古民家カフェの開業の流れや費用など必要な情報を総まとめ

長い年月を重ねた趣のある家屋をリノベーションして、レトロな雰囲気の古民家カフェを営むために、どのような準備が必要なのでしょうか。古民家カフェ開店にこぎつけるために必要となる手続きの流れ、許認可、費用、成功のポイントなど、必須の情報をまとめてお届けします。

目次

古民家カフェの開業の流れを紹介

古民家カフェを開業するには、カフェを開店するまでに行うべきことを順序だてて知っておく必要があります。以下では、古民家カフェの開業に向けてすべきことの流れを紹介します。

必要な資格や許認可の取得

どのような古民家カフェを開くにしても、開業前に所定の資格や許認可を取得しなければなりません。 飲食店を開業する前に必ず取得すべき資格は「食品衛生責任者」です。店に常駐する人のうち1名が取得する必要があります。養成講習会を1日受講すれば、通常は取得できます。

また、客席数と店員数の合計が30以上になる場合には、食品衛生責任者に加えて、「防火管理者」の資格が必要です。防火管理者には甲種と乙種があり、店舗の延べ面積が300平方メートル以上ならば甲種防火管理新規講習を、延べ面積が300平方メートル未満ならば乙種防火管理講習を受講することで、開業に必要な資格を得られます。

つまり、防火管理者は開業する店舗の延べ面積や席数がわからないと、どちらを受講すべきかわからないので、店舗の設計が決まってから受講を申し込みましょう。

食品衛生責任者も防火管理者も講習を受ければ取得できますが、希望する日程で受講できない可能性があります。開業に間に合うように、早めの取得を心がけると安心です。

なお、カフェを開業するには保健所から営業許可をもらわなければなりません。シンクのサイズや手洗器の設置など、飲食店の設備には細かい規定があります。規定を満たさないと営業許可が下りないので、改装工事をする前に設計者とともに所轄の保健所に事前相談しましょう。

保健所に営業許可申請を行ってから施設検査を経て許可が下りるまでには、2、3週間かかることもあります。早めに相談し、申請をするとよいでしょう。

また、個人事業としてカフェを開業する場合には、事業開始から1か月以内に「個人の事業主の開業・廃業等届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりせん。

このとき、所得税の「青色申告承認申請書」もあわせて提出しておくのがおすすめです。青色申告は白色申告よりも書類作成に多少手間がかかりますが、白色申告にはない税制面での優遇措置を受けられます。

会計ソフトを利用すると、複式簿記の知識がなくても必要な書類を簡単に作成できます。 さらに、国税だけでなく地方税も課税されるので、都道府県税事務所に「事業開始等申請書」も提出しておきましょう。

店舗の場所を探して決める

飲食店である古民家カフェにおいて、店舗の立地は開業後の売り上げを左右するとても重要なポイントです。まずは、どの地域で、どのようなお客様が利用する、どのようなコンセプトの古民家カフェをやりたいのかをはっきりさせましょう。

店を出したい地域が具体的に決まったら、その地域でどのような空き家や空き地が賃貸や売りに出されているかを調査します。主な移動手段が自家用車という地域では、客席数に見合う駐車場の確保を忘れてはなりません。

また、費用を抑えたい場合には、居抜き物件を検討しても良いでしょう。ただし、不要なものが残置されていたり、古い厨房機器がすぐ壊れたりするなどトラブルがあるとかえって費用がかかることがありますので、十分注意をしてください。賃貸の場合には、自由に改修してよいか、解約時に原状復帰が必要かをチェックしてください。

出店するお店のターゲットとなる客層がはっきりしたら、それを考慮した上で出店したい地域を絞っていきます。そして、その地域の不動産屋を一軒ずつ丁寧に回って、現地の詳細な情報を収集しましょう。気になる物件を見つけたら、現地になるべく早く足を運ぶことが大切です。 物件を探す期間は、自分の考えたコンセプトとその地域の雰囲気がきちんとマッチするかを最終的に判断する大事な時間です。とにかくその街に少しでも多くいることが大切です。

さて、カフェを開くのに理想的な条件の土地が見つかったものの、そこに肝心の古民家が建っていないという場合もあるでしょう。そのようなときには、日本民家再生協会の民家バンクなどで古民家を探して入手し、それを移築して開業するという方法もあります。 この場合は、かなりの時間と資金がかかるプロジェクトになりますが、手間を惜しまずにできるだけ多くの物件をその目で見て、その土地との兼ね合いを検討していきましょう。

必要な道具や環境を揃える

思い通りの物件を手に入れたら、カフェに相応しい内外装の工事をしなければなりません。また、もともと住宅として使われていた古民家で床面積の合計が200平方メートルを超えている場合は、カ建築確認申請が必要で用途の変更をしなければいけません。新耐震基準を満たしていない古民家の場合には、耐震改修が必要となることがありますので、契約前に十分な確認が必要となります。

さらに、飲食店を営むために必要な設備を整え、調理器具や食器類、椅子やテーブルなどを一式そろえる必要があります。特に、古民家の場合は、その雰囲気を活かすことができる家具や食器類を選定することがポイントとなります。この作業に迷いが出ないように開業前のコンセプトをしっかり固めておきましょう。

またカフェの規模によって必要な人員が決まると思いますが、近年の人手不足は深刻です。新規開業は比較的スタッフが集まりやすいと言われていますが、最近はそれでも思ったように人員の確保ができません。求人を出す場合は、スケジュールに余裕を持って募集をかけるようにしましょう。

古民家カフェの開業に必要な資金とは

古民家カフェの開業に必要な初期費用は、元々所有している不動産を活用する場合、古民家と土地を購入する場合、賃貸で済ませる場合でそれぞれ変わってきます。

元々所有している不動産を活用する場合には、什器・設備代、リノベーション代、当座の運転資金などが初期費用として必要です。古民家と土地を購入する場合には、この他に古民家と土地の購入費用などがかかり、古民家を移築再生する場合には、移築に関わる情報料・運搬費用・解体費用などが別途かかります。賃貸物件を利用する場合には、什器・設備代、リノベーション代、当座の運転資金の他に、敷金(保証金)、礼金、仲介手数料などが必要です。

初期費用については、どのようなカフェにするかで大きく変わるのであくまでも目安ですが、最低限必要な什器・設備代、リノベーション代、当座の運転資金の合計金額として、少なく見積もっても500万円はかかります。一般的には、1,000万円~1,500万円ぐらいの資金を用意しておくとよいでしょう。

古民家を利用する特有の問題とは?

古民家カフェは年月を経た家屋独特の風情が感じられる一方で、古民家を利用するがゆえの問題も発生します。また一方で、場合によってはコストカットにつながることもあります。 飲食店を開業する際に通常考慮する要素のほかに、以下の点にも注意しましょう。

内装工事費用が物件ごとに大きく変わる

古民家は建物が古いことから、修理しなければならない箇所は必然的に多くなります。そのなかでも状態が良いか悪いかによって、内装工事費用が大きく変わってきます。 たとえば、水道設備が老朽化で破損していたり、シロアリに食べられていたり、雨漏りがしたり、といった問題がありえるでしょう。多少の補修はやむを得ないとしても、全面的な補修が必要な物件は避けるのが無難です。

また、基本的に古民家は新耐震基準を満たさない木造家屋であることから、現在の法律に適合するように耐震性や耐火性など防災面での配慮も忘れてはなりません。気密性に欠けていて冷暖房も効きにくいので、場合によっては耐熱性能を増すための工事を施すことも検討しましょう。 なお、一般的な内装の場合、工事費用の坪単価の目安は、使えるところがある居抜き物件で20~40万円、骨組みだけで内装を施していないスケルトン物件で30~50万円ほどです。

自治体から補助金、助成金が出る可能性がある

一部の自治体では、古民家カフェの改修工事をする際に、補助金制度や助成金制度が利用できます。たとえば、空き家利活用促進事業補助金制度や空き店舗有効活用事業補助金制度など、補助金・給付金制度を設けている自治体があり、条件を満たせば補助金がもらえます。各自治体のホームページなどで、制度の有無や内容を確認し、自分が支給条件に当てはまるかどうか調べてみましょう。

なお、補助金などの申請には、事業開始前や工事契約前といった条件がつけられています。もらい損ねることのないように、早い段階で制度について確認しておきましょう。予算の上限に達すると受付が打ち切られることもあるので、申請を先延ばしにしないようにしてください。

古民家カフェを上手に運営していくためのポイント

古民家カフェは、開業までのハードルが比較的低いと言われますが、カフェという業態自体の競争が激しく、開業後の経営は簡単ではありません。そこで古民家カフェを上手に運営していくために何をすればよいか、ポイントを3つ紹介します。

お店のコンセプトをしっかり固めて統一する

開業する古民家カフェのコンセプトをしっかり固めて統一することがとても重要です。ターゲットとするお客様はどんな人なのか、お客様に店でどのような体験をしてほしいのかなどをよく考えて、できるだけ具体的に決めましょう。 そして、お客様が何を求めて自分の店にやって来るのかをはっきりと認識したうえで、従業員全員にもそれと同じ認識を持ってもらうことが大事です。

集客方法をしっかりと学び常に更新する

古民家カフェの経営を成功させるには、どんな集客方法があり、どれが自分の店舗に適しているのかを常に把握しておく必要があります。 いつの時代も口コミが新規のお客様へとつながるので、口コミを意識した戦略をいれるとよいでしょう。SNSで集客を狙う場合には、ターゲット層や目的に合わせた媒体を選ぶ必要があります。

たとえば、若い世代に向けて、色鮮やかでおいしそうなパンケーキやパフェなど目を引くメニューをアピールしたい場合にはInstagram、店内で行うイベントなどを告知したい場合にはTwitterなどが使えます。 どの媒体から発信した情報がきっかけでお客様が来店したのかを分析し、その結果から戦略を練りなおして集客につなげていくことも大切です。

接客のクオリティーを最高に保つ

接客のクオリティーを最高に保った状態でお客様を迎える体制を整えることが、リピーターの獲得につながります。特にカフェ業態は、他に比べて接客のリズムがゆったりとしており、滞在時間が長くなるのが特徴です。

お客様と時間を共にするスタッフの言動は、お店の雰囲気を大きく左右しますので、十分な教育が必要となります。古民家カフェには、非日常的な空間を求めて来店する人が多いことから、心地よい雰囲気を味わえるような配慮が求められます。

まとめ

古民家カフェを開業するには、店の場所を厳選し、物件の状態を確認して、必要な補修を行うことが特に大切です。経営を軌道に乗せるには、お店のコンセプトを固めるとともに、日々集客方法を改善する努力が欠かせません。 登録費無料の食べログ店舗会員になると、店舗ページを作成して古民家カフェのこだわりの内装やおすすめメニューなどの写真を載せられます。固定費不要の従量料金制で食べログネット予約を利用すれば、さらなる集客力アップにつながるでしょう。


参考URL

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監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com 

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