飲食店のバッシングとは? 効率的に行うコツや注意点を理解しよう
飲食店の業務効率や回転率に課題があるのなら、バッシングを見直してみるとよいかもしれません。効率的にバッシングを行えば、ホールの業務効率や顧客の回転率が高まるほか、顧客満足度の向上効果も見込めます。本記事では、飲食店におけるバッシングの概要や効率的に行うポイントなどを解説します。
目次
飲食店における「バッシング」とは
飲食店におけるバッシングとは、店内のテーブルやその周辺を片づける作業です。食べ終わった食器の回収やテーブルの清掃などが該当します。お客様がまだテーブルについた状態で行う「中間バッシング」と、退店してから行う「最終バッシング」の2つがあります。
中間バッシング
中間バッシングとは、お客様が席についた状態でお皿などを下げることです。お客様がオーダーした量によっては、食べ終えた料理の食器でテーブルが埋め尽くされてしまうおそれがあります。このままでは快適に食事を楽しんでもらえないため、適切なタイミングで行います。
また、回転率を上げるためにも大切な作業です。お客様が席についているときから、不要になった食器を少しずつ下げていれば、退店後の片づけに要する時間を減らせます。スピーディーに次のお客様を案内でき、回転率が向上するでしょう。
最終バッシング
最終バッシングは、お客様が食事を終えて退店したあとに、清掃や片づけを行うことです。次にテーブルへ案内するお客様を迎えるための準備が目的です。
お客様を案内したものの、テーブルが汚れているとなるとクレームにつながりかねません。同様に、メニューが見当たらない、調味料が補充されていない、といった状況もクレームの発生につながります。
このような事態に陥らないよう、テーブルや周辺を掃除するだけでなく、メニューはきちんとそろっているか、調味料に不足はないかなども確認しなくてはなりません。
飲食店の回転率を上げる1WAY-3JOB
バッシングを行う際は、1WAY-3JOBを意識すると回転率の向上につながります。また、お客様が自身のスマートフォンで注文できるシステムを導入すれば、業務効率化やスタッフの負担軽減が実現します。
1WAY-3JOBとは?
1WAY-3JOBとは、ひとつの行動で3つの仕事をこなすことを指します。たとえば、客席までドリンクや料理を持っていったら、手ぶらでパントリーまで戻ってくるのではなく、他のお客様のオーダーを聞いたり、空いた食器があればそれを下げたり、近くにお客様が退店したテーブルがあれば併せてそちらの片づけも行う、といった具合です。
このように、一度の行動で複数の仕事をこなす意識が従業員に根づけば、業務の効率化につながります。その結果、お店の回転率向上が実現するでしょう。
食べログオーダーで注文の手間を省く
食べログでは「食べログオーダー」というモバイルオーダーシステムを提供しています。お客様自身のスマートフォンからメニューを注文システムのため、従業員がお客様のもとへオーダーを取りにいく手間を省けます。
飲食店における業務の工数を削減できるほか、従業員の負担も軽減できます。単純作業を減らし、人にしかできない接客に注力できるため、接客品質の向上につながります。また、お客様には、混雑時でもスムーズにメニューを注文できるというメリットがあります。
バッシングを効率的に行うコツ
片づけを効率的に行うためには、下げる食器の優先順位を決めておきましょう。また、少ないメニューを運ぶときも基本的にトレンチを使用し、食べ残しやカトラリーをまとめて片づけるのもコツです。
下げる食器の優先順位を決める
バッシングの際は、片づける食器に優先順位をつけることが大切です。このとき、意識したいのは「次の注文につなげたいもの」を優先して片づけるということです。こうすることで、客単価が上がります。
居酒屋の場合は、グラス類を優先的に片づけます。バッシングの際に、追加のドリンクを聞くことで売上の向上に貢献するでしょう。また、カフェやレストランでは、空いたお皿を優先的に片づけ、その際にデザートの注文を取ることを意識しましょう。
常にトレンチを有効活用する
飲食店のホール業務に有効なアイテムがトレンチ(トレー・お盆)です。できるだけトレンチやトレーを活用するよう従業員に周知、浸透させることで、効率的な片づけや清掃が実現します。
基本的に、ひとつの料理やドリンクを運ぶときにもトレンチを使用しましょう。ひとつだけだからと、トレンチを使わずにお客様のもとへ足を運ぶと、空いた皿やグラスがいくつもあった場合に下げられません。
お客様がまだ食事中の際には、片手でもったトレンチに空いたもうひとつの手で食器をのせて下げます。一方、最終バッシングのときはテーブルにトレンチを置き、両手を使って食器を片づけます。
カトラリーや食べ残しはまとめる
ナイフやフォークなどのカトラリーは、1枚の皿にまとめたうえで片づけましょう。1枚にまとめれば同じ形状の皿を重ねやすく、効率よく食器を下げられます。同様に、食べ残しも1枚の食器にまとめたうえで下げるとよいでしょう。
バッシングを行う際の注意点
テーブルの片づけを行う際には頻度に注意しましょう。まだお客様が食事をしているタイミングでは、頻度が多すぎると不快感を抱かれてしまいます。また、最終バッシングはお客様が退店し、完全に姿が見えなくなってから行うのが基本です。
バッシングの頻度に気をつける
中間バッシングの頻度を増やせば、退店したあとに片づける食器を少なくできるため効率的です。ただ、お客様の会話が盛り上がっている際に行うと雰囲を悪くしてしまったり、食事をしているお客様のもとへ頻繁に足を運ぶと、急かされているような気分になってしまうおそれがあります。
お客様にとってはあまり気分がよいものではなく、クレームにも発展しかねません。そのため、中間バッシングはお客様をよく観察し、適切な頻度とタイミングで行う必要があります。
フロアを移動する際に、さりげなく各テーブルをチェックするとよいでしょう。食べ終えた食器をテーブルの隅へ動かした、食事の手を止めて会話を始めた、といったタイミングで声をかけるのがベストです。
お客様が席を離れてから最終バッシングを行う
最終バッシングを行うタイミングは、お客様が席を離れてからです。基本的には、姿が見えなくなったタイミングで行うとよいでしょう。
席を立ったタイミングですぐ片づけをしようとすると、「早く帰ってほしいのかな」と思われてしまうかもしれません。回転率を上げたい気持ちは理解できるものの、お客様を不快にさせるおそれがあり、クレームの発生やリピートにつながらないといった懸念があるため注意が必要です。
大きな荷物がある方や子連れの方は、席を立っても退店の準備があるため、すぐにはテーブルを離れないことがほとんどです。席から立ちあがったからといって、スタッフがすぐそばで待機してしまうと急かされていると感じてしまうかもしれないので注意しましょう。
最終バッシングは細心の注意を払う
最終バッシングでは、食器類を片づけるのはもちろんテーブルや周辺の汚れなどもくまなくチェックしましょう。次に案内するお客様を迎えられる状態にするための作業なので、細心の注意を払いつつ入念に行います。
テーブル上の汚れをしっかりと拭きとるだけでなく、イスやソファの上、足元などのチェックも必要です。もしかすると、食べこぼしが落ちているかもしれません。次に案内するお客様の満足度が低下するおそれがあるため、わずかな汚れや食べこぼしのチェックを欠かさないようにしましょう。その他にも、メニューはきちんとそろっているか、調味料に不足はないか等、確認する項目を決めるなどより万全な状態で次のお客様を迎えられるようにしましょう。
忘れ物がないかどうか確認するのも大切な作業です。お客様がまだ会計中で店内にいるのなら声をかけ、すでに姿が見えなくなっているのなら、取りに戻る可能性があるため適切に管理しましょう。
まとめ
適切なバッシングによって、回転率や顧客満足度の向上といった効果が見込めます。効果的にバッシングを行うには、従業員に1WAY-3JOBの意識をもたせることが大切です。片づける食器の優先順位を決める、常にトレンチを使用する、食べ残しやカトラリーをまとめるなども、効率的なバッシングにつながるため覚えておきましょう。
適切な頻度やタイミングでバッシングを行わないと、お客様が急かされているような気分になってしまうため注意が必要です。お客様の状況を把握しつつ、適切なタイミングで行いましょう。
参考URL
飲食店のバッシングのコツは?効率的にお皿を下げて回転率アップ! | クックビズ総研
飲食店におけるバッシングとは バッシングの役割と注意すべきこと|SHAREDINE
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監修者:原島 純一
プロフィール | 株式会社STAYDREAMの代表。株式会社すかいらーくにて店舗マネジメント、従業員教育などを担当。また、フロアーの新フォーメーションの構築や、新メニュー開発などを経験。2006年にビジネスコーチ、コンサルタントして独立。2008年中小企業診断士の資格を取得。現在は、全国の飲食店の新規開業から、既存店の立て直しなどの支援を実施している。また、「わかりやすい言葉で伝え、明日から実践できる」をテーマに、全国でセミナー講師活動も実施中。 |
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