【脱・SNS集客?】人気ビストロのリピーターを作るレシピ・接客術とは?【学芸大学前】


SNSでのバズ動画やインフルエンサーマーケティングによる集客が全盛を極める飲食業界において、過度な発信に固執することなく、地域のリピーターによって連日満席の賑わいを見せるお店があります。東急東横線・学芸大学駅からほど近い住宅街に店を構えるビストロ「anaguma」です。

なぜ「週に3回も通う常連客」が生まれ、地域に深く根付くことができているのでしょうか。
客層の7〜8割を女性客が占める同店の看板メニュー「鹿肉ハンバーグ」に隠された緻密なオペレーション設計と、ソムリエ資格を持つシェフの心地よい接客術から、持続可能な店舗経営のヒントを読み解きます。

ジビエのハードルを下げる看板メニュー「鹿肉ハンバーグ」

「anaguma」を訪れる客の心を掴んで離さない名物が「鹿肉ハンバーグ」です。
一般的にジビエは「クセが強い」「食べ慣れていない」と敬遠されることも少なくありません。
しかし、「anaguma」では調理法と栄養価値の打ち出し方によって、そのハードルを取り払っています。

【大箸さん】
「まだまだ食べたことがない食材として捉えられるジビエですが、ハンバーグというキャッチーな調理法で提供することで注文のハードルを下げています。また、鹿肉は高タンパク・低カロリーな赤身のお肉です。」

ハンバーグには半熟卵が乗り、高さのある美しいビジュアルで目を楽しませます。
肉の食感が引き立つ挽き加減や、塩分濃度にこだわり赤ワインやフォンドボーを使ったソース、黒胡椒などの香辛料をバランスよく利かせることで、ジビエ特有のネガティブな臭みを感じさせない味わいに仕上げています。

スチコン×真空冷凍で生み出す「15分間のフリータイム」

お店でゼロから肉を挽いて成形するハンバーグは、本来非常に手間と時間がかかるメニューです。
高確率で注文が入る看板メニューだからこそ、「anaguma」では品質を落とさない仕込みの工夫が施されています。

【大箸さん】
「ハンバーグは真空パックにし、一度冷凍保存しています。例えばステーキ肉を冷凍・解凍するとドリップが出て悪くなりやすいんですが、ハンバーグに関してはそういったことがありません。省スペースで場所も取らず、スピード提供できます。流水で5分解凍し、フライパンで焼き目をつけたら、スチームコンベクションオーブンで15分火入れするだけです」

挽肉の特性を活かして「真空パック&急速冷凍」を行うことで、クオリティの劣化を防ぎながらストックを可能にしています。
さらに、スチコンに投入してからの15分間は調理から手が離れるため「フリータイム」に。
この時間を他の調理や接客対応に充てられるため、オペレーションがスムーズになります。

注文から2分で提供!女性客の心を掴む罪悪感ゼロのスピードメニュー

ハンバーグの焼き上がりを待つ15分間を活用し、素早く提供できるのが「野菜の茹で上げ 自家製マヨネーズ添え」などのスピードメニューです。

【大箸さん】
「オーダーが入れば、2分でお出しできるスピードメニューです。パプリカやニンニク、白ワインを少し効かせた自家製マヨネーズを添えて、本格的なフレンチの味に仕立てています。」

野菜を使うことで「美味しいだけでなく健康にも良い」というアプローチが、女性客の満足度を引き上げています。

アールグレイハイボールとソムリエシェフが厳選するナチュラルワイン

魅力的な料理を引き立てるドリンクにも、コンセプトがあります。
乾杯の一杯として人気を集めているのが、ほのかな甘みと華やかな香りが広がる「紅茶ハイボール」です。
ソーダで割ってもアールグレイの香りがしっかり残り、乾杯から食事中、締めの一杯まで幅広く楽しめる万能なドリンクとして支持されています。
さらに、店舗の最大のアイデンティティとなっているのが「ナチュラルワイン」です。

【大箸さん】
「元々ナチュラルワインを店の顔として据えようと思って出店しました。お店を出すにあたって10年ほど前にソムリエ資格を取得しています。試飲会に足を運び本当に美味しいと思ったものだけを提供しています」

ソムリエの目線で厳選したナチュラルワインを揃えることで、グラスを重ねて気づけばボトル1本分を楽しんで帰る客も珍しくありません。

過度なSNS発信はいらない。地域に愛されるリピーター戦略

飲食業界全体がSNSでの集客に追われる中、「anaguma」のInstagramでは料理の紹介をたまに行う程度です。
過度な動画撮影や広告施策に時間を割くことはありません。

【大箸さん】
「一度お越しいただいたお客様が繰り返し来てくださったり、お友達に紹介していただいて広がっていくという、すごく住宅街の飲食店らしい姿になれているのかなと思います。お客様としっかりコミュニケーションを取り、『前も来てくれましたよね』と一言かけ、気にかける『ウェルカム感』を大切にしています。週に3回ほど通ってくださるお客様もいらっしゃって、本当にありがたいです」

新規客を追いかけ続けるSNSマーケティングではなく、目の前の客と丁寧に向き合い「覚えてくれている」というウェルカム感を提供する。
この温かい接客スタイルが、理想的な循環を生み出しています。

今後は、常連客がいつ訪れても楽しめるよう、より柔軟なメニュー構成を模索していくとのこと。
SNSのバズに振り回されず、地域に深く愛される店舗づくりの本質がここにあります。

本記事の動画:【脱・SNS集客?】人気ビストロのリピーターを作るレシピ・接客術とは?【学芸大学前】

◆前編はこちら

◆取材協力
anaguma / 大箸 究さん

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