飲食店のアルバイト教育に効果的な手法やポイント、注意点を解説!

近年の人材不足は非常に深刻で、飲食店においてアルバイトの存在は、ますます必要不可欠となっています。アルバイトに定着してもらい最大限に力を発揮してもらうことが、収益の確保に直結します。そこで、アルバイトスタッフについて、教育方法と管理方法に焦点をあてて考えてみましょう。

目次

飲食店経営にはアルバイトの戦力化が不可欠

「あのアルバイトは使えないなぁ…」こんな言葉を経営者や店長から聞くことがあります。しかし、アルバイトがいなければ、営業がまともにできない飲食店は少なくありません。近年では、雇用形態が多種多様になっていますが、勤務時間が流動的で短時間でも応じてくれるアルバイトの存在価値は大きいものでしょう。 さらに最近では、副業を認める企業も増えていることも注目できます。空いた時間をアルバイトに充てる人も増えていくはずです。このような状況から、アルバイトを有効活用して戦力化できるかは重要なポイントとなってきます。

飲食店のアルバイトが定着しないのはなぜ?

アルバイトというと最初に「すぐ辞めちゃう。」と連想する人が多いようです。飲食店の現場にいると、確かにそれも事実と感じます。1日来ただけで連絡が取れなくなる人や、採用の連絡をしたのにそもそも出勤してこない人もいます。原因は、想像していた職場のイメージと違ったか、面接時のお店の印象が悪かったことがほとんどです。定着させるためにまずできるのは、アルバイトを迎え入れるウェルカムの体制を作ることです。

アルバイト教育に力を入れるメリット

アルバイトが定着するかどうかは、採用してから勤務して3日目までがキーポイントです。この最初の3日間で、アルバイトはこの店でやっていけそうかを判断します。つまり、辞める人が多いのもこの3日間です。 この段階でそのスタッフが近い未来のイメージを持てるよう、どんな仕事をどんなペースで覚えていくのかがわかるようにしましょう。そのためには、アルバイトの教育体制とスキルを習得するためのプログラムを確立しておくことが先決です。 これにより定着率も上がり、人事採用に必要な経費も抑制できます。

飲食店のアルバイト教育に効果的な4つの手法

採用したアルバイトが戦力として計算できるようになるまでの時間は、普段より余計に人件費がかかることになります。この期間をできるだけ短縮するため、また、なかなか覚えられずに退職してしまうスタッフを限りなくゼロに近づけるため、合理的な教育方法をすることが大切です。

マニュアルを作成する

経営者や店長の頭にあることを明文化してマニュアルにしておくことは、飲食店にとって最低限必要なことです。マニュアルを整理すれば、ムラなくいつも同じ熱量で、仕事の内容をスタッフに伝えられるでしょう。マニュアルは、必要に応じて写真や絵などを入れて、誰がいつその情報を見てもわかるようにします。

技術レベルの高い調理などが必要な飲食店では、マニュアル化することを嫌う店舗が多いようです。しかし、アルバイトを採用しないとやっていけないのであれば、必要以上にマニュアル化を避けないようにしましょう。 オペレーション・マニュアルは、全ての人をある一定のレベルまで引き上げるためのツールです。それを達成してからマニュアルでは伝えられない事柄を指導して、さらに高い技術を覚えてもらうことが正しいプロセスといえるでしょう。

OJTを実施する

『OJT』とは、On the Job Training(オンザジョブトレーニング)の略で、実際の現場での作業を通して仕事を覚えていくことを指します。ほとんどの飲食店では、現場ではない場所で研修するような、時間とお金をかける教育方法を実践できないため、このOJTに重心を置いています。 しかし、採用当初の勤務では、全てが現場の実践指導となるOJTだけになってしまうと、気軽に先輩のスタッフに質問できなくなります。

また、お客様を目の前にしながら仕事を覚えるという特異な空間となるため、新人アルバイトに精神的な負担をかけてしまうでしょう。それを避けるためにも、最低2、3時間でもいいので営業時間外の実戦ではない状況で、しっかりとコミュニケーションを取りながら教育する時間を取るべきです。

また、営業中のOJTでは「仕事を見せる」「説明する」「やらせてみる」「確認する」この4段階を踏むことが一番効果的考えられています。さらに、飲食店でのOJTは、お客様と共に過ごす時間が多いため、その場で仕事の説明や確認・評価ができず、後回しになりがちです。後回しになった確認・評価の作業を忘れてしまうと、スタッフのスキルの向上は望めないので注意しましょう。

受け入れ体制を整える

アルバイトが勤務初日にお店に対して抱く印象はとても大切で、その後のモチベーションにも大きな影響を与えます。勤務初日の研修担当者を厳選し、良い環境で指導を受けられるようにして、そのスタッフを受け入れる準備ができているかを今一度確認してください。

また、研修内容が固まっていなかったり、その日に教えられたことが、後日他の人から否定されたりすると、スタッフに大きな不安を与えます。一貫性を保つためにも、マニュアルを確定することが必要でしょう。 今日新人さんが来ることを知らなかった、ユニフォームが用意されてなかったといった、ちょっとしたことで不安にさせてしまうこともあります。アルバイトはお客様ではありませんが、最低限の準備は大切です。

評価制度を設ける

アルバイトが辞めてしまう原因の上位には常に、給与の不公平がランクインします。つまり「私はこれだけやっているのに、あの人と同じ時給か」という感情です。各スタッフとお店との関わりの深さ、生活においての重要度は多種多様になっていますので、仕事への身の入り方に差が出ることは理解する必要があります。その上で、このレベルまでできるのなら時給をいくらアップする、といった評価制度は必須となるでしょう。

飲食店のアルバイト教育で意識したいポイント

ここからは、アルバイトの教育において配慮すべきことを解説します。経営者、店長、正社員とアルバイトの協力体制をしっかり作れるように役立ててください。

継続的に指導する

アルバイトに一定の質を保って仕事をしてもらうためには、教え終わったかどうかではなく、実行できているかどうかで確認するべきです。「教えたから大丈夫だ」ではなく、そのスタッフが理解して実行し、それを「継続できるかどうか」が判断基準でなければいけません。

スタッフが一定の質を維持しながら仕事するように促すには、管理する側が継続的に同じことを「言い続ける」こと以外に方法はないでしょう。スタッフは、今日はできていても明日は同じようできるとは限りません。とはいっても、いつも注意するだけではやる気をそいでしまうので、できた点やよくやっている点をすかさずほめるようにしましょう。

ハウスルール・企業理念を教える

お店としてお客様に伝えたいと思っていることを、アルバイトスタッフにも伝えておくことはとても大切です。お客様であろうとアルバイトスタッフであろうと同じ人間で、そのお店に関わり経済活動を共にする人たちだからです。

経営者自身がその飲食店を通じて伝えたいメッセージ、譲れない想いや信念を形にしておくことで、スタッフの仕事に対する理解や取り組み方が変わっていくことはよくあります。アルバイトから社員への登用がよくあるお店は、この取り組みをとても重要視しています。

コミュニケーションを積極的に取る

アルバイトの教育を高いレベルで維持し、離職率が低いお店は、とにかく会話が多いことが特徴としてあげられます。まずは、仕事上でのコミュニケーションを取って、信頼関係を築いていくことが重要です。仕事以外のことでも経営者や店長と色々話せるようになるなら、スタッフは親近感が持てて安心できるので、なるべく長く働きたいと感じるかもしれません。

アルバイト教育を実施する際の注意点

アルバイトがそのお店での仕事にやりがいを感じ、言われたこと以外のことにも積極的に取り組んでくれたら、それは本当にありがたい話です。時給の金額と仕事内容とを比べて、割に合っているかどうかだけで選んだ職場だったならば、それほど長続きすることは望めないでしょう。

新人アルバイトを不安にさせる状況を作らない

アルバイトに限りませんが、新しく入ってきたスタッフは、将来がイメージできないと不安になります。定着率を上げるには、そのような不安な状況を作らないようにする必要があります。

スタッフの不安の中でも大きいのは、お客様に怒られることと他のスタッフとの揉め事です。 これらの問題を避けるためには、情報の共有と頻繁な会話が重要です。それらが常にできているか、色んな角度で確認していきましょう。

新人アルバイトにも仕事を任せる

どんなスタッフも、認められることが一番のやりがいになるはずです。そのためにもアルバイトに任せられるのはここまでと決めて、不必要な制限を設けることは合理的ではありません。任せてみて、成果を確認し評価することでリミッターを外しましょう。

指導の成果をチェックする

教えてやってみてもらうことで、仕事を覚えるチャンスを与えることはできますが、確実に一定のレベルでやり続けられるかを見るには、チェックが不可欠です。チェックすることで、指導の仕方に問題がなかったかを知ることもできます。 チェックしなければそれまでの全てのプロセスが無駄となり、お店のスタンダードが低下してしまうことを肝に銘じてください。

まとめ

飲食店において、アルバイトの教育と管理のレベルは、お店のそのもののレベルに等しいものと言われるほど重要です。また、これまでの飲食業界の発展はアルバイトによって支えられてきたといっても過言ではないでしょう。 アルバイトが定着するかどうかは、最初の3日間で決まります。定着させるには、マニュアルの作成、受け入れ態勢の整備、継続的な指導、積極的なコミュニケーションなどが鍵です。

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参考URL

飲食店がランチ営業で集客するポイントやメリットとは?効果的なランチの宣伝方法も紹介 | 口コミラボ
飲食店アルバイトスタッフの教育の4つの手法!戦力になる人材育成のコツとメリット|飲食店なんでもスクエア
従業員が辞めないカフェが実践しているスタッフ・アルバイトの育成方法|開店ポータルBiz
「教えるのがヘタな人」の4つの特徴 - ナレビ

監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com 

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