飲食店の売上予測の立て方! 計算に必要な要素やエクセルでの予測方法を解説

飲食店で売上向上や集客力の強化を行うためには、売上予測を立てることが非常に重要です。この記事では、売上予測を立てるための計算式と、その式を構成する要素について解説します。また、エクセルを使った具体的な売上予測の立て方についても紹介しますので、飲食店を経営されている方はぜひ参考にしてください。

目次

飲食店の売上予測の必要性

飲食店の経営を続けていくには、継続的に利益を上げなければいけませんが、そのために欠かせないのが「売上予測」です。飲食店で扱う材料には長期間保存できないものも多いため、適切な在庫管理が重要になります。もし売上予測が的外れだった場合、材料が余り過ぎて損失を出してしまったり、逆に材料不足で客を逃してしまったりする可能性があります。

また、適した人員配置も経営を行ううえで大切なことです。売上予測が曖昧だと、暇な時間に多くのスタッフを配置して人件費がかさんでしまったり、逆に忙しい時間帯に必要な人員が確保できず、お客様への十分な対応ができなくなったりするおそれがあります。最小限のコストで最大の利益を生むためには、的確な売上予測が重要です。

売上予測に必要な要素と計算方法

売上予測は、以下の計算式で算出できます。

【売上予測=客席数×客単価×回転率×客席稼働率】

ここからは、計算式を構成するそれぞれの要素について詳しく解説します。

客席数

「客席数」とは文字通り、客席の数のことです。一般的には、売上におけるフードの割合が高いほど厨房のスペースは広くなり、客席に割けるスペースは狭くなります。たとえば、レストランなら店舗面積の約6割、居酒屋は約7割、カフェやバーは約8割が客席の目安とされています。

また、店の雰囲気やサービスの内容によっても、客席数は変わってきます。高級レストランのようなところでは客席間のスペースが広いため、坪当たりの席数は少なくする必要があります。一方、カジュアルレストランや居酒屋では、もう少し客席の間を詰めることが可能で、カウンターではさらに客席数を増やせます。

客単価

「客単価」とは、一度の来店における1人あたりの購入総額を指します。客単価は、以下の計算式で算出します。

【客単価=売上÷客数】

客単価は日によって違います。店舗によっては、平日と休日で客単価が変わる場合もあるかもしれません。しかし、週単位や月単位で客単価を算出していくと、大体の平均値がわかってきます。その平均値を参考に売上予測を立てるとよいでしょう。

客単価の底上げには「食べログオーダー」がオススメ!

客単価を上げる方法としては、「1品の単価を高くする」「注文点数を増やす」という2通りが考えられます。しかし、値上げは顧客が離れてしまう可能性もあり、慎重になる必要があります。

1人あたりの注文点数を増やすのに役立つツールが、「食べログオーダー」です。これはスマートフォンから店舗メニューの注文ができるアプリで、わざわざスタッフを呼ばなくても、テーブルから欲しいときにすぐオーダーできます。

忙しい時間帯はスタッフも手が回らず、注文で呼ばれていてもなかなか行けないことが少なくありません。その結果、追加注文などを取り損ねてしまう可能性もあります。「食べログオーダー」を使うことで、お客様側は待たされるストレスが減り、店側も効率的に仕事を進められるため双方にメリットがあります。


回転数

「回転数」とは、1つの客席が開店時間内に何回入れ替わったかを測るもので、以下の数式で算出できます。

【回転率=客数÷客席数】

「売上を伸ばすためには回転数を増やせばよい」と考えがちですが、高級レストランなどはゆっくり時間をかけて食事できるのが魅力でもあるため、あまり急かしすぎるとお店の評判を落としてしまう可能性もあります。サービスの形態や飲食店のジャンル、取り扱うメニューの単価などにより、適切な回転数は変わってきます。

客席稼働率

「客席稼働率」とは、店舗の客席がどれくらいの割合で埋まっているかを示す数値です。客席稼働率は、以下の数式で導き出せます。

【客席稼働率=実際の客数÷テーブル着席可能人数】

たとえば2人席を1人で使った場合、客席稼働率は50%です。飲食店の平均客席稼働率は65〜70%とされていますが、客席稼働率を上げて空席を減らすことで、より効率よく売上アップが期待できます。テレワークや勉強目的で1人客が多く来店するカフェなどはカウンターを増やす、ファミリー層の多いレストランでは4人席を増やすなど、客層に応じたレイアウトを検討するとよいでしょう。

客席稼働率を上げるために効果的なツールが、「食べログノート」です。「食べログノート」を活用すれば、他社を含めたネット予約を一元管理でき、自動的に予約可能な空席数を可視化してくれます。店舗側がアナログで管理する手間を減らせるほか、ネット予約を最大化できるため客席稼働率の向上に役立ちます。

また、以前予約した顧客の管理も行えるので、記念日などのデータを登録してメニュー提案にもつなげられます。


エクセルで売上予測を計算する方法

ここまで売上予測の算出方法と、それぞれの要素について解説してきました。しかし、日々の業務に加えてアナログで計算し売上予測を立てるのは、店舗側にとってかなりの負担になります。効率的に売上予測を立てるには、エクセルの活用がおすすめです。

エクセルを使った売上予測の立て方には、「予測シートを使用する方法」と「TREND関数を使用する方法」の2種類があります。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。

予測シートを使用する方法

予測シートとは、Microsoft Excel 2016から標準搭載されている、既存のデータをもとに今後の予想値を導き出す機能です。過去の売上を入力するだけで売上予測を自動算出し、テーブルとグラフで表示してくれるため、手軽でわかりやすいのが特徴です。

算出の具体的な方法は、以下の通りです。

(1)店舗の過去の売上データを、予測したい単位(月や週、日など)ごとに表に入力します。

(2)入力した単位(月や週、日など)と売上高のセルを選択した状態で、「データ」タブの「予測シート」をクリックします。

(3)「予測ワークシートの作成」というダイアログボックスが表示されます。「予測終了」のところで予測を終了したい日付や月を入力し、「作成」をクリックすると、予測結果の表とグラフが表示されます。

TREND関数を使用する方法

TREND関数とは、指定した過去のデータから、重回帰分析によって将来の値を予測するものです。売上予測は、このTREND関数を用いても立てることが可能です。

TREND関数で売上を予測するには、以下の3つのデータが必要になります。

  • 過去の売上データ(既知のy)
  • 過去の売上に影響を与えるデータ(既知のx)
  • 予測売上に影響を与えるデータ(新しいx)

そのため、過去のデータも単純な売上額だけでなく、売上に影響を与える気温や降水量、来客数や店員数といった細かい条件まで記載する必要があります。売上予測を行うための具体的な手順は、以下の通りです。

  1. 気温や降水量、来客数や店員数も含めた、過去の売上データの表を作成します。
  2. まずは過去データをもとに、来客数を予測します。予測したい日付の来客数のセルを選択し、「Fx」ボタンをクリックして「関数の挿入」ダイアログボックスを表示します。「関数の検索」で「TREND」を選択し、「OK」ボタンを押します。
  3. 「関数の引数」のダイアログボックスが表示されるので、「既知のy」には過去の来客数のセル番地を、「既知のx」には過去の気温と降水量のセル番地を、「新しいx」には予測する日付の気温と降水量のセル番地をそれぞれ入力します。
  4. 「OK」をクリックすると、指定した日付の予測来客数が表示されます。
  5. 次は、同日の売上を予測します。来客数と同様に「関数の引数」で、「既知のy」に過去の売上高を、「既知のx」には過去の気温・降水量・来客数・店員数を、「新しいx」には予測する日付の気温・降水量・来客数・店員数のセル番地を入力します。「OK」をクリックすると、指定した日付の予測売上高が表示されます。

まとめ

飲食店で売上アップを目指すなら、正確な売上予測を行い、在庫や人件費のムダをなくすことが大切です。同時に客席数や客単価、回転率や客席稼働率などの要素に、改善できる余地がないか検討することも必要です。売上予測には、エクセルの予測シートやTREND関数を活用すると、効率的に数値を算出できます。飲食店のジャンルや提供するメニューの内容、サービスの形態なども考慮しながら、売上を最大化できる工夫を行いましょう。

参考URL

飲食店の開業前に知りたい「売上予測」計算方法や立て方のポイント - 飲食店の開業資金/融資・経営サポートならFOODGYM(フードジム)
【5分でわかる】飲食店の開業・運営に欠かせない売上予測の立て方をわかりやすく丁寧に解説します | 株式会社TO|名古屋の建築デザイン設計事務所
飲食店開業前に必要な「売り上げ予測」。売り上げ予測の立て方、売り上げの増やし方は?| RESTA[レスタ]
飲食店の席数、設置する目安はどれくらい? ニューノーマルの基準もチェック 店舗物件探し 飲食店ドットコム
客単価とは?計算方法と目標の出し方、客単価を上げる7つの対策を紹介 - E-Grantメディア
飲食店経営成功のカギは売上予測(見込み)を立てること|開店ポータルBiz
計算式で攻略!飲食店の売り上げを左右する回転率|Square
飲食店の回転率とは?計算方法や回転率を上げる具体的な方法について解説!|Food's Route Magazine
ニューノーマル時代の飲食店における席数は?売上や回転率の計算式も解説。|USENの開業支援サイト|canaeru(カナエル)
Excel(エクセル)の“予測シート機能”を使って売上予測を立てる方法 | シフオプ
知らないと損!誰でも売上予測が作れるExcel2019「予測シート」機能とは | オンスク.JP
【Excel】3分で出せる売上予測の算出方法をご紹介 - ブログ| 株式会社クレスト
TREND関数(重回帰分析)で既存のデータから未来の値を予測する – ましゅかぶろぐ
Excel関数 | TREND関数:重回帰を使って将来の値を予測する|OfficePro

監修者:丸山 理

プロフィール

行政書士丸山理事務所 代表 行政書士・顧客心理士・銀行融資診断士 1997年10月より横浜市内飲食店勤務、店長としてアルバイト100名を率い、年商3億円を達成。2011年10月からは東京都内居酒屋チェーン勤務し、店舗開発・店舗マネジメントに従事。2018年12月、行政書士丸山理事務所開業独立開業以来、数多くの飲食店顧問として業務に従事。事業再構築補助金・小規模事業者持続化補助金・神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金等採択実績多数。

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