飲食店の集客に効果的な販促方法や注意点を解説!

飲食業界での競争に敗れ、ひっそりと閉店していくお店が毎月のように発生します。中にはその存在さえも知られず廃業していくお店もかなり多く、飲食業界という土俵に立つことさえ出来ていないことになります。その飲食店のサービスをお客様に体験してもらうには、お店がここにあるということを知ってもらうことが第一です。

目次

飲食店における販促が重要な理由

いくらこだわりの食材を見つけて最高の技術で料理を提供していても、資金を投入して快適ですてきな空間を演出した内装を用意していても、そこお店があることを認知してくれなければ、お客さんは来ることはありません。そして、認知してもらった後でも、お客様の利用機会や来店タイミングが合うまでは時間がかかるため、忘れ去られてしまうことや、他のお店に移られてしまうこともあります。また、すでに来店してくれたお客様にも再来店を促すアピールがなければ、同じようにその機会を逃してしまうことがあります。『うちのお店、ココでやっています!』という最低限のアピールは、どんなお店においても必要です。

飲食店が販促を行う目的

飲食店の売上の8割を支えているのが常連客と言われる人たちです。このことから、リピーターを維持していくことが経営を安定させる第一の条件だという鉄則がありますが、これはまさにその通りです。「常連客=リピーター」は飲食店を経営する上で欠かせません。したがってリピーターに継続して来店してもらうための飽きさせない工夫や販促は、非常に重要になってきます。しかし、新規の顧客を獲得することも、当然忘れてはいけません。新規の顧客獲得をあまり考えないということは、店の入り口を半分閉めてしまっていることと変わらず、お客様が増える可能性が減っていきます。そのため、リピーターと新規顧客のそれぞれの特性を理解した上で販促活動を進めていく必要があります。

新規顧客の獲得

お店のコンセプトによって手法は変わってきますが、どんな飲食店でもまずはお店の存在を知らせなければ、新規のお客様が増えることはありません。そのお店ごとの適切な方法を選び、時には敷居を下げてファーストトライをしやすくする販促を打つのも、合理的な方法でしょう。

リピーターの獲得

どんなビジネスでもそうですが、一度来たお客様にまた来てもらえなければ、存続することは難しくなります。もちろん最初の来店時で圧倒的なパフォーマンスを経験し、「また食べたい」「友達とまた来たい」と感じてもらえれば何も心配ありませんが、一度の経験でそこまでいくことは、統計的にもあまり多くありません。お客様は楽しい食事の時間を失敗することは避けたいと考えるので、そのお店を完全に信頼するまで何回かの来店が必要になります。「あのお店はなかなかいいお店だった」という経験を3回すると、リピーターとして定着する確率が上がります。

新規顧客獲得のための販促方法8選

新規のお客様に来店してもらうためのアプローチ方法は、この10年でかなり増えてきました。特にネット上での情報量が拡充されたことにより、とても気軽に発信できるうえ、これまでの媒体よりもピンポイントでターゲットにアプローチできるようになったことは大きな変革です。しかしその反面、流行り廃りのスピードが非常に速くなっています。また、SNSの運営側のアルゴリズムによって販促の効果が大きく影響を受けます。その飲食店にあったアプローチ方法をスピード感を持って選定し、販促活動を進めることがキーポイントになってきます。 ここでは、その販促方法をご紹介します。

グルメサイト

  • 【メリット】ユーザーが多く、目に留まりやすい。
  • 【デメリット】ランキング上位しか見られない

多くのユーザー登録者を抱えているグルメサイトに露出することはとても効果的ですので、お店のコンセプトやブランディングから著しく離れてしまわないのであれば、確実に掲載するべきでしょう。また、最近は予約システムや売上管理システムとも連携が可能だったり、顧客管理ができたりするサイトもありますので、お店のタイプに応じて適したグルメサイトを選び、有効に利用しましょう。また、無料版では利用制限がある場合も多くありますので、そのコストパフォーマンスがどのようなものであるかをしっかり検証して、十分な効果を手に入れられるように検討してください。口コミ機能がある場合、コメントの管理など作業が増えますが、新規顧客の書き込みが多いことからその評価を検証できるので、新規顧客の比率が多い店舗では特に利用していくべきでしょう。

SNS

  • 【メリット】瞬発力がある
  • 【デメリット】情報が埋もれてしまう可能性がある

皆さんもご存知のように、SNSの普及は飲食店に変革をもたらしました。少し昔ならばテレビCMにあたるようなクオリティーの内容と情報量を、一個人が経営する飲食店のオーナーや責任者が発信できます。FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどスマートフォン対応のSNSで気軽に発信できるのはもちろん、少し設定に時間をかければ、ひとつのSNSに投稿することで連携している他のSNSにもほぼ同時に投稿することができる「マルチ投稿」も可能ですので、相当時間を短縮して作業ができます。特に新規顧客に販促するには、位置情報を併せ持ったSNSは非常に有効です。

近くのお店の情報を見ていたり、通りかかった場所にあるお店の情報が表示されたりすることで、まだお店を決めていない見込み客へのアプローチがしやすくなります。また、課金により宣伝をすることも可能で、必要な時期にターゲットをしっかりと絞り込んだ宣伝活動が比較的低料金で可能ですので、検討してみる価値はあります。特にこのSNSの最大の武器は、スピード感です。必要な人に対し、より精度の高い情報をそれぞれの店舗の発信者から即座に届けることが可能です。 なお、それぞれのSNSによって、利用しているユーザーの年齢層が異なります。また、「テキストの情報が向いているTwitter」「写真をメインにするべきInstagram」といったように、適性もSNSにより異なっています。そこを見誤ると効果が半減してしまうことに注意しましょう。

Web広告

  • 【メリット】訴求効果が高い
  • 【デメリット】スマホでの閲覧は向いてない

Web広告のリンクからの流入によって、多くの情報を見てもらう場合に効果的な方法です。比較的大きめの店舗やチェーン店に向いている販促です。 特に公式ホームページを運用していている店舗ならば、リスティング広告で表示されることでさらに訴求力を上げることができます。しかし、この方法はスマホの閲覧者とあまり相性が良くないため、そのことを念頭に置いた上で運用しましょう。

ホームページ

  • 【メリット】ブランド力が上がる
  • 【デメリット】SEO施策をしなければ意味がない

その飲食店の好きなようにレイアウトすることで、個性のある魅力的なホームページを作れます。必要な機能も自在に組み合わせることが可能で、特にイートインだけではなく、通販やデリバリー、テイクアウトなど多角的に経営をしている店舗であればなおさら有効になるでしょう。また、SNSだけでホームページを持っていない店舗とホームページを運用しているお店では、信用力が違います。

カジュアルな普段使いの店舗ならばあまり問題はありませんが、接待で利用してもらうような飲食店ならば、ホームページがあるかないかは大きな影響力を持つでしょう。コストの面に言及すると、ホームページを安価で作成することは可能ですが、安価なサービスの場合、最大の武器である表現力とレイアウトの自由度が制限されることも多いです。本当にオリジナリティーあふれるホームページの作成には、それなりのコストがかかります。

看板

  • 【メリット】ランチタイムに効果が出る
  • 【デメリット】視認性が低ければ効果が薄い

店舗周辺に人通りが多く、見込み客が行き交うのであれば、看板に投資することは大きな効果を生むでしょう。 ここで注意が必要なのが、長く経営している店舗です。多くの飲食店は開業の時に看板のサイズやデザイン、位置などを熟考したきりで、その後は気に留めていないことが多いようです。開業からある程度の年数が経っているのであれば、周りの店舗の置き看板やその他の環境が変わっていて、通りがかった人からのお店の見え方なども変わってきているかもしれません。

もし心当たりがある場合は、今の状態を当然とは思わずしっかりチェックしてみてください。初めてその看板を見た人が「色褪せていて汚いな」と感じても、毎日見ている経営者はそれが普通だと感じてしまうのが『看板』です。

ポスティング

  • 【メリット】ピンポイントの販促が可能
  • 【デメリット】オートロックと集合住宅地は配布できない

ポスティングという販促は、新聞折り込みと同じように一時期は忘れられた存在になっていましたが、コロナショック以降、その価値をとても見直されています。まずその飲食店の周辺に対して重点的に配布することが可能で、その地域の地理的な要因を考慮できることが大きいポイントです。ポスティング業者によっては「この交差点の北東方面のみ」や「この幹線道路より西側の一軒家のみ」といった指定も可能です。また、うちわやマグネットなどの配布にも対応してくれる業者もあります。ただし、ポスティングの無断投函が苦手な方もおり、集合住宅では投函禁止が多くなっているため、全世帯に漏れなく配布するのは難しいのが現状です。また、チラシの作成から配布完了までのプロセスとそれに関わる人数が多いことから、日数もコストもかかってしまうのが難点です。

地域メディアへの掲載

  • 【メリット】中高年の主婦層へのアプローチに強い
  • 【デメリット】それ以外の層の反応が極めて少ない

見ている人の数はあまり多くありませんが、中高年の特に主婦層には、地域の新聞や情報誌、ケーブルテレビをとても楽しみにしている方が多いです。熱狂的なファンがついていることもあります。もしその層に販促する目的ならば効果が望めるでしょう。

Google ビジネス プロフィール

  • 【メリット】ユーザーが多数いる
  • 【デメリット】店舗情報の精度が低い

今や飲食店の電話帳のように使われていることも多く、地図の機能が基軸となっておりユーザーも多いことから、確実に掲載するべきでしょう。近年、お店に電話して場所を聞くという行動は高齢者でもほとんどやらなくなっていますので、Googleからのアプローチは効果が大きいでしょう。

リピーター獲得のための販促方法4選

前述しましたが、新たなお客様を少しずつ増やしていく一方で、離れていくお客様が少しでもいなくなるように、リピーターを定着させることが飲食店の安定した経営に直結します。新規顧客のための販促方法では触れなかった手法を中心にご紹介します。

ポイントカードアプリ・メンバーズカード

  • 【メリット】アプリならば、かなり利用してもらえる
  • 【デメリット】導入が簡単ではない

その飲食店の利用者やメンバーであることの証としてカードを発行することは、とても定着している顧客の囲い込み方法になっています。そのカードを保持している人が限定のサービスを受けて、継続して利用するとさらに特典があるという企画は顧客の心理をしっかりと捉えており、これは時代が変わっても残ってきました。

またスマホのアプリという形になり、いろんなお店のカードを持ち歩かなくてもよくなったことは大きな変革です。しかし、ポイントカードやメンバーカードのアプリの導入はまだ気軽にできるものではなく、一定以上の事業規模でないと難しい状態です。スマホで利用するアプリではなくプラスチックや紙のカードであることは、キャッシュレスも増え財布が簡略化されていく中では障壁になっていくでしょう。

メルマガ

  • 【メリット】顧客の興味に応じて内容を変えられる
  • 【デメリット】メールの内容を考えるのに時間がかかる

メールマガジン(メルマガ)の利用も、非常に有用です。特に昨今では、これまでのメルマガをさらに一段便利にした「ステップメール」が、その認知度を広げています。LINEのミニアプリであるLステップが台頭してきたことも、ステップメールが手軽に利用されるようになった一つの要因でしょう。 ステップメールでは、その利用顧客のタイプごとに送信するメールの内容を変えることが可能です。特に、リピーターの中でもどのくらいの頻度で来ているか、予約を何回したことがあるかなどの情報も組み込んでメールを発信することが可能です。

LINEでの公式アカウントを取得するところまでしか進んでいない飲食店がほとんどですが、今後このミニアプリの存在は、テイクアウトや店内のオーダー、決済、予約などいろんなシーンで活躍することになり、存在感を大きくしていくでしょう。このステップメールには構築にかなりの費用がかかるという欠点はありますが、事業規模が大きい店舗だけでなく、個人店でも一足先に投資することをおすすめします。

郵便で送るDM

  • 【メリット】手作り感を感じられる
  • 【デメリット】手間と費用がかかる

近年では情報のスピードがどんどん速くなり、SNSの中でも動画での販促が多くを占めてきていることから、少しマイナーになってしまったのが郵便物であるDMです。 情報過多と言われるSNSでは、画面に大量の情報が流れてくるため、その情報の中のたったひとつのその飲食店の情報を見るか否かは「0コンマ何秒」の世界で判断されてしまいます。

アルゴリズム次第では、常に毎日発信しない限りかなりの低確率になります。その反面、DMは最近では滅多にポストに入ってこない郵便物になっているので、目に入る可能性は高いといっていいでしょう。 特に住所をすでに知っているリピーターに対して、書面であらためてこの時代にご挨拶したりすることは新鮮味もあり、好感度を上げることにもなるはずです。ぜひ検討してみてください。

リピーター特典

  • 【メリット】特別感があり満足度が上がる
  • 【デメリット】安売り感が出てしまう

リピーター限定の特典があることは、顧客にとって嬉しいことでしょう。しかし重要なのは、提供している料理・サービスがいつも通りのクオリティーであることです。そこが揺らいでしまうと、いつもきてくれているリピーターは敏感に反応し、「こんな特典はいらないから、やるべきことをやってくれ」という感情になりがちです。ドリンク1杯サービスや誕生日にデザートプレゼントなどは、どこでも見かけることなのであまり意味がなく、かえって安っぽさが出てブランドを落とすことにもなるので、慎重に判断するべきです。

飲食店の販促でよくある失敗事例

販促を進めていく中で一番陥りやすいのは、そのお店に合っていない手法を選ぶこと、そしてそれに投資を続けてしまうことです。その原因としては、効果測定が全く不十分であることが多いようです。一度実施した販促活動について、きちんとデータをとって評価をせずにただ実施したままにして、来客数次第で一喜一憂するだけになってしまうといった状況です。

販促を実施したのであれば、「どんな内容で進めたのか」「いくらかけて期間はいつなのか」「それによって来客数の推移はどうだったのか」などをその都度明確にしなければ、次に繋げることができません。 どのような方法で販促しても、失敗することはあります。しかし、なぜ販促が失敗したのか分からないままにしたり、失敗していることに気づかなかったりして、もう一度同じ方法をとることを繰り返していては集客に繋がりません。 販促の効果を確認し確実に次に繋げるためにも、必ず効果測定しましょう。

販促計画を立てられていない

無計画に販促をしても、費用に対して最適な効果は得られません。投資額を増やせばどのような販促でも効果は一定数ありますが、支払った経費と得た効果の双方を見て、一番コストパフォーマンスのいい販促方法を選び続けることも仕事の一環です。かけた経費と効果が見合っているかどうかは一番重要ですので、きちんと計画を立てた上で実施しましょう。

ターゲットに合った販促方法を選択できていない

販促しているのに効果がないと悩む店舗でよく見るパターンは、『そのターゲットにそのアプローチは間違っている』というものがほとんどです。極端な例えをするなら、「渋谷の繁華街の居酒屋なのに、年賀状をお客さんに送っている」といった、全くチャンネルの合ってない販促などです。このチャンネルの違いに気づいていない人は多いようです。

また、SNSの活用においても、ひとつひとつ検証してからどの媒体に力を入れるかを検討していきましょう。例えば20代の女性がターゲットのスイーツを売りたい店舗ならば、Facebookに投稿する文章を考えることに時間をかけるよりも、Instagramなどのよりターゲットに近いユーザーが多い別のSNSを活用した方がよいです。 その飲食店のコンセプトと特徴を考えてターゲットを明確にし、適したアプローチを行いましょう。

アナログとデジタルをバランスよく活用できていない

ピザ宅配業の販促でも見られますが、ポスティングでチラシを配り、その1週間後の週末にネットとテレビでCMを流すといったコンビネーションは、効果を一気に引き上げることがあります。逆に、SNSの投稿が毎日していても、店頭の演出や看板の雰囲気がその投稿とリンクしないようなデザインだった場合など、アナログとデジタルのバランスが悪かったり、販促が相乗効果を出せていなかったりすることもあります。アナログとデジタルのバランスを意識して販促しましょう。また、老若男女に幅広く来店してもらいたい店舗は、アナログのアプローチにしか反応できない層もいることを認識しておくべきでしょう。

まとめ

飲食店において最大限に効果を発揮する販促方法というのは、その瞬間瞬間でとても速いスピードで移り変わっていくため、その情勢を把握するには常にアンテナを張っておく必要があります。そしてその時々にあわせて、アプローチを変えていくことが大事です。販促という作業に関しては同じことを続けていても、成功することはあまり期待できません。また、飲食店のサービス・料理のクオリティーをキープするという基本ができていなければ、質の悪いものを宣伝することになり、販促自体が逆効果であることを認識することが大切です。

「食べログ店舗会員」では飲食店を経営する方をサポートする情報の他、さまざまなツールを提供しています。ぜひ会員登録してご参加ください。


参考URL

5年半で蓄積されたデータを活用し、外食産業の業務効率化に取り組むトレタ【デブサミ2019】|CodeZine

監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com 

前の記事へ

飲食店の店舗物件探しの方法やコツとは? 注意点もあわせて解説

次の記事へ

飲食店がランチ営業を行うメリットとは?成功のためのポイントや戦略について

関連記事

  • 風営法とは?対象になる飲食店と、違反を防ぐ5つのポイント

    風営法とは?対象になる飲食店と、違反を防ぐ5つのポイント

    経営
  • インボイス制度、飲食店は関係ない?経営への影響と必要な対応

    インボイス制度、飲食店は関係ない?経営への影響と必要な対応

    経営
  • 飲食店経営によくある悩み6選!成功のポイントは?向いている人の特徴も

    飲食店経営によくある悩み6選!成功のポイントは?向いている人の特徴も

    経営