飲食店が人手不足に陥る原因とは? 対策とポイントを紹介

飲食業界では人手不足が深刻化しており、人件費と福利厚生費が急激に上がってきています。人手不足はどの業界でも問題視されていますが、特に飲食業界では喫緊の経営課題です。 この記事では、飲食店が人手不足になる原因と対策、人手不足を放置した場合のリスクについて解説します。

目次

いま飲食店の多くが人手不足に陥っている

飲食業界の人手不足は慢性的なものになっており、人手不足に慣れてしまった従業員や経営者が「人が足りないなりの営業の仕方」のようなものを、妥協した形で受け入れてしまった店舗が多くなっているのが現状です。 実際に今、飲食店の多くは人が足りないと感じているようですが、営業できなくなる事態にまで陥っている店舗はそこまで多くありません。しかし、どの業界でも人手不足が叫ばれる昨今、利益が出ているにもかかわらず、人手不足のために営業困難に陥り、仕方なく閉店せざるを得ないという店舗が今後増えてくるかもしれません。経営者として、この問題に対する切迫感を持っている必要があります。今の段階であらゆる手を打ち、少しでも問題を改善していきましょう。

飲食店が人手不足となってしまう原因

まずは、人手不足となる原因をはっきりとさせていきましょう。その原因の種類によって、打ち手は当然変わり、陥りやすいパターンも予測できるはずです。そして原因が特定できたら、そのひとつひとつの解決策を考えていきましょう。

従業員が給与に納得していない

最初に確認しておきたいのは、従業員に対して仕事に見合った給与を支払っているかという点です。どんなに居心地の良い職場であっても、仕事仲間と信頼関係があり楽しくても、ほとんどの人が生活のために仕事をしています。常に「もっと割の良い仕事はないか」「もっと働きやすい条件の職場はないか」と考えるのは当然で、給与面での満足度は他店と比較され続けていると考えるべきです。特に自分のスキルに自信がある人は、今よりも高く評価してくれる店へ転職するでしょう。 今一度、目玉商品となる料理の価格を決めるときと同じような気持ちで、真剣に他店と比べて時給や給与を検討し直してください。「適正な労働対価」というチェックポイントがクリアできなければ、他の策を講じても問題の解決には至らないでしょう。

労働環境に問題がある

次に確認してほしいのは、従業員の労働環境が整っているかどうかです。労働環境に関して問題を抱えている店舗は、おおむね長年営業しており、「これまでこうやってきた」「今までの従業員は、この環境で普通にこなしていた」といった理由でその体制を守り続けてしまっています。 世の中の変化に取り残され、いつの間にか他店に比べて労働環境が劣悪になり、それに耐えられるベテランがいることから、改善しようとしてこなかったことがこの状況を生んでいます。 従来の労務管理は今、高確率で通用しないと考えてください。これから店舗の中心となる若い人材が快適に仕事を進められる労働環境か、それ以上に満足できる状態を作り上げていきましょう。過去の鍛錬や成功体験を美化しすぎることで、店舗経営は確実に衰退を辿っていきます。

人間関係が良好ではない

人間関係の悪化も人手不足を招く大きな原因のひとつです。いくら給与や時給が高くても、人間関係が良くない職場では従業員が多大なストレスを感じ、いずれ離職してしまいます。職場の人間関係が悪化する要因はさまざまですが、たとえばベテランの従業員が新人に厳しく当たりすぎている、店長やオーナーのパワハラが横行しているといったケースも少なくありません。

職場の雰囲気や人間関係は、経営者やオーナーなどからは見えにくい部分でもあります。そのため従業員との面談やアンケート調査を実施するなどして、職場の実態把握に努めましょう。その上で職場環境を改善するための方策を考えるべきです。

従業員が能力をいかんなく発揮し、店舗の売上や顧客満足度の向上に貢献してもらうためにも、風通しの良い職場環境の構築が不可欠です。

人件費や広告費の不足によって採用が難航する

売上に対するそれぞれの経費のかけ方は、経営の難しさを感じる部分ですが、一にも二にも人にまつわる経費は最も重要であるはずです。人材が足りないという状況は、お店の全ての業務に影響し、ジワジワと売上の低下に現れ、利益の減少につながります。

しかし、店に人件費や広告費を支払える体力がなければ、今いる従業員の給与を上げることも、優秀な人材を新たに雇うこともできません。その結果、今いる従業員の負担が増加して離職を招き、低い給与で常に募集をかけ続けてしまうという悪循環に陥りかねません。 また、人手不足の傾向は飲食業界に限らず、多様な業界が積極的に募集をかけています。そのため、条件のよい業界に人材が流出してしまい、飲食店では求人広告を出してもなかなか人が集まらないというのも、採用が難航する一因となっています。

人手不足への対策方法とポイント

ここまでは、人手不足の原因を確認してきましたが、人手不足を改善するためにどんな対策が必要なのでしょうか。人手不足への対策方法とポイントを解説します。

従来とは異なる媒体で求人を出す

最初に考えてほしいのは、これまで利用してきた広告媒体の効果です。求人情報を載せる広告媒体を選ぶ際、いつも使っている媒体の継続割引がある、反応がゼロではないからといった理由で、これまでと同じ媒体を使い続けている店舗も少なくはないでしょう。しかしいくら求人を出しても、適切な人材を集められなければ何の意味もありません。これまで利用してきた広告媒体の効果が薄いなら、別の媒体で求人を出すことも検討しましょう。

現在の求人方法は、広告掲載型の求人誌やオンライン求人、成功報酬型オンライン求人などがメインとなっていますが、無料の掲載が可能なハローワークや専門学校などの掲示板などには必ず掲載するべきです。

またSNS採用(ソーシャルリクルーティング)は、地域性や年齢などターゲットしっかり絞り込んだ広告として高いパフォーマンスを出しているため、試す価値は十分にあります。

さらに、近年ではどの業界でもリファラル採用が注目されています。古くから実施されている人材の採用方法で、「紹介制度」という表現がわかりやすいでしょう。今勤務している従業員に協力を仰ぎ、知り合いを紹介してもらう形が典型的な方法です。 リファラル採用は従業員の協力が不可欠なので、従業員が友人や知人に店を紹介しやすい環境を整えることが大切です。労働条件を改善するのはもちろん、社風や企業理念もしっかり伝え、フィーリングの部分も合うような離職の可能性が低い人に集まってもらえるようにしましょう。 紹介してくれた従業員や、入社してくれた従業員への報酬も忘れずに設定してください。リファラル採用では、報酬を支払ったとしても求人掲載費用がかからないため、一般的な求人募集方法よりも採用コストを抑えられます。また、従業員は報酬を得ることで自社への信頼感が増し、定着率の向上にもつながります。

業務をシステム化して省人化する

人手不足を解消するのは人の補充だけではありません。徹底した作業の合理化と、作業のシステム化・DX化を推進することも役立ちます。

まず、作業のマニュアル化はとても有効です。仕事の流れが整理されたマニュアルを作成することで、無駄な業務を洗い出し、新人教育にかかる時間も削減できます。

同時に、システム化、DX化も進めましょう。たとえば、レジ会計業務を効率化できるPOSシステムや、シフト表作成の負担が減る勤怠管理システムの導入が挙げられます。配膳業務の効率化や、少ない人員でもピーク時間のサービス品質維持を目指すなら、配膳ロボットの導入も選択肢のひとつです。 システムやツールを導入する場合、月々のランニングコストが割高に感じる人が多いと思いますが、採用コストや新人育成コスト、シフト管理にかかる時間や労力を減少できるため、メリットは決して小さくありません。コストや労力を削減できれば、そのリソースを給与などに充てることができ、今いる従業員のモチベーション向上や離職防止につながります。

給与や待遇を改善する

お客様が「こんな美味しいのに、こんな安い」と喜ぶように、従業員も「こんないい職場で、意外と給与がもらえる」と思える環境なら嬉しいはずです。そのような職場なら長く勤務し続けたいと感じることでしょう。そのため給与や待遇の改善は、人材不足を解消するための大きな効果が期待できます。

これから新しい人材を募集し、面接して教育していくコストや労力を考えてみましょう。新人を獲得するより、今いる従業員に充足感を得てもらうほうが確実に人手不足対策になるとわかるはずです。たとえば着替える場所を綺麗にしたり、賄いを少し豪華にしたりと、多くの経費を投入しなくてもできることは多数あります。

シフトを柔軟に対応する

飲食業界では、曜日などによって変則的なシフトを導入している店舗が多いと思います。来店するお客様の動向に合わせたシフトになるのは仕方ありませんが、それによって料理とサービスを提供する従業員の負担が増えるのは避けなければなりません。飲食店というビジネスモデルを支えているのは、紛れもなくそこで働く従業員です。

特に飲食店は、主婦や学生などのパート・アルバイトに支えられているといっても過言ではありません。 主婦や学生には家庭や学校の都合があるため、シフトの融通がきく店舗であるほど満足度が高まります。そのためシフトを作成する際はできるだけ柔軟に対応しましょう。従業員の満足度が上がれば離職を防止でき、人手不足対策になります。

外国人の従業員を雇う

総人口の減少や少子高齢化にともない、日本の働き手は根本的に不足している状況です。そこで改めて、これまで勤務候補者に入っていなかった人が候補になり得ないのかを考え直すことも大切です。

最初に挙げられるのは外国人労働者です。在留資格のある人は、スキルや能力が高いケースが多く、即戦力として活躍してもらえます。身元がはっきりしていることも安心材料でしょう。また高齢者や障害者にお願いできる業務がないのかを検討することで、新しい展開が見えてくることもあります。

人手不足を解消しないとどうなるのか?

人手不足の状態にあるにもかかわらず、「今いるスタッフで何とかまわっているから」と、改善策を講じない店舗は少なくありません。しかし人手不足を放置したままでいると、サービスの質が低下し、経営状態の悪化を招きます。今いる従業員の負担が増し、さらなる離職にもつながるでしょう。

接客などのサービスの質が悪くなる

人手不足の状態で営業すると、従業員ひとりあたりの負担が増えます。その結果、仕事の質が悪くなり、お客様へのサービス品質が低下してしまいます。 サービス品質が低下すれば、お客様が不満を募らせ、クレームにつながるでしょう。クレームが入れば従業員のストレスや不満が溜まる、萎縮してしまうなどして、さらなるサービス品質の低下や離職につながるという悪循環を生み出します。

お店の経営が厳しくなる

悪循環に陥ると、店舗経営ではさまざまなところに影響がおよびます。従業員が離職して人材が圧倒的に不足すれば、店の経営がままなりません。うまく機能していないお店の嫌な雰囲気をお客様は確実に感じ、足が向かなくなることは明白です。

十分な人員で営業できない店舗では従業員の疲労は溜まり、必要な動きができなかったり、準備や仕込みが間に合わなかったりするため、メニューのカットや営業時間の縮小といった対処をせざるを得ないでしょう。事業自体の縮小となっていきます。

さらなる離職を招く

飲食店から離れていってしまうのは、お客様だけではありません。離職者が増えることで残された従業員の負担は増し、過度なストレスを抱えるでしょう。そのような状態で仕事を続けるのは難しく、他にもっと労働環境のよい職場があれば、辞めていくのは当然のことです。 従業員がひとり辞め、新人が入ってきたと思ったらまたひとり退職するといったパターンに陥る店舗は少なくありません。

まとめ

飲食店にとって一番怖いのは「あのお店、なんとなくいま一歩だったね」という感想です。そしてその反応は、人手不足という状況で笑顔を奪われてしまった従業員が作るお店の雰囲気が原因であることに注意を向けましょう。そして、このような状況にならないように、できるだけ早い段階で可能な限りの施策を進めていくべきです。

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参考URL

飲食店に業務マニュアルはなぜ必要?マニュアル作成と活用法のいろは | Airレジ マガジン
約8割の飲食系企業が人手不足を実感|その理由と3つの対策方法 | ボーグル
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飲食店の人手不足問題に終止符!原因と対策を徹底解説 | KitchenBASE
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監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com 

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