飲食店におけるブランディングの方法と3つのポイント! 事例も紹介
競争の激しい飲食業界で長く生き残っていくには、他店にはない独自の魅力をアピールするブランディングに取り組むことが重要です。そこで本記事では、ブランディングの基本的な意味からはじめ、ブランディングの具体的な方法やポイント、成功事例などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
そもそもブランディングとは?
ブランディングとは、企業や商品、サービスなどについて好ましいイメージを構築し、お客様の信頼を深めることで付加価値を高めていく活動です。例えば飲食店の場合、「あそこのお店はオシャレだ/高級だ/ボリューム満点だ」などの印象がブランドイメージに該当します。自分のお店の特性や戦略にマッチしたブランドイメージを構築することで、自社の狙う顧客層を的確に惹きつけることが可能です。
逆にブランドイメージが悪かったり、曖昧だったりすると、お客様に強く訴求することはできません。そのため、店舗経営をする際は、ブランディングを通して、自店舗の付加価値を高めて競合他社と差別化し、お客様の共感を得ることが非常に重要です。
ブランディングで得られる効果
ブランディングによって得られる効果はさまざまです。例えば、ブランディングをすることで、お店の特徴やコンセプトが明確になり、お客様にその魅力が伝わりやすくなります。その結果、高い集客効果が期待できます。
また、ブランディングでお客様の共感や信頼を得ることで、顧客ロイヤルティを高め、お客様を自社のファンにできます。顧客ロイヤルティの高いお客様は、他店よりも多少お金がかかったり遠かったりしても自店舗を好んで選んでくれるので、客単価やリピート率の向上を見込めるのもメリットです。
さらに、ブランディングは、人材獲得についても効果を発揮します。ブランディングによって注目度を高め、自店の想いや理念への共感を誘うことで、優秀な人材を惹きつけることが可能です。ブランドイメージの高い職場で働くことは、従業員のモチベーション向上にもつながるので、定着率が高まる可能性もあります。人手不足に悩まされがちな飲食店にとって、これは軽視できない利点です。
飲食店のブランディング戦略5選
飲食店がブランディングをするにあたっては、多くのコストや労力を要する方法もあれば、手軽に始められるものもあります。以下で代表的な5つのブランディング戦略を紹介するので、自社に適した方法を選ぶ際の参考にしてください。
広告戦略
広告戦略は、飲食店のブランディングにおいてメジャーな戦略です。広告戦略は、テレビやラジオ、新聞、雑誌などの伝統的なメディアをはじめ、街中の看板、電車の中吊り広告など多様な媒体で展開できます。昨今では、インターネットの検索ワードに対応して広告を出す「リスティング広告」など、オンラインで広告戦略を行うのも一般的です。
広告戦略を展開するには一定のコストが必要ですが、不特定多数の人へメッセージを発信するのに適しています。イメージの良い著名人やインフルエンサーを起用することで、広告効果やブランドイメージを高めることも可能です。
SNS戦略
SNS戦略は、Instagram、Twitter、Facebook、YouTubeなどのSNSを活用した戦略です。SNSを活用することで、若年層を中心とした多くの人々に向けて情報発信を行えます。SNSには写真や動画も投稿できるので、料理の見た目やお店の雰囲気を低コストでアピールできるのがメリットです。
SNSはなんとなく暇つぶし感覚で眺めている人が多く、更新頻度を保ってこまめに投稿することで、そうした層にも訴求できます。株式会社シンクロ・フードが2022年に発表した調査報告によれば、現在、飲食店の約8割がSNSを利用しているそうです。今後、SNSがさらに普及していくにつれ、その広告効果も比例して高まっていくと考えられます。
口コミ戦略
口コミ戦略は、お客様による口コミを増やすことで、店舗の評価や注目度を高める戦略です。口コミは、主に口コミサイトやSNSなどを通じて拡散されます。口コミ戦略の強みは、情報の発信者が実際にお店を訪れたお客様自身であるため、それを見た人から信頼されやすいことです。実際、新規のお客様の中には口コミを参考にして訪れた方が多いと考えられます。
口コミ戦略を展開する際には、利用率が高い口コミサイトに登録し、来店したお客様にそのサイトへ評価を投稿してくれるようにお願いするのがおすすめです。ただし口コミサイトの中には報酬と引き換えで口コミを投稿するのを禁止している場合があるので注意が必要です。
食べログの店舗会員で口コミ戦略を行おう
飲食店向けの口コミサイトにはさまざまな種類がありますが、最も利用率が高いのは「食べログ」です。食べログは月間9,000万人以上もの人が利用しており、多くの人の目に触れることが期待できます。また、食べログでは店舗会員向けに、予約システムなどの集客・業務支援ツールを提供しているのも魅力的な点です。店舗会員登録は無料で行えるので、ぜひお気軽にご登録してください。
店舗立地戦略
店舗をどこで開店するかの選択は、利益に直結するブランディング戦略です。基本的には、駅前やショッピングモールなど、通行人が集まりやすい場所を事前に調査して出店するのが常道です。人の目に触れる機会が多ければ多いほど、集客効果は高まります。例えば、お店の前を通ったときにおいしそうな匂いがして思わず入店してしまった経験は誰しもあるのではないでしょうか。店舗の存在そのものがブランディングの媒体として機能する形と言えます。
ただし、実際に立地選びをする際は人通りが多い場所を選ぶだけでなく、競合他社の存在や、そこを通る人が自店舗のターゲット層に合致するかなど、多角的な視点で検討することが重要です。例えば、居酒屋などのアルコール主体のお店なら駅前、サラリーマンのランチや接待での利用を狙うならオフィス街、リーズナブルな価格でファミリー層を狙うなら住宅街や繁華街というような感じです。また難易度は高くなりますが、逆張りで敢えて繁華街を選ばず裏路地に出店する戦略もあります。自店舗に適した場所を考えてみましょう。
差別化戦略
差別化戦略とは、競合他社は提供していないサービスや強み、独自性を打ち出すことで、顧客の心をつかみ、競争的優位を得ることを目的とした戦略です。詳しくは後述しますが、飲食店の差別化には、主に「サービス」「人」「店」の3つの観点があります。
「サービス」であればメニューの独自性、「人」であれば接客の品質、「店」であれば立地や外装・内装のデザインなどが具体例です。どれかひとつの要素が優れているだけでは市場で生き残れない可能性があるので、総合的に取り組む必要があります。
ブランディング(差別化)に成功する3つの注力ポイント
突き詰めていけばブランディングとは、自店舗を唯一無二の存在として差別化し、お客様へアピールすることに他なりません。そこで以下では、差別化の3つのポイント「サービス」「人」「店」に注力する方法を解説します。
サービスに注力する
サービスの差別化とは、その店舗でしか体験できないサービスをつくることです。例えば、他のお店にはないオリジナルメニューを出したり、季節限定のメニューを開発したりすることが挙げられます。ランチタイムのサラリーマンがメイン顧客層なら、すぐに用意して食べられるメニューを提供するなど、お客様視点でニーズを考えることも大切です。周辺の競合他社のメニューなども研究し、ニーズはあるものの他店ではカバーできていないところを探してみましょう。併せてモバイルオーダーを導入するなど、お客様の待ち時間やストレスを軽減する取り組みを行うのも効果的です。
人に注力する
教育や雇用などによってスタッフのスキル向上に取り組むことも、ブランディングで重要な点です。例えば、ワインを提供しているお店なら、ソムリエがいるだけでも立派な差別化ポイントになります。また、その時々のお客様のニーズに寄り添ったホスピタリティの高いスタッフがいれば、お客様はそのスタッフとの交流を通してお店への信頼感や安心感を高めやすくなるはずです。ホスピタリティスキルを高めるために、S1サーバーグランプリなど各種コンテストへ店ぐるみでエントリーしている例もあります。
店に注力する
お店選びをする際、お客様は自分のニーズを満たせるお店を選びます。例えば手早く食事を済ませたいならファストフードで済ませますし、ゆっくり友人と話したいなら、ソファなどでくつろげるお店が候補に挙がるかもしれません。店で差別化する際は、このように自店舗のメイン顧客層のニーズを考えたうえで、お客様が選びたくなる店づくりに注力することが重要です。
飲食店のブランディング成功事例
最後に、参考のために飲食店のブランディングの成功事例を紹介します。
大手コーヒーチェーン
ある大手コーヒーチェーンは、「家庭でもない、職場でもないリラックスできる第3の場所」というコンセプトを確立しています。このコーヒーチェーンでは、顧客の要望に応じて自由自在にドリンクをカスタムできるサービスを提供しており、その斬新さから多くのファンを獲得することに成功しました。居心地の良さを重視した空間演出、充実したメニュー、しっかり教育を受けたバリスタなど、多方面にわたる差別化戦略は見習うべきところが多いものです。
高級焼肉チェーン
ある高級焼肉チェーンは「3世代に愛される地域一番の店」というコンセプトにこだわったブランディング戦略を展開しています。コンセプトを実現するために、同社は全国から黒毛和牛などの国産牛を一頭買いし、自社工場で熟成させてから料理を提供しています。また、人材面では、同店のブランドストーリーを伝えたり、お客様の前で肉を焼いたりする担い手を育成するために、独自の社内資格をつくるなどしました。徹底して和牛とおいしさにこだわり続ける同社は、すでに創業50周年を超え、ブランドコンセプトを体現しつつあります。
大手ファミリーレストラン
ある大手ファミリーレストランは、自社独自の集中調理技術とコックのひと手間をかけた本格料理によって、一般的なファミレスと本格的な専門店の中間辺りの立ち位置を業界で確立することを目指しました。その結果、同社に対してお客様は「気軽に入れるファミレスでありながら、常に高品質な料理を楽しめる」という共通のブランドイメージを持つようになり、競合他社からの差別化に成功しています。
まとめ
飲食店のブランディングは、広告・SNS・口コミなど多様な方法で行えます。自店舗の特性やお客様のニーズに合致したブランディング戦略を展開することで、新規顧客やリピート顧客を獲得し、他店から差別化することが可能です。本記事で解説したように、「サービス」「人」「店」という3つのポイントに注目し、ぜひ効果的なブランディングを実施してください。
参考URL
飲食店のブランディング戦略で”絶対に”押さえておくべき5つのポイント | 起業・創業・資金調達の創業手帳
ブランディングって、小さな会社にも必要なの? 〜選ばれる店づくり〜 | テンポスフードメディア
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監修者:阿部大
プロフィール | 老舗計画株式会社代表取締役 ホテル専門学校卒業後、仙台市内のホテルレストランにてオープニングスタッフとして勤務、その後独立し、自分で飲食店を開業、店舗数も増やしていく。家庭の事情などで飲食店を廃業するも、これまでの経験を活かし接客指導の依頼を受け始める。接客アドバイザーとして活動していく中で、健全な店舗経営でなければ接客も充分活かせない事実に気づき、飲⾷店コンサルタントへ転換する。現在は飲⾷店の現場を知り尽くしたコンサルタントとして東北を中⼼に全国で年100回以上の経営⽀援や開業⽀援、セミナーを⾏う。 |
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