいます。
調理場とカウンターの間に耐熱ガラスを入れて、ライブ感を伝えるなど、細部にまで寺岡さんの美学が宿っています。

通りから外れた不利なロケーションを「隠れ家的な居心地」へと変換し、柔軟な客席レイアウトでチャンスを逃さず、工夫を凝らしたお通しと唯一無二の看板メニューで常連客を魅了する。
「ルルさん」が実践する経営ロジックは、多くの飲食店にとって大きな勇気とヒントを与えてくれるはずです。

本記事の動画:【ウォークインゼロ】なぜ裏通りの店に「週4日」も通うのか? ワンオペ店を支える謎の看板メニュー

◆前編はこちら

◆取材協力
ルルさん / 寺岡 耀さん

◆ワンオペ店の工夫シリーズ

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