飲食店に配膳ロボットを導入するメリットとは?
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・導入費・固定費が0円
従来、「ロボットレストラン」といえば、一部のお店のユニークな特徴でした。しかし最近の飲食業界ではホール・キッチンともにロボットの導入が進んでおり、店内にロボットがいることは珍しくない光景になりつつあります。本記事では飲食店で導入が増えている「配膳ロボット」の機能やメリット・デメリットなどについて解説します。
目次
配膳ロボットとは
配膳ロボットとは、その名の通り、レストランなどで料理を運ぶロボットです。一般的には注文は受けませんが、料理を運んだり、汚れた食器を片付けたりします。
現状では、配膳ロボットが完全に単独で動くわけではありません。お客様から注文を受けたり、ロボットに搭載されたタッチパネルなどを使って行き先を指示したりするのは人間のスタッフが行うことです。ロボットから料理を受け取ってテーブルに乗せたり、使用済みの食器をロボットに渡したりするのもスタッフやお客様自身で行います。
配膳ロボットはすでに複数の会社が数社から発売されており、デザインはさまざまです。人間を模したような製品もあれば、動物の形をした製品、小型の本棚のような製品もあります。いずれにしてもロボットには配膳用のトレーが付いており、そこに料理や食器を載せる形が主流です。
配膳ロボットが行える業務
現状の配膳ロボットはすべての作業を自分で行えるわけではなく、人間の補助的な役割を果たします。
配膳ロボットが行える主な業務のひとつは、料理や食器の配膳・下膳です。スタッフがロボットに付いているトレーに料理を載せ、行き先のテーブルを入力すると、配膳ロボットは自動で指定のテーブルまで移動します。
ロボットには赤外線カメラなどが搭載されているため、人や障害物にぶつからないように動くことが可能です。動いているあいだ、音楽や声を出すなどして周囲に警告することもできます。お客様は配膳ロボットのトレーから自分で料理を受け取り、タッチパネルの確認ボタンなどで受け取りが完了したことを知らせます。下膳の際には、お客様やスタッフが空いた食器をトレーに乗せてタッチパネルを押すと、指定の場所まで運んでくれます。
来店時の接客案内も配膳ロボットができる業務です。ロボットはお客様の来店を認識して「いらっしゃいませ」と出迎え、従業員の指定した席までお客様を案内します。案内が終了すると、再び指定の位置に戻ります。
なお、飲食店用のロボットには、配膳ロボット以外にもキッチン用のロボットもあります。たとえば、フライヤーを使った揚げ物料理などは人間が行うとヤケドが起きがちですが、ロボットなら安全に行えます。
飲食店でロボットが普及している背景
昨今、飲食店で配膳ロボットや料理ロボットなどの導入が進んでいる第一の理由は人手不足です。少子高齢化やコロナ禍による採用難、あるいは離職率の上昇のせいで人手不足に陥っているお店が増えています。食材費の高騰による経営状態の悪化によって、人件費や教育費にコストをかけられない企業が増えていることもその傾向に拍車をかけているでしょう。つまり、人件費を抑えつつ人手不足も補う一挙両得の策として、業務のロボット化が進んでいるわけです。
第二の理由は、2019年に初めて発生が確認されてから世界中で広まった新型コロナウイルスの影響です。コロナ禍においては、感染予防の観点から対人接触をなるべく少なくすることが推奨されてきました。特に飲食店では、お客様が飲食する際にマスクを外す・ずらす必要があるのでなおさらです。そこでお客様との接触を最小限にするための対策として配膳ロボットが注目を集めるようになりました。
配膳ロボットを導入するメリット
配膳ロボットを導入することで、飲食店は以下のメリットを得ることが可能です。
- 人手不足の解消
- 顧客満足度の向上
- 非接触型の接客への対応
- ファミリー層の人気獲得
- コスト削減
人手不足が解消する
配膳ロボットは人手不足を解消するための効果的なソリューションです。多くの配膳ロボットは、人間のスタッフが運べる以上の料理をトレーに載せて、一度に複数のテーブルへ配膳できます。これによって人間のスタッフの作業負担は大きく減り、以前よりも少ない人数で仕事を回せるようになるでしょう。人間と違って疲れ知らずで作業能力が下がらず、休むことなく働けるのもロボットならではのメリットです。
配膳の自動化と併せて、オーダーを自動化する「食べログオーダー」を活用するのも人手不足解消に有効です。「食べログオーダー」は、お客様のスマートフォンからメニューの閲覧・注文ができるモバイルオーダーシステムです。これを利用すると、お客様は注文のためにスタッフを呼び出す手間がなくなり、スタッフは注文を取りに行く作業負担が減らせるという一石二鳥のメリットを得られます。
顧客満足度が上がる
顧客満足度の向上も期待できるメリットです。配膳ロボットを導入することで、配膳・下膳の業務効率が向上し、お客様を素早くテーブルに案内できるようになります。また、配膳ロボットが単純作業を肩代わりすることで、スタッフは接客業務などの人間にしかできないサービスを丁寧にできるようになり、接客品質を高めることも可能です。
非接触での接客が可能になる
配膳ロボットを活用することで、スタッフとお客様の接触回数を減らし、新型コロナウイルスなどの感染予防ができます。もともと、人間のスタッフとコミュニケーションをとるのが苦手なお客様にとっても、配膳ロボットのいるお店は魅力的な選択肢になるでしょう。
ファミリー層の人気を獲得できる
配膳ロボットは、そのエンターテインメント性から顧客の獲得にも貢献します。配膳ロボットのデザインはさまざまで、中にはタッチパネルに表情が表示されているものや、見た目がかわいいものなどもあります。こうしたロボットの存在はお店にユニークな魅力を与え、特に子どもからの好評を見込めるでしょう。その結果、ファミリー層の顧客が増えることが期待できます。
人件費などのコストを削減できる
人件費が削減できるのも大きなメリットです。配膳ロボットの導入にはそれなりの初期費用がかかりますが、人間と違って月々の給与は必要としません。昇給を考える心配もなく、コストが増えることもありません。配膳ロボットを長期的に運用した場合、その導入費用を人件費に換算するとおおよそ時給300円以下となることが多く、人間のスタッフを雇うよりコストを抑えられます。
「食べログオーダー」でも人件費を削減できる
先に紹介した「食べログオーダー」の導入によっても人件費の削減は可能です。「食べログオーダー」を導入すれば、お客様自身がスマートフォンなどを使ってオーダーを済ませるので、スタッフはわざわざホールに出てオーダーを取る必要がなくなります。これによって接客業務に必要な人手が減るため、人件費の削減が期待できます。
配膳ロボットを導入する際の注意点
配膳ロボットには上記のようなメリットがある一方で、以下のデメリットもあります。
- 初期費用が高い
- お店の雰囲気が無機質になりうる
- 完全な自動化は難しい
- お店の環境によっては導入が難しい
配膳ロボットを導入する際には、これらのデメリットについても理解を深めたうえで検討することが大切です。
初期費用が多くかかる
配膳ロボットを導入する際には、初期費用として多額の投資が必要になります。おおよその目安としては配膳ロボット本体の導入費用は1台150万円~350万円ほどです。長期的に見たときの費用対効果は高いですが、初期費用が大きすぎて導入に踏み切れないお店は多いでしょう。
飲食店が無機質になりうる
配膳ロボットを導入することで、お店の雰囲気が無機質になりがちです。外食するお客様にとって、お店の雰囲気が重要な評価基準になることは言うまでもありません。配膳ロボットによるサービスの提供は、人間のスタッフによる温かみのあるサービスを求めているお客様の不評を買う恐れがあります。
完全な無人化・自動化は難しい
現状の配膳ロボットの能力だと、完全な無人化・自動化は難しいことも留意しておくべき点です。たとえば、配膳ロボットからお皿の受け渡しをする際には人の手が必要です。もしもお客様自身にその作業をしてもらえない場合は、スタッフが行わなければなりません。
顧客からの特別な要望などに対する臨機応変な対応も配膳ロボットには期待できません。スタッフが配膳ロボットのできること・できないことを適切に把握して運用しなくては、十分な導入成果を得ることは難しいでしょう。
導入環境に制限がある
配膳ロボットを導入する際には、店内の環境についても注意しなければなりません。店内は基本的にロボットと人がすれ違える程度の通路幅や段差のない平らな床面が必要です。導入環境を満たしていない場合は改装などの費用も必要なので、かえってコストがかかってしまう可能性があります。
配膳ロボットの導入がおすすめの飲食店
配膳ロボットを導入するかどうかは、お店の状況なども踏まえたうえで決めるべきことです。店内の環境が配膳ロボットの導入に適していることを前提に考えると、導入効果が見込める飲食店の特徴は、第一に人手不足を解消したいお店が挙げられます。今後、日本の少子高齢化が急激に好転する可能性は低く、人手不足傾向は続くと予想されます。そのため、長期的な戦略からも配膳ロボットなどによる省人化を進めていく価値はあるでしょう。
また、費用対効果を考えると、ロボットの導入をすることで時間帯あたりのスタッフの人数を減らせる効果があるお店であることが重要です。もともと少人数スタッフのお店で「料理提供」をロボットに手伝ってもらっても、スタッフの人数が変わらなければ、ただのコスト増になってしまいます。「料理提供」を担当しているポジションがあり、そのポジションをロボットに変わってもらえるような大型のお店によりおすすめです。
また、ファミリー層の集客を狙いたいお店や、感染症の予防対策をしたいお店などもロボットの導入を検討してみることをおすすめします。
まとめ
配膳ロボットとは、人間のスタッフに代わって料理の配膳や使用済み食器の下膳などをしてくれるロボットです。現状の配膳ロボットはまったく人の手を借りずに動くことまではできませんが、それでも業務の省人化や効率化に寄与しています。飲食業が抱えがちな人手不足問題などに大きな効果を発揮するでしょう。
とはいえ、配膳ロボットの導入はお店ごとに向き不向きがあります。本記事で紹介したメリット・デメリットを十分に把握したうえで導入をご検討ください。
参考URL
飲食店でのロボット導入が加速中!需要拡大の背景や導入のメリットを解説|canaeru(カナエル)
個人飲食店こそ配膳ロボットを導入すべき4つの理由。おすすめ機種も|飲食店ドットコム ジャーナル
配膳ロボットとは?コロナ禍における導入のメリットや活用例について|Drone Future Aviation
フードロボットは敵か味方か。最新動向と飲食業界の未来像|FoodClip
「外食産業もDX時代へ(広がる配膳ロボット)ー前編ー」|W/ROBO(ウィズロボ)
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監修者:原島 純一
プロフィール | 株式会社STAYDREAMの代表。株式会社すかいらーくにて店舗マネジメント、従業員教育などを担当。また、フロアーの新フォーメーションの構築や、新メニュー開発などを経験。2006年にビジネスコーチ、コンサルタントして独立。2008年中小企業診断士の資格を取得。現在は、全国の飲食店の新規開業から、既存店の立て直しなどの支援を実施している。また、「わかりやすい言葉で伝え、明日から実践できる」をテーマに、全国でセミナー講師活動も実施中。 |
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