飲食店の店舗物件探しの方法やコツとは? 注意点もあわせて解説

飲食店の開業において、最も難しく、重要な決断となるのが店舗物件の決定です。特に飲食業が可能な物件は数が多いものではなく、空き物件が見つかってから契約を決めるまでは長くて10日前後で決断を迫られることになります。この期間に冷静かつ、適正な判断ができるようにするために準備すべきことはすべてしておくことが大切です。

目次

飲食店における店舗物件探しの重要性

飲食業を経営するにあたって、とりわけ難しいのが店舗物件の選定です。物件の種類や立地は、お店のコンセプト実現や集客、ひいては売上にも関わってくる重要な要素だからです。 また、開店した後に別の物件に変更したいと思っても、新たな資金が必要となり、簡単ではありません。売上が伸びず短期間で物件を手放すことになれば、借入金のみが残るため、リスクが大きいでしょう。

そのため、物件選定を簡単に考えず、最初からいい物件を見つけておく必要があります。 しかし、多くの人は物件探しを人生で何度も経験するものでもなく、その手順を速やかにすることは難しいでしょう。そのときを冷静に迎えられるようにあらゆる想定をして準備しておくことが大切です。

飲食店の店舗物件探しの方法やコツ

店舗物件を探す際は、資金面を中心とした事業計画とお店のコンセプトを照らし合わせながら、エリアやサイズといった条件を変更するなど、柔軟な対応がキーポイントとなっていきます。 また、できるだけ多くの候補物件に出会うことも大事なので、多方面からその物件情報へのアプローチをするべきです。そのための方法やコツを紹介します。

事業計画を立てる

最初にあなたが開業しようとしているお店のコンセプト(概念)をしっかり固めていきましょう。基本的な整理の仕方として5W1Hというものがあります。 「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」提供する飲食店をやるのかということです。

これらをイメージすることで、「ターゲットとなる人はどんな人か?」「営業時間は?」「出店エリアはどこがいいか?」「どんな料理やサービスをどのレベルで提供するか?」などが具体的になっていくはずです。

特にターゲットとなる人物像をペルソナとも言いますが、この人物がどんな思いでどう行動して、どんな動機で来店するかをイメージすることで、出店するべきエリアの候補地を絞り込むことができます。

ここまでの作業とその順序が異なると、候補物件に合わせた飲食店を開業することになってしまうことも多く、迷いが生じてしまうので、コンセプトをもとにした事業計画を立てることはとても大事です。

予算を組む

コンセプトや事業計画は、借入れなどを含んだ資金計画を考慮しても問題なく進められるか、慎重に判断しないといけません。 いくらコンセプトが立派にできたとしても、それを叶える資金的余裕がなければ、最初から背伸びをして経営を始めることになり、すぐに立ち行かなくなることもあります。

事業計画の収支予測やキャッシュフローを明確にしていき、「家賃はいくらまでの物件なら採算が合うのか?」また、「保証金や仲介手数料など物件を取得する際に必要な経費は、いくらまでかけられるか?」という点を明確にすることで、出店する店舗物件の条件がかなり絞り込まれてきます。

エリアを調べる

ここまでで、出店候補地となるエリアや条件が設定できたと思いますが、頭の中でイメージするだけではいけません。自分の足で歩き、しっかりとその街のフィーリングを感じて、ギャップがないかを確認することが大切です。 ご自身が知り尽くしている街に出店することが一番理想的ですが、よく知る地域に条件の合う物件が出てこなかったといった要因から、結果として行ったことがなかった街に出店した飲食店も少なくありません。

飲食店にとってエリアは集客にダイレクトに関わってくるもので、それぞれ特徴が異なるため多角的に調査するのがコツです。どのような人が集まりやすいのか、人はどの時間帯に多いのか、交通の利便性はどうなのか、競合はどのくらいいるのかなど、さまざまなチェック要素があります。

その中でも一番ミスジャッジが起こりやすいのは、店舗前の人通りの多さから来客数を判断してしまうことです。 いくら人通りが多くても、その人たちの目的によって、来客数は相当変わってきます。 「何のためにそこを通っているのか?」「その人たちは、見込み客になり得るような動きをしているのか?」ということが、注目すべきポイントになります。

また、条件に合うエリアでも家賃や保証金などの取得費用が高い可能性があるため、費用面の確認も必須です。

物件のタイプを知る

賃貸の店舗物件は、大きく3つのタイプに分かれます。

ひとつめはスケルトン物件で、コンクリートむき出し、設備内装なし、開業の際は自分ですべてを作り上げていくタイプになります。レイアウトやデザインなど自由度が高いというメリットがありますが、その分、施工期間が長く、デザイン・設計・施工のすべての段階で費用が増えることがほとんどです。

二つめは居抜き物件というもので、前の入居者が使っていた設備や内装が残された状態のまま引き継いで契約し、賃借するタイプです。この場合は、残された設備や内装が、本当に自分がやろうとしている飲食店に必要なのであれば、問題ありません。

一方、部分的に不要だったり機能しなかったりするようなら、残置物を壊して廃棄してから新しいものを作ることになり、スケルトンに比べて倍の労力と資金がかかることを念頭に置いておきましょう。

もうひとつは、サブリース物件です。このタイプはその物件の所有者・家主が不動産屋と契約して家賃をもらい、不動産屋が入居者と契約する形が基本です。しかし、残置物が多い、契約内容がややこしいといった物件もあるため、注意しなければなりません。

物件情報を集める

気軽にできるインターネットでの物件情報のチェックは、確実にしておきましょう。 飲食店の物件は競争相手が多く、早いもの勝ちとなるケースも多々あるため、かなりのスピードで動くネット上の情報だけでは優良物件を取得できることは少ないと思います。

それでも常に情報をチェックして、家賃の相場感や土地勘などの感覚を磨いておけば判断がしやすくなるので、目を離さないようにしておきましょう。 また、未公開の物件情報というものも存在します。その情報を狙って出店候補地に足を運び、地元の不動産会社にアプローチをすることは確実に実行するべきことです。

空きが出た物件の窓やドアに貼られる「テナント募集」という張り紙が一番新しい情報であることもいまだにあります。街を歩くというアナログな方法は、決して非効率ではありません。

内見をおこなう

気になった物件は、すぐに内見してみましょう。とにかく、迷ったなら内見するべきです。実際に見ないであれこれ考え、何度も物件情報をスマホで見ていても、それ以上の情報はそこにありません。 また、この内見の際に一番気になるのは、内装などの工事にいくらかかるかという点だと思います。

この判断はなかなか難しく、経験者でも正確に計算できるものではありません。ほぼこの物件でいこうと考えているのならば、一番いい方法は、内見の際に工務店の責任者に同伴してもらい、アドバイスをもらうことです。 必要な厨房機器やエアコンのスペックによっては、その物件の電気・水道・ガスの設備の状況で希望通りに使えないこともありますので、注意が必要です。

飲食店の店舗物件探しの注意点

これから開業する人の中で、物件探しや店舗の賃貸契約に慣れている方は多くはないでしょう。しかし、候補物件が出てきてから賃貸契約をするまでに許された期間はあまりにも短く、その判断には相当なプレッシャーがかかります。冷静で客観的に判断できるように、以下のことを改めて覚えておいてください。

インターネットの情報のみを参考としない

ネット上の情報は、新しく常に更新されているように感じてしまいますが、そうとは限りません。更新がほとんどされておらず、昔の情報が載ったままのサイトも多数あります。 掲載している不動産屋自体が管理している物件ではなく、その物件に借り手を紹介する形を取ることがほとんどです。

そのため、不動産屋の担当者は対象の物件がどの建物かを知らず、行ったこともなく、その街自体もあまり詳しくないことがよくあります。 他方で、オンライン上でも情報を常にアップデートし、顧客のニーズに応えている業者も存在します。ネット上のチェックは時間を要しませんので確実に行い、ダメ元で連絡して詳細を確認することはやって損はありません。

居抜き物件の場合は入念にチェックする

「費用を抑えられる」というメリットを謳っている居抜き物件は多くありますが、注意が必要です。特に造作譲渡費用が必要ない物件は、確認すべきことが多数あり、中には前の借主が夜逃げした跡地だったこともあります。残された造作がどんな使用状態だったのかもわからない場合や、下水管が詰まっている場合もあります。 

エアコンが残置されていたとしても1年後に壊れるのでは、営業を2日休んで、天井を剥がしてエアコンを入れ替え、室外機と共に捨てることになります。開業のときに初期費用が安く済んだとしても、1年後に大損害が出る可能性があることも念頭においてください。残された設備の入念なチェックは非常に大切な作業です。

物件の使用目的を軽視しない

最初から賃貸契約の内容に違反しようと考える人はほとんどいないはずですが、物件の使用目的や制限の内容はしっかり精査した上で、契約するかを決めるべきです。

まず、軽飲食なら可能としている物件では、重飲食との境目が非常に曖昧で、何かトラブルが少しでもあると、そこを突かれて解約となることもあります。 さらに事務所として契約しているのにコーヒーだけ提供し、お金を取るといったことを軽く考えてしまうこともありますが、これも契約違反となりやすいので注意が必要です。 また、24:00以降は営業できないといった制限がある物件は、騒音問題でトラブルになることが多いため、十分な調査を行いましょう。

まとめ

飲食店の開業というプロジェクトは、物件を探し始めてから急加速し、すさまじいスピード感の中で多くの判断を求められます。そのための準備として大事なのは、自分が必要としている物件はこれだという揺るがない条件を持つことと、常に資金計画と照らし合わせられる状態にしておくことです。 「食べログ店舗会員」では、開業当初の店舗の認知や集客をサポートし、店舗管理での幅広い支援をするために多くのシステムを提供しています。ぜひ会員登録をして、内容をご覧ください。

参考URL

とりあえずで居抜き物件を選ぶのは危険!飲食店開業の物件探しについて解説|FOODS FRIDGE(UCC)
店舗物件の探し方を解説!賃貸のコツや内覧の注意点なども紹介 – 店舗デザイン・店舗設計から内装工事までワンストップで対応|IDEAL
【これで完璧】店舗物件の探し方マニュアル!空きテナントを見つけるコツを解説|イエプラコラム
店舗物件の具体的な探し方と全体の流れ | みんなの飲食店開業
飲食店をサブリース(転貸)物件で開業するメリットとデメリット | みんなの飲食店開業
飲食店を開業するならチェックしておきたい「居抜き物件」とは?メリット・デメリット、注意点、事例などまとめてご紹介! |居抜き市場
【飲食店開業】優良な店舗物件を見つけるためのコツ|開店ポータルBiz
不動産管理会社と大家さんが飲食店舗サブリースを認めない4つの誤解と実情 - 店サポ - 飲食店 居抜き店舗 専門情報サイト
店舗サブリースとは?仕組みやメリット・デメリット、起こりやすいトラブル - ナシエル - 飲食企業の経営とM&Aを考えるメディア
飲食店を開業するための段取り。物件探し、営業許可申請、開店準備まで - お役立ち記事 | Tempodas
【飲食店開業】居抜きとスケルトン、費用がお得な物件はどっち? | 居抜き物件・貸店舗での飲食店開業|居抜き店舗ABC
店舗物件の種類(居抜き物件とスケルトン) | 居抜き物件・貸店舗での飲食店開業|居抜き店舗ABC
居抜きで出店する際の注意点 物件に関するお役立ち情報  飲食店ドットコム
飲食店向けの店舗物件の探し方。知っておきたい基礎知識と大切なポイント 店舗物件探し 飲食店ドットコム
賃貸建物の用法違反(目的外使用)による解除 | 内藤寿彦法律事務所
飲食店開業の物件探しで困っている方必見!物件探しの流れとポイント | テンポスフードメディア
なんとなくを明確に!店舗物件の探し方と選び方|理想の店舗物件を見つけるコツを解説します。 | 株式会社TO|名古屋の建築デザイン設計事務所
ショップ・店舗空間づくり専門サイト | ユニオンテック

監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com 

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