これから伸びる飲食店の特徴は?押さえるべき業界トレンドをチェック

飲食店を新たに開業したい、店舗をリニューアルしたいと考えているのなら、これから伸びるお店の特徴やトレンドを把握しておくことが大切です。本記事では、これから伸びる飲食店の特徴や押さえるべき業界のトレンドなどについて解説します。

目次

2023年以降に伸びる飲食店の特徴は?

飲食業界はこの数年間で大きな環境の変化がありましたが、今年から何の制約もなく通常に営業できるようになり、この2023年がリスタート元年になります。 また、コロナ禍においてどのような取り組みをし、どんな準備をしてきたかによって明暗が分かれる年でもあります。これからどのような要素を持った飲食店が伸びていくのか整理し、対策を練っていきましょう。

消費者のニーズ変化に対応している

コロナショックという大きな出来事によって消費者のライフスタイルも変わり、飲食業界も大きな経営方針の変更を迫られました。これによって、完全に業態転換をすることになった店舗も少なくはありません。

当初は一過性と考えられていたライフスタイルの変化も常態化し、コロナショック以前のスタイルを全く変えずに貫くことができるのは、一流の調理技術を持ったごく一部の飲食店だけとなりました。

これから飲食店が存続していくためには、イートインだけでなくテイクアウトや通信販売、店頭での物販など、多角的な販売チャネルを持ち、より多様化したお客様のニーズに応じることが非常に大事になってきます。

またこうした多様なニーズに応えるためにも、最先端のデジタルツールを導入していくことが必要最低限となっています。来店前から利用できるモバイルオーダーやテイクアウトのシステム、低料金で開設可能な通販サイトなどを利用していくことが有益です。

唯一無二の商品を持っている

他にはない専門性を前面に打ち出した高級志向の業態も今後伸びる可能性があります。

コロナ禍以降、深夜帯に外食する人が減ることで飲酒量も減り、在宅率が高まっています。また、外食機会自体が数少なくなっていく代わりに、一回の外食にかける金額は増える傾向にあります。滅多にない外食を後悔のない素晴らしいものにしようと考える人が増えたからでしょう。 自宅では決して食べることのできない究極の逸品を提供している飲食店は、今後さらにニーズが高まっていくと考えられます。

特にその一品料理がテイクアウトや通販に対応でき、多方面への展開が望めるものだとさらに売上を伸ばせる可能性があります。 また、一つの商品に特化した専門店では業務効率化も実現できます。提供するメニューを限定すれば、作業の簡潔化やルーティン化を実現でき、効率的に店舗を運営できます。従業員のオーダーミスも減少する他、育成が比較的容易なのもメリットです。

お店のストーリーや背景が見える

これまで一部の料理人の技術となっていた調理方法やレシピ、なかなか手に入らない希少食材の入手ルートなどが、インターネットやSNSの普及で多くの人に共有されるようになりました。

これにより超一流の料理人の料理以外には、クオリティに差が生まれにくくなってきています。 そこで他店舗との差別化になるのは『なぜこの店を開業したのか』『なぜこの一品の料理に情熱を傾けているのか』というような、経営者や料理人一人ひとりの背景やストーリーです。そこにお客様の共感を得てファンを増やし、拡大拡充していく店舗が伸びていくことになります。

そのためには最低限の料理と接客のクオリティが必要ですが、それと同じぐらい作り手の想いを表現することが大事になってきます。店内でのお客様との会話はもちろんのこと、SNSで来店前のお客様や見込み客と相互のやり取りをし、顧客のロイヤルカスタマー化につなげられるお店が注目されるでしょう。

省人化を徹底できている

近年の労働人口の減少や若年の労働者の飲食店離れがさらに進んでいるうえに、円安による外国人労働力の海外への流出もあることから、飲食店が今後さらに人材不足で悩むことは明らかです。この対策として、デジタルツールの導入やオペレーションをサポートしてくれるアプリを利用することが必須条件となってきます。

デジタルツールを導入することによりってお客様と店員のやり取りが減ることから、温かみがないと懸念している店舗も未だに数多くあります。しかし、現況を考慮してオペレーションのデジタル化を進め、省人化を徹底できることは大切です。 モバイルオーダーシステムやテイクアウトオーダーシステムなどを利用して、ツールが人に代わってできることは可能な限り代行してもらい、その分の浮いた時間で丁寧な接客や調理をするという思考に切り替えるといいでしょう。

近年では、オペレーションをサポートするアプリやソフトなども安価で導入できるようになっており、一部の大規模なチェーン店でなくとも、業務効率化を図れるようになりました。どんなに小規模な飲食店でも、これらを導入して省人化を徹底できることが、これから伸びていく条件になっていきます。

2023年に押さえるべき業界トレンドは?

飲食業界で成功を収めたいと考えているのなら、トレンドをしっかりと把握しなくてはなりません。トレンドを正確に把握できれば、トレンドにしっかり乗っかるのか、トレンドよりも独自性を重視するのかといった判断が、明確にできるようになります。

細分化した嗜好に応えるメニュー

『イタリア料理』『パン屋』といったジャンルでお店を分ける時代はかなり前に終わり、お客様の好みが細分化されていることは周知の事実です。この傾向は、今後もさらに進んでいくことでしょう。 イタリア料理でも、どこの地方のもので、どのリストランテで提供されるものなのか、家庭料理なのか宮廷料理なのか。ワインはどんな作り手がどんな想いで作り、どのインポーターが仕入れたものなのか。そういった情報を基に、お客様が好みでお店を判断するようになっています。

たとえば、最近注目を浴びているスウェーデン発祥のカルダモンロールは、嗜好性が強く参考になります。カルダモンは清涼感とエキゾチックさが融合した香りが魅力的なスパイスで、カレーを始めとしたさまざまなメニューで使用されています。

カルダモンロールは、スウェーデンを始めとした北欧では比較的ポピュラーな菓子パンです。日本ではそれほどメジャーな存在ではないものの、近年、じわじわと認知度が広まってきています。その理由は、近年のスパイスブームです。スパイスやハーブが国内でブームとなり、これまであまりクローズアップされなかったカルダモンを使用した菓子パンに注目が集まりました。

まだまだ日本国内にカルダモンロールを扱うお店は少ないものの、ブームに後押しされて、今後次々とカルダモンロールを扱うお店が誕生する可能性があります。このように好き嫌いがはっきり分かれる場合でも、たった一種のスパイス、たった一つの食材にクローズアップした飲食店がトレンドとなるでしょう。

ヴィーガンの方も楽しめるグルテンフリー料理

コロナ禍の影響もあり、近年は健康志向が高まりつつあります。より健康的な生活を目指して食生活を見直すケースも増え、それに伴いグルテンフリー料理も注目を集め始めました。

グルテンフリーとは、グルテンを含んだ食事をとらない食生活を指します。グルテンはタンパク質の一種であり、小麦やライ麦などに含まれています。小麦はさまざまな料理に使用されているため、パンやピザ、ケーキ、お好み焼き、シリアル、パスタ、グラタンなどあらゆる食べものにグルテンが含まれると言っても過言ではありません。

グルテンフリーは、もともとセリアック病の治療を目的に誕生した食事療法です。また、世界的なアスリートがグルテンフリーの食生活に変更し、体調がよくなったと公言したことで注目を集めました。

グルテンフリー料理を提供すれば、嗜好性の強い食生活にこだわりを持った層を集客できる可能性があります。たとえば、小麦アレルギーがある人や健康志向の人、グルテンをカットしてダイエットしたい人などにアピールできます。

ドル・ユーロ圏の国の食事体験ができる店

コロナウイルスの感染拡大は一段落しましたが、近年の円安傾向によって海外旅行の費用は以前よりかなり割高になりました。特に欧米諸国は非常に渡航費が高額になり、気軽に旅行できるような経済状況ではない方がほとんどでしょう。

コロナ前に欧米諸国へ観光に出かけていた中高年層は過去の海外旅行を懐かしみ、それを思い出せるような料理やサービスを求めて飲食店を選ぶはずです。このような点からも、ヨーロッパやアメリカといった旅費が高額となる国の各国料理は、ある程度高い単価でも受け入れられる状況にあります。一定の料理、接客のクオリティを約束することができれば、大いにチャンスは巡ってくるでしょう。

外食産業における今後の見通しは?

食材費や光熱費、人件費の高騰など、昨今の飲食業界ではありとあらゆる経費が上昇しています。とはいえ、なかなか値上げには踏み切れない経済状況でもあり、経営の圧迫を受けている店舗は多く存在します。この環境も、これから毎日のように移り変わっていくでしょう。 今後も飲食業界で勝負したい、新たに外食産業でビジネスをスタートさせたいと考えているのなら、これからの見通しをある程度把握しておきましょう。

これまでの外食産業の変化は?

外食産業に大きな影響を与えたのが新型コロナウイルスの感染拡大であることは周知の事実ですが、今一度振り返ってみましょう。当時、感染リスクを避けるため、国からは3密を回避した行動が呼びかけられました。飲食店は限りなく3密に近い状況になることから、感染リスクをおそれた多くの人々は外食を避け始めました。

特に、緊急事態宣言が発動されてからは、飲食店に時短営業が要請され、大幅に売上を落とした飲食店も多々あります。

こうした状況から、フードデリバリーやテイクアウト事業への取り組みを始める飲食店が増えました。居酒屋がランチタイムに弁当を販売する、焼肉店が自宅で楽しめるテイクアウト用の焼肉セットを提供するといった取り組みが代表例です。

しかし、しばらくするとフードデリバリーやテイクアウトへの需要は過当競争となり、にわかに対応した店舗がクオリティを落として苦戦することになりました。

イートインを中心としている飲食店がデリバリーやテイクアウトに対応するためには、レイアウトの変更が必要であったり、オペレーションのリズムが違ったりするため、難しさを感じて対応を断念する店舗も増えました。現在はテイクアウトやデリバリーはある程度淘汰され、経営体力のある店舗規模の大きい企業だけがサービスを継続している傾向にあります。

2023年の外食産業はどう変化する?

新型コロナウイルスが終息傾向にあるものの、変異株の脅威が完全に拭い去れたわけではありません。ただ、政府が新型コロナウイルス対策を緩和したこともあり、飲食店への客足は戻りつつあると考えられます。

そして人々が店内で飲食することへの抵抗感も、少しずつ和らいでいます。一方で、感染対策の一環として多くの企業が導入したリモートワークが新たな働き方として定着したため、客足が以前と同じ水準に戻るのは難しいのではないかとう懸念があるのも事実です。

また、異業種の攻勢にも注意が必要です。たとえば、コンビニはコロナ禍の恩恵を受けた部分もあり、優れた商品開発力を武器に数々の魅力的な商品をリリースしてきました。コンビニが、今後も飲食店の顧客を奪うほどの攻勢をかけ続ければ、格安業態の飲食店は売上が大幅に減少することも考えられます。

今後も飲食業界で生き残るためには、同業他社だけでなく異業種にも目を光らせなくてはなりません。魅力的なメニューを開発するのはもちろん、他店舗との差別化要素をいかにしてアピールするかも重要なポイントです。

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まとめ

2023年以降も伸びると考えられる飲食店は、消費者のニーズを正確に把握したうえでより嗜好性の高い商品を提供でき、なおかつ、お客様との関係をより親密にしてファン化できる店舗です。今後来ると考えられるトレンドも把握したうえで、新たな商品や開発のヒントにしてみましょう。コロナ禍で失った顧客を取り戻そうと、多くの飲食店が本腰を入れて戦略を組み立てていることを意識しつつ、積極的に他店との差別化を進めていくのも大切なポイントです。

参考URL

グルテンフリー専門店「米粉labo」誕生の背景とは?|ぐるなびPRO
東京で楽しめる絶品カルダモンロール5選|Time Out Tokyo
グルテンフリーの魅力と始め方を徹底解説!|クラシル
グルテンフリーとは?食品やレシピ、メリットを紹介|食ラボ by ユニテックフーズ
グルテンとは?小麦や健康への影響・グルテンフリーも解説|CHERPA(シェルパ)
グルテンフリー食品市場の最新動向とは?|PR TIMES
グルテンとは?|神戸製粉株式会社
グルテンフリーについて知ろう|ケンミン食品 Be fun labo
レストランに求められる“グルテンフリー対応”とは?|ぐるなびPRO
飲食業界におけるグルテンフリーメニュー導入のポイント|NECプラットフォームズ
フードデリバリー市場規模の将来予測(2028年まで)|xenoBrain

監修者:太田 とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL https://toyoshiki-ohta.com

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