飲食店がデリバリーを導入する方法は? 許可が必要なケースや注意点

新型コロナウイルスの蔓延以降、デリバリーサービスを導入する飲食店が増加しました。デリバリーの導入は、飲食店に様々なメリットをもたらします。本記事では、飲食店がデリバリーを導入するメリットや方法、注意点などについて解説します。

目次

飲食店がデリバリーを導入するメリット

デリバリーの導入を検討しているのなら、具体的にどのようなメリットを得られるのか把握しておきましょう。代表的なメリットは、店内が満席でも売上につなげられる、認知度の向上や商圏を拡大できる、などが挙げられます。

満席時の売上につなげられる

デリバリーサービスは、お客様から指定された場所へ商品を届けるサービスであるため、店内が満席であっても対応できます。通常、店内が満席ではお客様を案内できず、機会損失につながります。

店内がそれほど広くないケースでは、ランチタイムなど混雑しやすい時間帯に大勢のお客様が足を運んでくれたとき、入店を断らなくてはなりません。これは、大変な損失です。一方、デリバリーであれば店内の席数にかかわらず注文を受けられ、売上アップにつながります。

認知度を向上させられる

デリバリーの導入によって、認知度の向上につながる点もメリットです。デリバリーを導入すれば、利用しているデリバリーサービスのサイトに店舗の情報が掲載されます。自店のことをまったく知らない人にも、店舗やメニューを知ってもらえ来店につながる可能性があります。

外へ食べに行くことはないものの、デリバリーは頻繁に利用している、といった層にアプローチできるのも魅力です。自店と接点がない層にも情報を伝えられ、新規顧客の獲得につながります。

商圏を拡大できる

デリバリーであれば、自店の近隣で生活している人以外もターゲットにできます。広範にわたる領域を商圏にでき、売上や利益の拡大につながります。

立地の影響を抑えられる点も魅力です。飲食店経営を成功させるにあたり、店舗の立地は重要な要素です。人通りがほとんどない、駅やバス停などから大きく離れている、路地裏にぽつんと佇んでおり見つけにくい、といった立地では集客が期待できません。

一方、デリバリーはお客様のもとへ商品を届けるサービスであるため、お店の立地は関係ありません。お客様は店舗に足を運ぶ必要がなく、注文さえ取れれば、飲食店経営に適していない立地であっても売上や利益のアップにつながります。

飲食店がデリバリーを導入する方法

飲食店がデリバリーを導入する方法には、既存サービスの利用、もしくは自店でのデリバリー体制構築があります。どちらにもメリットとデメリットがあるため、理解したうえで検討を進めましょう。

既存サービスを利用する

既存のデリバリーサービスは、出前館やUber Eatsなどが代表的です。これらのサービスを利用すれば、手軽にデリバリーを導入できる点が魅力です。

自店でデリバリーを導入するとなれば、配達するためのバイクや自動車、人材も用意しなくてはなりません。電話やメールなどを用いたオーダーの受け付け、配送ルートの確認など、これまでになかった業務も出てくるため、オペレーション再考の必要性にも迫られます。

既存サービスを利用すれば、サービス提供事業者が受注から配達スタッフの手配までしてくれるため、飲食店側の手間がほとんどかかりません。配達スタッフへの教育も不要なので、すぐにサービスの運用を開始できます。ただ、既存サービスの利用には費用がかかるため、どれくらいのコストが発生するのかは事前に確認しておきましょう。

自店で体制を構築する

外部の既存サービスを利用せず、自店でデリバリー体制を構築する手法です。飲食店が自店でデリバリー体制を構築するのであれば、配達車両や配達スタッフを確保したり、デリバリーサービス運用に適したシステムを導入したりしなくてはなりません。

この手法のメリットは、既存サービスに手数料を支払わなくてよい点です。また、事前に教育した自店のスタッフに配達業務を任せるのであれば、品質面でも安心できます。管理の行き届いた質の高いデリバリーサービスを提供でき、結果的に顧客満足度の向上につながる可能性もあります。

デメリットは、体制を整備するのに多額のコストを要する点です。どの程度の規模かにもよりますが、配達車両やスタッフを確保するだけでも相当な費用がかかります。デリバリーの運用に要するシステムの導入や、プロモーションにも費用が発生する点に注意が必要です。

デリバリーのPRには食べログ店舗会員

食べログ店舗会員は、日本最大級の規模を誇るグルメサイトです。食べログ店舗会員に登録すれば、無料で店舗の情報を発信でき、認知の拡大につながるほか、デリバリーのPRにも有効です。

食べログは、デリバリーに対応している飲食店の検索もできます。たとえば、「東京のデリバリーができるレストラン」といった具合に、デリバリー可能な飲食店をエリアで絞り込んで探せます。デリバリー対応の飲食店であることをアピールできるため、この機会に食べログ店舗会員に登録してみてはいかがでしょうか。

飲食店がデリバリーを導入するのに許可が必要なケース

飲食店がデリバリーを始めるにあたり、許可が必要になるかどうかはケースバイケースです。様々な要素が絡むため、必ずしもすべての飲食店に許可が必要となるわけではありません。

たとえば、飲食店営業の許可を取得している飲食店が、店内メニューをデリバリーするのは可能です。ただ、旧法に基づく許可を取得している場合、菓子類やソフトクリーム、食肉製品などは新たに営業許可を取得しなくてはなりません。

許可が必要になるかどうかは、個別のケースで異なります。デリバリーの導入を本格的に検討しているのなら、別途許可が必要なのか、保健所の窓口で相談してみましょう。

飲食店がデリバリーを導入する際のポイント

必要なもの・人材を確保する

デリバリーサービスを開始するにあたり、まずは必要なものを準備しなくてはなりません。フードやドリンクなどの容器、割り箸やスプーン・フォーク、ビニール袋、ナプキンなどです。容器は様々なサイズの製品がリリースされているため、メニューのボリュームにマッチしたものをチョイスしましょう。また容器類は仕入れロットが多い場合が多く、保管場所も必要となります。厨房に全て保管するお店もありますが、厨房が狭い場合、包材に汚れが付いたりするので必要な分だけを厨房に準備して、他は別な場所に保管するなど工夫が必要です。

外部のデリバリーサービスを利用しないのなら、配達スタッフも確保する必要があります。既存の従業員にデリバリーを任せるのもひとつの手ですが、調理やホールスタッフが少なくなり、通常業務に支障をきたすおそれがあるため、慎重に検討しなくてはなりません。

オペレーションを工夫する

デリバリーサービスを開始すれば、これまでと業務のオペレーションが少なからず変化します。電話やメールなどでの注文受付、専用容器への盛り付け、配達とこれまでなかった業務が入ってくるため、オペレーションの最適化も必要です。

オペレーションを見直す際には、効率を重視しましょう。手間をできるだけ少なくし、ミスも防げるよう作業の簡略化などを進めます。オーダー状況を確認するタブレットの配置も重要です。湯気の近くにタブレットを置く場合は、湿度でタブレットが故障しないように防水ケースに入れるお店もあります。また、調理の際には配達時間を考慮することも忘れてはなりません。

たとえば、麺類は配達しているあいだに麺が伸びてしまうおそれがあります。そのため、通常よりも硬めにゆでる、スープと麺は別々の容器に入れるなどの工夫が必要です。

様々な宣伝方法を検討する

せっかくデリバリーサービスを始めても、知ってもらわなければ利用してもらえません。宣伝は売上や利益に直結するため、様々な方法を検討しましょう。

宣伝方法は、オンラインとオフラインの2軸で考えます。オンラインとオフライン、どちらかに振り切ってしまうとお客様を取りこぼしてしまうため、バランスをみながら具体的な施策を検討しましょう。

オフラインであれば、DMやポスティング、看板、新聞折り込みチラシなどが代表的です。オンラインなら、公式HPやSNS、リスティング広告などのWeb広告、ブログ、食べログ店舗会員などが有効です。

なお、プロモーションの媒体は、自店のメインターゲットにあわせて選びます。たとえば、SNSにしてもTwitterとFacebook、Instagramではメインの利用者層が異なります。そのため、SNSをプロモーションに活用するのなら、自店のメインターゲットが多く利用しているSNSを選択しなくてはなりません。

飲食店がデリバリーを導入する際の注意点

飲食店のデリバリー導入は様々なメリットがあるものの、いくつか覚えておくべき注意点もあります。飲食店の評判を落とさぬよう、覚えておくべき注意点を押さえておきましょう。

トラブルの発生を想定する

デリバリーサービス開始後は、サービス提供に伴うトラブルの発生が考えられます。たとえば、配達途中に料理が容器からこぼれてしまった、渋滞に巻き込まれ配達が大幅に遅れた、といったケースです。

デリバリーサービスに伴うトラブルは様々なケースが考えられるため、あらかじめ想定しておきましょう。お店側、デリバリーサービス側双方の視点から事前にトラブルを想定し、そのうえで適切な対策を考えておけば、いざというときもスムーズな対処が可能です。トラブル発生時のマニュアルなども用意しておくとよいでしょう。

エリアは適切に設定する

エリアの設定が不適切では、配達の遅延などが生じるおそれがあります。「商圏をできるだけ広くしたい」と、店舗から遠く離れたエリアまで配達可能地域にしてしまうと、遅延が頻発しクレームが殺到するかもしれません。

このようなことが起きないよう、エリア設定は慎重かつ適切に行いましょう。実際にどの程度の時間で配達できるのか、シミュレーションしてみるのもひとつの手です。外部サービスを利用する際には、対応エリアがどこなのかを事前に確認しておきましょう。

衛生管理に気を付ける

デリバリーでは、料理がお客様のもとへ届くまで一定の時間がかかるため、食中毒のリスクが少なからず高まります。そのため、飲食店は食中毒の発生リスクを考慮した衛生管理を徹底しなくてはなりません。 通常の衛生管理に加え、生野菜は別の容器に入れる、保冷剤を使用するといった工夫も必要です。

まとめ

飲食店がデリバリーを導入すれば、機会損失の回避や商圏の拡大を実現でき、ひいては売上、利益の増加につながります。導入する方法は、自店でのデリバリー体制構築と外部サービスの利用があり、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで検討を進めなくてはなりません。デリバリー導入で失敗しないよう、記事でお伝えした大切なポイントを踏まえて取り組みを進めてみましょう。

参考URL

【飲食店向け】フードデリバリーサービスの選び方とは?|PR TIMES
【保存版】テイクアウト営業の始め方・必要な準備とは?|Delicious Foods Package
【比較】飲食店向けフードデリバリーサービス7選を徹底解説|Ubiregi レシピブック
【事例あり】テイクアウト・デリバリー導入で売上アップ!|Sync Up 店長LAB
飲食店がテイクアウトを始めるには?必要な届出と設備まとめ|萬成食品
テイクアウトとデリバリーの違いは?始め方や注意点も解説|SHIFOP(シフォップ)
飲食店がデリバリーを始めるには?必要な準備や注意点を解説|フードレンジャー
飲食店のデリバリーサービス導入ポイントを解説|シモジマ公式通販
【必見】飲食店のテイクアウト・デリバリー対応の注意点|販促の大学
飲食店がデリバリーを始めるには?導入のステップを解説|Res-Star(レスタ)
【2024年版】おすすめのフードデリバリーサービス徹底比較|CLEAVELAND
飲食店がデリバリーを始めるには?開業のポイントと注意点|FoodsRoute
テイクアウト・デリバリー対応のポイント|食べログオーナー
飲食店のデリバリー導入、成功のコツとは?|Foodist Media
【トラブル事例】フードデリバリーで実際にあった問題と対応|口コミラボ
【解説】フードデリバリー業界の最新動向|フードレンジャー
飲食店がデリバリーを始める方法とは?|PayPay店舗メディア
飲食店でデリバリーを始めるには?導入手順やポイントを解説|au PAY Store Media
テイクアウトを始める際の届出と注意点|東京都福祉保健局
テイクアウト・デリバリー営業の基礎知識|テンポス

監修者:阿部 大

プロフィール

老舗計画株式会社代表取締役 ホテル専門学校卒業後、仙台市内のホテルレストランにてオープニングスタッフとして勤務、その後独立し、自分で飲食店を開業、店舗数も増やしていく。家庭の事情などで飲食店を廃業するも、これまでの経験を活かし接客指導の依頼を受け始める。接客アドバイザーとして活動していく中で、健全な店舗経営でなければ接客も充分活かせない事実に気づき、飲⾷店コンサルタントへ転換する。現在は飲⾷店の現場を知り尽くしたコンサルタントとして東北を中⼼に全国で年100回以上の経営⽀援や開業⽀援、セミナーを⾏う。

サイトURL https://shinisekeikaku.com/

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