【店長に売上は追わせない】年収1000万の料理人を育てる極意! スタッフ50人の組織崩壊から学んだ最強の店舗運営


「若い料理人が次々と辞めていく業界を変えたい」
「料理人が年収1000万円を稼げるようにしたい」

深刻な人手不足や厳しい労働環境が叫ばれる飲食業界において、多くの経営者が直面するのが高い離職率と人材育成の壁です。
店長や現場責任者に売上目標やコスト管理を厳しく課し、現場が疲弊してしまうケースも少なくありません。

しかし、千葉県木更津市を中心に店舗を展開する株式会社ごはんクリエイトでは、あえて「店長に数字を追わせない」という逆転の発想を取り入れ、離職率1割未満という驚異的な定着率を実現しています。
過去に組織崩壊を経験しながらも、料理人を主役に据えた強いチームを作り上げた代表・野口さんの経営哲学と、持続可能な店舗運営の仕組みに迫ります。

料理人の地位向上と「年収1000万円」を可能にするモデル店舗の挑戦

野口さんが料理の世界に入ったのは、ホテルでの修業がきっかけでした。
当初は包丁も握れず挫折しかけたものの、先輩の指導によって仕事が楽しくなっていったと言います。
しかし同時に、料理が好きで入ってきた仲間たちが過酷な環境に耐えかねて次々と辞めていく業界の現実に強い危機感を抱いていました。
自分が独立するにあたり、掲げたビジョンが「年収1000万円を取れる料理人を育てること」でした。

【野口さん】
「この業界はアルバイトとして入る若者は多いのですが、正社員としての就職先になっていない。料理人が自己表現を楽しみながら、しっかり稼げる環境を作りたいと考えました。そのためにまずは自分たちの店舗が繁盛しなければ意味がないので、15坪26席の『ごくりっ』をオープンしました。」

15坪26席で月商250万円(年商3000万円)を出せれば、夫婦で年収1000万円を稼ぎ出せるという独自の計算のもとスタートした同店は、なんと初月からその目標を達成。
さらに、社風に合わない採用による失敗を防ぐため、1時間におよぶ面接と丁寧な会社説明を徹底。
離職率1割未満という強い組織の土台を作り上げました。

「給料アップ」で釣らない。自発的に学びたくなる勉強会と組織の熱量

同社がスタッフ育成で最も大切にしているのが、「チャレンジする姿勢」と「学ぶことの楽しさ」を育む環境づくりです。
定期的に開催されるワインなどの勉強会においても、「参加したら時給が上がる」といったインセンティブによる動機付けは行いません。

【野口さん】
「評価や時給に直結させず、公平な参加機会を保ちながら『学ぶことってすごく楽しいんだ』という状態を作ることを目指しています。強制ではなく自発的に手が上がる子を育てたいんです。楽しさを知ったメンバーが周囲を引っ張ることで、組織全体が良い方向に変わっていきます。」

給料という外的な報酬で動かすのではなく、内発的なモチベーションを引き出すアプローチが、スタッフの自主的な成長を後押ししています。

「店長に売上を追わせない」。目の前のお客様に集中させる逆転の経営論

一般的な飲食店経営では、店長にFL(食材費・人件費)などの原価率や売上数値を厳しく追わせることが常識とされています。
しかし、同社では店長に数字を追わせない方針を貫いています。

【野口さん】
「店長に数字管理ばかりを意識させたくないんです。原価や人件費の数字に追われると、『今日は客が少ないから早くスタッフを帰そう』といった内向きの思考になってしまいます。それよりも、ガラスの汚れを拭いたり、POPを作ったり、目の前のお客様を満足させることに集中してほしいんです。」

数値データ自体は開示されており、独立志向のあるスタッフが分析・質問できる環境は整えつつも、現場での役割はあくまで「目の前の顧客満足度の追求」に特化させています。

15人から50人への拡大で起きた「組織崩壊」。パッション経営からマニュアル化への脱却

順風満帆に見える同社ですが、かつて15人から50人規模へ拡大した際に、「組織崩壊」を経験したと言います。
2店舗・15人体制だった頃は「パッション重視の会社」を掲げていましたが、スタッフが50人に増えた途端、現場で派閥や衝突が生まれ、退職者が相次ぐ事態に陥りました。

【野口さん】
「15人の時は情熱だけで回っていましたが、50人になるとパッションだけでは無理でした。派閥ができて人が辞めていったんです。そこで『熱量だけでなくマニュアルが必要だ』と痛感し、組織のフェーズに合わせたマニュアル化へと舵を切りました。」

苦い失敗を乗り越え、情熱と仕組みの両輪を整えたことが、現在の盤石な組織体制へと繋がっています。

常連客を店のファンに変えるトライアングルトーク

『ごくりっ』の最大の強みは、「料理人自らがカウンターで接客すること」です。
しかし、お寿司屋さんのように同じ常連客がカウンターを占有してしまうと、新規のお客様が入りづらくなるという課題が生まれます。
そこで同店では、常連客に声をかけ、席を移動してもらいます。

【野口さん】
「常連さんを大切にしながらも、あえて席をずれていただくことで、新しいファンを迎えるスペースを作ります。ただ、席を移動してもらった常連さんを放置するわけではありません。入り口は僕のファンで良いのですが、その後は優秀な若いスタッフをアテンドに回して、3人で会話を繋ぐような形にするんです。」

トライアングルトークでお店のファンになってもらうことで、店長が独立して店舗を去ったとしても、お客様が再び戻ってきます。地域全体でお客様をシェアする好循環が生まれていました。

独立せずに残るスタッフの未来も豊かに。セントラルキッチンの機能を持つ「舵輪」

料理人の独立を後押しする一方で、野口さんが次に行き着いた課題が「会社に残って長く共に歩んでくれるスタッフの未来」でした。

【野口さん】
「1000万円取れる料理人を育てる中で、会社に残ってくれるスタッフが年収400万円程度(月給35万〜40万円)でいいんだろうか、こんなに長く一緒にやってくれている人たちをそれで終わらせていいんだろうかと考えるようになりました。そこで店舗展開を決意し、セントラルキッチンの機能を持つ新しいお店『舵輪(だりん)』を作ったんです。」

離職率の高い飲食業界で、目の前の数字ではなく「人の育成」と「お客様」にどこまでも向き合う。
料理人が誇りを持って働き、自分たちの力で豊かな未来を切り拓くための大きな道標となっています。

本記事の動画: 【店長に売上は追わせない】年収1000万の料理人を育てる極意! スタッフ50人の組織崩壊から学んだ最強の店舗運営

◆取材協力
縄のれん(株式会社ごはんクリエイト) / 野口 利一さん

◆繁盛店の組織づくり

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