飲食店が人手不足になる理由は?原因と対処法を解説

目次

慢性的な人手不足に悩む飲食店経営者は少なくありません。人手が足りないと業務に支障をきたし、サービス品質の低下も招きます。ただ、正しく対策すれば、このような事態の回避が可能です。本記事では、飲食店が人手不足に陥りやすい理由や、具体的な対策について解説します。

飲食店における人手不足の現状

人手不足であると感じている飲食店は数多く存在します。「飲食店リサーチ」が実施したアンケート調査によれば、対象経営者・運営者のうち67.4%が「従業員不足を感じる」と回答しました。この結果からも、多くの飲食店が人手不足に陥っている現状が理解できます。

また、直近1ヶ月における応募状況はどうかとの問いに対し、「充分に応募がある」と答えたのは3.9%の事業者のみでした。一方、「少ないが応募はある」と回答したのは29.9%、「応募がない」と答えたのは18.8%と、スムーズに人材を確保できないどころか面接さえも十分に出来ない状況であることが見て取れます。

コロナ禍で人手不足はさらに深刻化

新型コロナウイルスの世界的な流行により、さまざまな業界が大きな打撃を受けました。飲食業界においても例外ではなく、売上や利益が低下した企業が続出したほか、採用活動にも影を落としています。

コロナ禍により、飲食店の人材確保は困難を極めるようになりました。飲食店は、どうしても不特定多数の人と対面するため、感染リスクを懸念してバイト先候補から除外する人が増加しました。

また、感染リスクを懸念した人々は外出を控えるようになり、飲食店の売上は大幅に落ち込んだことから、飲食店で人員を増やすための経済的余裕が失われたことも、採用難につながっています。 このような状況を目の当たりにすれば、飲食業界に就職しても将来性はないと考える方が大勢現れても不思議ではありません。

飲食店が人手不足に陥る4つの理由

コロナ禍で人手不足が加速化した飲食業界ですが、もともとこの業界は慢性的な人手不足に悩まされていました。理由としては、労働環境の悪さや給与に見合わない仕事量の多さ、シフト調整の難しさ、収入が安定しない雇用形態が挙げられます。

労働環境が悪い

飲食店の労働環境は、決してよいとはいえません。サービス残業の常態化やワンオペ対応など、体に大きな負担がかかることも多いため、敬遠されがちです。

サービス残業が常態化している職場なら、立ちっぱなしで長時間労働に従事しなくてはならず、長くは続けられないと早々に辞めてしまうケースも少なくありません。

また、来店客からの理不尽なクレームへの対応に迫られ、精神的にダメージを負うケースもあります。来店客と直接顔をあわせるホールスタッフであれば、日常的に頻繁なクレーム対応を求められることもあるでしょう。

仕事量と給与が見合っていない

仕事量の多さに対し給与が見合わないと感じる人が多いのも、人手不足に陥る原因です。実際、飲食店では1人のスタッフがいくつもの業務を兼任するケースが少なくありません。

アルバイトであっても、正社員や店長などとほぼ同じ業務に携わっているケースもあります。アルバイトで給与が低いにも拘らず、正社員や店長と同等の業務をこなさなければいけないとなると、不満が高まっても不思議ではありません。

シフトの調整がしづらい

飲食店で働くスタッフのシフトは流動的であるケースがほとんどです。ピークタイムこそあるものの、立地によっては混雑するタイミングを予測しづらいためです。

急に大人数での予約が入ったときなどは、お店側の都合でシフトを変更される可能性もあります。不規則なシフトになりがちであるため、プライベートのスケジュールが組みにくく、お店に不満を抱く可能性は大いにあるでしょう。

また、希望のシフトを提出していても、他の従業員があとから休日を申請してシフトが変更される、といったケースも珍しくありません。 

収入が安定しない雇用形態

基本的に、多くの飲食店ではスタッフをアルバイトやパートとして雇用しています。アルバイトやパートなどは、正社員のように雇用が保証されておらず、長期就労向きの雇用形態とはいえません。

そのため、雇用の不安定さを理由に離職を考える人も少なくないでしょう。また、非正規雇用であるにも拘らず、正社員と同じ業務を任されることも多く、不公平と感じ離職を決意する人もいます。

飲食店で働きたい人のなかには、何かしらスキルを身につけたいと望む人もいると考えられます。しかし、従業員を育成する体制や環境が整備されていないとそれはかなわないため、見限って離職するケースもあり得るでしょう。

人手不足による飲食店への悪影響

人手不足が常態化してしまうと飲食店の経営の全てに大きな影響を与えてしまい出口が見えなくなってしまうほど深刻になることがあります。このような状況にならないように経営者や管理者は常に気を配って運営していかなくてはいけません。その中でも顕著に現れる悪影響をあげてみます。

労働環境の悪化

人手が不足すると、従業員1人あたりの業務負担が増加します。個々の従業員がこなせる業務量には限界があるため、それを超えてしまうと心身の故障を招きかねません。

また、従業員のモチベーション低下にもつながります。過度な肉体的、精神的負担がかかることで、意欲やサービス精神が失われるかもしれません。

従業員同士の関係性が悪化する懸念もあります。個々の従業員がストレスを抱えて業務に取り組んでいる状態では、諍いも発生しやすくなるでしょう。普段であれば笑って許せることも許せなかったり、些細なことで言い争いになったりといったことも考えられ、職場の雰囲気が悪くなってしまいます。

接客サービスの低下

人手が足りなければ、必然的に接客品質が低下します。従業員一人ひとりの負担が大きくなり、十分な接客を行うだけの余裕が失われるためです。

来店客への対応が遅れる、細やかな気づかいが失われるといった事態が生じれば、来店客からの印象も悪化しかねません。その結果、インターネット上やSNS上にネガティブな口コミを投稿される、クレームが発生しやすくなるなどのおそれがあります。また、サービス品質の高さに魅力を感じて足を運んでいた顧客も離れてしまうでしょう。

接客に関する悪評が広まると、たとえ提供する料理に問題がなかったとしても、飲食店経営の継続すら危ぶまれます。インターネット社会である現代では、ネガティブな情報もまたたく間に広がるため、評価が地に墜ちるのも一瞬です。

従業員の離職

人手不足が従業員の離職を招くおそれもあります。個々の従業員にかかる過度な負担は、離職を考える理由として十分です。従業員が辞めると、残された従業員へさらに負担がのしかかり、また人が辞めていくといった悪循環に陥ります。

従業員が辞めれば、新たに人材を確保しなくてはなりません。採用にもコストと時間がかかり、戦力として育てるのにも手間がかかります。

離職の連鎖が続くと、最悪閉店につながります。人手が足らずに通常通りのサービスが提供できないとなれば、残されているのは廃業への道です。また、悪評により客足が遠のいてしまい、大幅に売上が低下した結果、経営が成り立たなくなるケースも考えられます。

飲食店で人手不足を解消するには

飲食店の人手不足を解消するには、採用の幅を広げることが有効です。また、雇用条件や評価方法を見直し、従業員が働きやすい職場環境を整備することも大切です。

採用の幅を広げる

採用の幅を広げることで、採用対象となる層が増え人手不足を解消できる可能性があります。たとえば、年齢制限をなくす、主婦や学生、外国人労働者を採用するといった対策が考えられます。

外国人労働者を採用するのなら、取得している在留資格を確認しましょう。在留資格の種類によっては、日本の飲食店で働けません。留学生、もしくは技能・人文知識・国際業務の在留資格を有する外国人労働者を採用しましょう。

なお、必要な在留資格を有さない外国人労働者を採用してしまうと、飲食店側も罰則の対象となるため注意が必要です。場合によっては、不法就労助長罪が適用され、最長3年の懲役もしくは最大300万円の罰金が科されるおそれがあります。

年齢制限を撤廃し、シニア層の採用に取り組むのも人手不足解消に有効です。シニア層を採用するときは、求める業務を遂行するだけの体力や、持病などの有無を確認しておきましょう。飲食店の仕事は体力的にハードであるため、採用したものの通常期待される業務量の半分もこなせない、といったことが起きる可能性もあります。その反面、助成金や補助金を利用した雇用も可能ですので検討の余地があります。

働きやすい環境を作る

働きやすい環境の整備により、スムーズに人材を確保できる可能性があります。従業員が快適に働ける環境を整えれば、飲食業界に対するネガティブな印象を払拭でき、求人への応募者数が増えるかもしれません。

また、これは既存従業員の離職防止にも有効です。従業員にとって働きやすければ、長く勤めてくれる可能性が高まり、離職の連鎖といった惨事も回避できます。

具体的な対策としては、定休日の設定や業務時間の短縮、福利厚生の充実、給与アップなどが考えられます。また、仕事に取り組みやすいよう業務マニュアルを作成する、ITツールを導入して効率化を図るといった試みもよいでしょう。

雇用条件を見直す

雇用条件も見直してみましょう。魅力的な雇用条件を提示すれば、求人の応募者が増加する可能性があり、従業員の離職回避にもつながります。もっとも効果的と考えられるのは、時給や基本給のアップです。

ただ、飲食店によっては経営に余裕がなく、時給や基本給を上げられないところもあるでしょう。このようなケースでは、別の価値を与えることで報酬アップの代替えにできます。たとえば、無料のまかないを提供する、プライベート利用で従業員割引を適用する、アルバイトにも可能な範囲で大入りを支給するなどが考えられます。

評価制度を見直す

評価制度の見直しにより、人手不足を解消できるかもしれません。公正で、かつモチベーションアップにつながる評価制度を採用すれば、人材を採用しやすくなり離職防止にもつながります。

たとえば、成果に応じて報酬を変化させる評価制度を採用するのもひとつの手です。売上に応じたインセンティブを支払う、個々のスキルを評価し見合った報酬を用意する、といった具合です。

わかりやすい評価基準を設ければ、従業員のモチベーションアップにつながります。どうすれば評価されるのかを理解できるため、より意欲的に働いてくれるでしょう。

人間関係を良好に保つ

人間関係が嫌になり、職場を去るといったケースは珍しくありません。従業員同士の人間関係がよくないと、職場の雰囲気が悪くなり、新たに採用した人材も嫌気がさしてすぐ辞めてしまう可能性があります。

そのため、経営者や責任者は、日ごろから従業員同士の人間関係をチェックしましょう。あからさまにチェックしていると、素を見せてくれない懸念があるため、さりげなく観察する必要があります。

また、個々の従業員と面談する機会を設けるのもよいでしょう。業務中は特に問題なくやり取りしていても、実は心に何か秘めている従業員がいるかもしれません。1対1の面談を実施すれば、正直な気持ちや現場の実情を知ることができ、具体的な対策を打つヒントが得られます。

教育制度を構築する

教育制度を構築するのも、人手不足の解消に役立ちます。飲食店で働きたいと考える方のなかには、将来的に飲食店を経営したい、調理の技術を身につけたいといった方もいます。このような方たちが学べる環境を整備することで、人材確保や離職防止につながります。

教育制度を構築したら、採用活動でアピールすることも大切です。たとえば、求人広告に「教育制度完備」「将来的な独立支援あり」と記載すれば、飲食業界で学びたいと考えている層を呼び込めます。

技術や知識を身につけたいと考える層は、意識が高く貴重な戦力として活躍してくれる可能性があります。幹部候補として育成し、いずれは支店を任せる、のれん分けするといったことも実現できます。

ツールの導入で業務効率化を図る

ツールの導入により業務効率化を実現できれば、業務時間短縮や従業員の負担軽減を実現できます。過酷な労働環境の改善につながり、人材確保がスムーズに進むかもしれません。

たとえばセルフレジや電子決済を導入することで、レジ前の混雑回避につながるほか、従業員の作業も少なくなります。セルフレジであればレジ担当者が不要になるため、ほかの業務へ回せます。

タッチパネルでオーダーできるシステムの導入もおすすめです。わざわざ従業員がオーダーをとりにいく必要がなくなり、リソースを有効活用できます。近年では、居酒屋チェーン店や回転寿司チェーン店などでも、タッチパネルシステムを採用するところが増えました。

また、マニュアル作成ツールを導入すると、容易にマニュアル作成や編集ができ、スマートフォンやタブレット端末で共有できます。動画や画像を利用できるツールであれば、わかりやすいマニュアルを作成でき、従業員教育の手間やコスト削減にもつながります。

従業員が辞めない仕組みを作ることも大切

ホスピタリティ&グローイング・ジャパンが、サービス業で働く人を対象に実施した「辞めない理由」のアンケート調査では、良好な人間関係が1位にランクインしています。2位には充実した教育制度、3位には明確な評価制度がランクインし、4位にはよい労働条件と環境、5位には働きやすいシフトが入っています。

この調査結果から分かるように、人間関係が良好な職場や充実した教育制度を導入している職場であれば、長く働き続けたいと考える人が大勢います。本格的に人手不足の解消に取り組むのであれば、これらの調査結果をもとに、従業員が辞めない、働き続けたい職場環境の構築や仕組みづくりを意識する必要があります。

売上拡大のための施策も検討しよう

従業員の賃金を上げるにしても、先立つものがなければ不可能です。十分な報酬を与えるには売上を拡大させる必要があり、集客力強化にも注力しなくてはなりません。

近年では、飲食店を探す際にインターネットでコロナ対策状況などをチェックする方が増えています。安心して来店してもらえるよう、Webサイトや予約サイトを通じて、どのような対策を行っているのか発信することも大切です。

さまざまな予約サイトがありますが、おすすめなのは「食べログ」への登録です。日本最大級のグルメサイトである食べログには、日々大勢のユーザーがアクセスしており、認知の拡大に適しています。

また、食べログ運営会社は求人サイト「求人ボックス」を運営しており、同媒体で募集している企業は食べログにも求人を掲載できます。オンライン予約やクーポンの発行と、売上アップが期待できる機能を備えるだけでなく、店舗の体制づくりもサポートしているのが特徴です。

まとめ

飲食店が人手不足に陥ると、職場環境が悪化しサービス品質の低下、従業員の離職などにつながります。最悪のケースでは閉店に結びつくことも考えられるため、効果的な人手不足対策に取り組みましょう。 人手不足の解決と売上アップを同時に狙いたいのなら、「食べログ」への会員登録がおすすめです。店舗紹介ページへ求人広告を掲載できるほか、売上アップに役立つさまざまな機能を利用できます。


参考URL

飲食店の7割以上が人手不足!5つの原因と10の対処法|Food's Route Magazine
飲食店が人手不足で閉店してしまう理由とは? | 居抜き売却市場
飲食店の人手不足は何が原因?4つの理由と解決方法【事例あり】 - PayPay
飲食店のための人手不足スパイラル脱却術(前編)~求人・採用前にすべき組織改革|フーズチャネル
飲食店の約7割が「人手不足」を実感。「賃上げしても効果なし」の声も | 飲食店ドットコム ジャーナル
飲食店の約7割が「人手不足」を実感。「賃上げしても効果なし」の声も (2/2) | 飲食店ドットコム ジャーナル
飲食店の人手不足はどうなる!?アルバイト市場動向から見る採用戦略|みんなの採用部
【飲食店向け】人材確保!人手不足の原因から対策方法までご紹介! | テンポスフードメディア
人手不足が企業経営や職場環境に与える影響について|厚生労働省

監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com 

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