飲食店の開業に必要な資金はいくら? 費用の内訳や調達方法
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飲食店を開業するには、店舗の物件を決めたあとに外装や内装、設備などを整えることはもちろん、認知度を上げるための宣伝を行うなど、さまざまな費用が必要です。この記事では、飲食店の開業にはどのような費用がかかり、どれだけの資金が必要なのかといった情報や、資金を調達する方法などを解説します。
目次
飲食店における開業資金の重要性
飲食店を開業する際には、物件取得費用、店舗の外装、内装、備品などの初期費用や、店舗が軌道に乗るまでの運転資金を準備する必要があります。店舗関連の支出のほかに、売り上げが安定するまでの自分や家族の生活費も残しておかなければなりません。店舗が開業してすぐにはまだ認知度が低く来客が少ない状態が続くため、店舗運営が安定するまでは開業資金を取り崩していくことも想定するべきです。
オーナーの病気やケガによる休業、食材の高騰によるコスト増加、景気の悪化による売り上げの低下などの理由から、店舗の経営に悪影響が出るケースもあります。なんらかの理由で経営コストがかさみ、早い段階で準備していた資金が不足してしまうと、家賃の支払いや食材の仕入れができなくなり店舗の維持が難しくなります。そのため、開業から店舗運営が安定するまでの資金は、余裕をもって準備しておくことが重要です。
開業資金を調達する方法には、自己資金や銀行、政策金融公庫などの融資制度、補助金や助成金など複数の方法があります。開業資金を全て返済の必要がない自己資金で準備できるのが理想ですが、実際にはそれが難しいケースも少なくありません。開業時には、経営計画を立てて必要な開業資金を試算し、準備しなければなりません。さまざまな資金の調達方法を理解して選択肢を増やしておくと、開業や経営時に役立てられます。
飲食店の開業に必要な資金の目安
飲食店の開業に必要な資金は、開業から当面の運転資金などを全て含めて1,000万円程度を目安にできます。開業資金のうち、半分から1/3程度の約400万円は自己資金にするべきです。自己資金が多い方が、融資の審査にも通過しやすくなるなどのメリットもあります。ただし、開業の方法やお店の種類などは異なるため、必ずこの金額が該当するわけではありません。あくまでも資金の目安額として参考にしてください。
開店後にも、利益が安定して出せるようになるまで、ある程度の期間は必要な経費を運転資金から支払っていく必要があります。一般的に、経営が軌道に乗るまで6ヶ月以上がかかるとされています。運転資金は最低6ヶ月分が必要になると考えられるため、テナント料や人件費、材料費、宣伝費用、消耗品など毎月の経費を合計すると、必要な運転資金は約300~600万円です。お店の規模や業種によっても、運転資金として準備しなければならない金額は異なります。テナント家賃から運転資金を考える計算方法では、家賃の10倍くらいの金額を運転資金として残しておくのが目安となります。例えば、家賃が15万円の場合の運転資金は150万円です。
飲食店を開業したあとには、運転資金の残高と相談しながら広告戦略やシステムの自動化を取り入れていくことも検討しましょう。店舗運営に食べログサービスを利用することで、店舗運営を合理化し、人件費の削減や運転資金の節約をすることが可能になります。食べログサービスでは、Webサイトで自店をPRできるため集客コストを削減できます。オーダーテイクや会計を自動化できるサービス、仕入れの簡略化とチェックが可能なサービスもあり、人件費や仕入れコストの削減につなげられます。
飲食店の開業にかかる費用の内訳
飲食店の開業費用には、物件取得、店舗投資、運転資金、生活費などの費用があります。各費用の内訳を把握していると開業費用の計算と経営計画の決定に役立ちます。
物件取得
飲食店を開業する際には、店舗物件を契約する「物件取得費用」が必要です。物件取得費用の目安額は家賃の13ヶ月分とされています。 【物件取得費用の内訳とその相場】
- 保証金(敷金):家賃の10ヶ月分
- 礼金:家賃の1ヶ月分
- 仲介手数料:家賃の1ヶ月分
- 前家賃:家賃の1ヶ月分と当月家賃の日割り分
仲介手数料は物件を仲介した不動産会社に支払う費用です。保証金は立地のよいエリアほど高額ですが、解約時には約8割が返却されるケースが多くみられます。
居抜き物件を借りる場合には、これ以外に「造作譲渡費」と「造作譲渡手数料」がかかることもあります。居抜き物件とは、物件の前の借主が設置し使用していた設備や内装、インテリアなどを撤去せず、そのまま引き継ぐ物件のことです。居抜き物件の造作譲渡費は、内装・設備・条件などによって金額が異なる費用で、前の借主に支払います。
店舗投資
居抜き物件以外では「スケルトン」と呼ばれる、コンクリートが剥き出しの内装・外装が全くない状態物件があります。この手付かずの物件を店舗に変えてお店をオープンするために、内装や外装、厨房などの設備を整えることが「店舗投資」です。店舗投資費用は、そのコンセプトや業種などによって異なりますが、1坪あたりの相場は50~80万円ほどとされており、20坪の店舗では1,000~1,600万円かかる計算になります。店舗の規模が小さいと店舗投資費用も軽減されます。
【店舗投資費用の内訳】
- 内装費:壁・床・照明など
- 外装費:外壁・看板など
- 厨房機器:シンク・ガス台・調理台など
- 食器:料理の提供に使う皿など
- 備品:鍋・フライパン・洗剤など
- 家具:テーブル・イスなど
広さによってはより安価な店舗投資でも開店できます。店舗投資費用を軽減させるための方法として、近年では以前からの設備をそのまま利用できる居抜き物件にも注目が集まっています。
運転資金
上記の費用は開業するためにかかる費用で、開業してからすぐ必要になるのが運転資金です。お店を開店してから安定した利益を出せるようになるまでは、運転資金を使ってお店を運営する形になります。運転資金には、「家賃・人件費・食材費・宣伝費」などが含まれます。 開業してしばらくの間は予想より売上額が低いケースも多く、利益が出せずに赤字になることも考えられます。開店からすぐに経営が軌道に乗るとは限らないため、6ヶ月分の資金を目安として準備しておくとよいでしょう。
生活費
生活費は、事業主とその家族の生活費のことで、飲食店経営に直接必要な費用ではありません。それでも、飲食店経営で利益が出ない期間があると、その期間には生活費が準備できなくなることから、経営が軌道に乗るまでにかかる期間分の生活費を準備する必要があります。 生活費は、運転資金と同様に6ヶ月分を目安にして準備します。家族で暮らす家の家賃や光熱費、食費など、必要な費用を計算し、開業資金に組み入れることが大切です。
飲食店の開業資金を調達する方法
飲食店の開業資金を全て自己資金で準備するケースはそう多くありません。多くの経営者は開業資金に日本政策金融公庫や民間の金融機関、補助金、助成金などを活用して開業資金を調達しています。
融資を受ける
融資を受ける場合、日本政策金融公庫や、民間の金融機関から受けられます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府関係の金融機関です。日本政策金融公庫は、創業者や中小企業・小規模事業者に対するさまざまな融資を行っています。新規開業時には、無担保かつ無保証で3,000万円まで融資を受けられる「新創業融資制度」、新たに事業を始める人や事業開始後主に7年以内の人が7,200万円まで融資を受けられる「新規開業支援」などの支援制度を活用できます。
民間の金融機関
民間の金融機関からも融資を受けられます。ただ初出店の小規模なお店の場合、メガバンクや規模の大きい金融機関から融資を受けるのは難しいとされています。まだ実績の出ていない新規開店のお店の信用度が低いことも、民間金融機関から融資を受けにくい理由のひとつです。
信用金庫・信用組合は、小口融資を主に行っている金融機関です。高額の融資が不要の場合には信用金庫などの機関から融資を受けることもおすすめです。金融機関からは、保証協会を介して融資を受ける方法もありますが、これでは融資が可能になるまで最低でも2ヶ月の時間がかかります。さらに、融資されたお金を物件取得費用や内装費用には使用できないといった問題もあるため、事前に調べておきましょう。
補助金・助成金を使う
補助金や助成金には、主に「小規模事業者持続化補助金」、「IT導入補助金」、「キャリアアップ助成金」などがあります。要件に合う補助金・助成金がある場合には、申請書を提出して承認されると、支給が受けられます。
- 小規模事業者持続化補助金:小規模事業者が自ら作成した持続的な経営のための経営計画に向けた取り組みに対する支援として経費の一部を補助する補助金
- IT導入補助金:中小企業・小規模事業者のIT機器導入時に受け取れる補助金
- キャリアアップ助成金:正社員を雇用・処遇改善を実施すると受け取れる助成金
開業しようとする店舗や事業の形態と照らし合わせ、利用できるものがあれば申請するとよいでしょう。各都道府県、市町村によってはその地域限定の補助金があることも珍しくないので、自治体の制度を調べてみるのもおすすめです。
共同経営をする
ひとつの飲食店を複数人で共同経営する方法も、高額の資金調達を可能にする方法のひとつです。一人で資金を準備するよりも、数人で資金を出し合う方が大きな資金が集まります。共同で飲食店経営をしたい人を募る方法で共同経営を行うと、経営の効率がアップしやすいなどのメリットが期待できます。 ただし、経営方針などで意見が分かれると経営がスムーズに行えません。共同経営をする場合には、メリットだけでなくリスクにも注意して検討する必要があります。
身近な人を頼る
資金調達では、家族や親せきなどの身近な人から資金を借りる方法もあります。お金に余裕がある家族などから資金を借りられると、金融機関などから融資を受ける場合よりも資金調達がスムーズに進められます。身近な人から資金を借りる場合には、その利子や返済計画まで立てることが大切です。
万が一にも金銭トラブルになることを避けるため、借りるときには契約書を交わして、確実に返済しなければなりません。 知人から譲渡されたお金は自己資金に当たりますが、借入れをしたお金は自己資金には該当しません。「借入れ」とせずに「自己資金」と処理して融資の際に資産を多く見せることは、金融機関からのチェックが厳しく入るため注意が必要です。
広く支援者を募る
現代では、インターネットを介したクラウドファンディングを利用して、複数の支援者から資金を集めることが可能です。支援者からの賛同が得られ、目標金額を達成できれば、資金を得て開業まで進めます。クラウドファンディングサイトにもさまざまなタイプがあるため、自店に適したサイトを選ぶことが大切です。
ただし、「お店をやりたいので開業資金を支援してください。」といった単なるお金集めでは賛同は得られません。幅広い人に支援してもらうには、プロジェクトの内容とビジョンをしっかり伝えて、お互いに利益のある魅力的なリターンを考える必要があります。
飲食店の開業に必要な融資を受けるコツ
飲食店の開業に融資が必要な場合、融資を受けるためには事業者としての信用が必要になります。これまでに取引がない金融機関に新規で融資を申し込む場合は、信用度が低いため融資を受けにくい点に注意しなければなりません。 金融機関から融資を受けるには、その金融機関を利用している企業から紹介してもらう、事業の決済口座として利用するなど、日頃からつながりをもっておく必要があります。取引を重ねて信用度を高めることで、融資が受けられるようになります。
まとめ
飲食店の開業に必要な資金は、物件取得費用や店舗の外装・内装備品などの初期費用だけではありません。開業後に経営が軌道に乗るまでしばらくの間は、運転資金や生活費も必要になります。開業後にかかる費用が不足すると経営が続けられなくなるケースもあるため、経営計画を立てて開業資金を計算し、さまざまな資金調達方法からメリットのある方法を選んで資金調達を行いましょう。
参考URL
融資制度一覧|日本政策金融公庫
飲食店の開業にともなう7つのリスクを解説|知らずに開業すると危険|OTOMOmagazine
飲食店の開業にはどんなリスクがありますか?|飲食店M&Aサポート
飲食店経営で資金繰りに困らないようにする運転資金確保のコツとは?|AIG損保
これを知らずに飲食店を開業してはダメ!お金に関するオモテには絶対出てこない真実ー前編 | 起業・創業・資金調達の創業手帳
いくらあれば自分の飲食店を開業できる? |ミクリード
飲食店を開業する時にかかる費用は?現状と、補助金の活用や留意点は|補助金way
小さい飲食店を開業するために必要な準備・資金は?成功させるためのコツもご紹介|ペイサポ
飲食店の開業資金の平均相場はいくら?内訳や融資についても解説|ワイマガ
飲食店を開業するために必要な資金・手続きを紹介します!|クックビズ総研
飲食店の開業資金っていくらかかる?費用の内訳から調達方法まで解説|WCC
飲食店開業資金の相場はいくら?開業の流れも含めて解説!|テンポスフードメディア
飲食店開業をするとき、開業資金/運転資金はいくら用意したらいい? |起業・創業・資金調達の創業手帳
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飲食店の開業は自己資金ゼロでも可能?開業資金の内訳や調達方法について解説|飲食店の開業は自己資金ゼロでも可能?開業資金の内訳や調達方法について解説
飲食店の開業資金は?小さい店舗に必要な準備や資金調達を徹底解説!|開店ポータルBiz
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新しい資金調達の方法!飲食店のクラウドファンディング成功事例|NEC
銀行融資を引き出すためにはコツがある おさえておきたい3つのポイント|東大阪・奈良 会社再生・破産のご相談(弁護士法人i)
融資を受けるコツは?金融機関との付き合い方や書類の書き方を解説|ツギノジダイ
監修者:太田とよしき
プロフィール | 株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。 |
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