飲食店の売上を改善する業務効率化の方法7選! フレームワークも紹介

飲食店が成功するには、おいしい料理を提供するだけでは不十分です。キッチン・ホール・バックヤードそれぞれのオペレーションでいかに業務効率化が図れるかも求められます。そこで本記事では、飲食店経営者の方に向けて、飲食店が業務効率化すべき理由やその方法などについて解説します。

目次

飲食店が業務効率化に取り組むべき理由

飲食店が業務効率化に取り組むべき主な理由は、「利益の改善」「人手不足の解消」「顧客満足度の向上」の3つです。

利益の改善

業務効率化に取り組む中で、ムダな業務をなくしたり少ない人数で業務を回したりできるようになれば、人件費などのコストが削減できます。また、オペレーションの見直しなどを通して、顧客の回転率を上げることに成功すれば、売上の向上につながり、効果的に利益を改善していくことが可能です。

人手不足の解消

飲食業界は全体的に人手不足という課題を抱えています。したがって、従来よりも少ない時間や人数で仕事を回せるようにすることは、人手不足の解消につながります。 また、人手不足の深刻なお店は、従業員一人ひとりの負担が大きいため、離職率が高く、さらに人手不足になるという悪循環が生まれやすいと考えられます。そこで業務の効率化を図って従業員負担を減らせれば、離職率の低下に役立ちます。

顧客満足度の向上

業務効率化は顧客満足度の向上にも寄与します。業務効率化を実現すれば、ムダな動きが減らせて顧客へ迅速にサービスを提供でき、顧客の待ち時間の短縮にもなります。また、負担の減った従業員は、従来よりも余裕を持って接客にあたることが可能です。このように全体的なサービス品質が改善されることで、顧客満足度の向上が期待できます。

飲食店において業務効率化ができるオペレーション

飲食店の主なオペレーションは、「キッチン」「ホール」「バックヤード」の3つに分けられます。それぞれのオペレーションの内容と、業務効率化を目指すためのポイントを解説します。

キッチンオペレーション

調理業務を行うキッチンオペレーションには、料理の味や見た目といった品質を保ちつつ、顧客の待ち時間を最小限にとどめる迅速さが不可欠です。いくら料理がおいしくても提供スピードが遅いと顧客満足度を損ねますし、回転率が低くなることによって利益の低下を招くことになります。かといって、粗雑な調理によって本来の品質以下の料理を出すわけにはいきません。

キッチンオペレーションの業務効率化では、この品質と提供スピードを高いレベルで両立することが重要です。そこで料理の準備段階や調理工程において、事前に済ませておいたり、省略できたりするところがないか着目しましょう。

たとえば、事前に可能な仕込みや下ごしらえを済ませておけば、注文を受けてから行う作業を少なくできます。また、異なる料理でも途中まで同じ工程になるように工夫すれば、作業を集約できるため、並列処理することも可能です。さらに、スタッフごとに担当料理を分担したり、キッチン内の作業動線を改善したりすることでも一定の効果が期待できます。

ホールオペレーション

接客に携わるホールオペレーションは、顧客満足度に直結する仕事です。ホールとキッチンを何度も行き来するホールオペレーションを業務効率化するには、「従業員の動きの中からどれだけムダをなくすか」がポイントになります。

具体的には、「注文を取った帰りに空いたお皿を下膳する」「キッチンに注文を伝えた帰りにお冷を持っていく」などです。このようなホールとキッチンの行き来でできることなどをマニュアル化することで、ムダな動きを減らせます。

また、座席の配置などを見直して動線を改善することも重要です。動線が悪いと、従業員にムダな動きが生まれたり、配膳・下膳を安全に行うことが難しくなったりします。ホールスタッフが効率的かつ安全に仕事を行えるようになれば、接客品質の向上も見込めます。

バックヤードオペレーション

バックヤードオペレーションは、食材の在庫管理や鮮度管理などを行う仕事です。裏方的なポジションですが、この仕事がしっかりされていなければ店舗運営は成り立ちません。

食材管理を効率化するには、食材の保存方法や、使用方法などのルールを厳格に決め、運用していくことが大切です。たとえば、「よく使う食材は手前に置く」「賞味期限の近い食材から先に使う」など、一見些細なルールでも、作業プロセスやコストのムダを削る一助になります。

また、正確な需要予測につとめることもポイントです。どの時期に何の食材がどれくらい必要なのかを事前に把握して発注できれば、廃棄ロスや品切れのリスクを最小限に抑えられます。

飲食店の売上を改善する業務効率化の方法7選

飲食店の売上を改善するためには以下のような業務の効率化を図ることが効果的です。

1. 作業の見直し

作業の見直しは、業務効率化の前提となる働きです。ムダな動きがないか既存の作業を洗い出し、手順やタイミングなどを再検討しましょう。また、費用対効果が非常に悪かったり、実はそんなに必要ではなかったりする作業を見つけたら、思い切ってなくしてしまうことも大切です。

2. マニュアルの作成

ホールやキッチン業務のマニュアルを作成して共有することも重要です。飲食業界はアルバイトを雇っていることが多いため、従業員の入れ替わりが比較的頻繁に起こる業界です。マニュアルを用意していれば、従業員が入れ替わっても効率的に新人教育が行えるため、サービス品質を一定レベルに保ちやすくなります。

3. ルールの策定

作業上のルールを策定し、徹底共有することも欠かせません。先述したように、飲食店の現場はアルバイトスタッフも多いため、個人の持つ知識やノウハウ、考え方にバラツキが生じやすくなります。したがって統一的なルールを決めておかないと、業務に支障を及ぼす可能性があります。

具体的には、キッチン・ホール・バックヤードにおけるそれぞれの作業の仕方や判断基準などについて事前にルールを決めて共有することが不可欠です。たとえば、バックヤード業務では食材の保存・利用・補充の仕方などがルール化の対象になります。

4. メニューの改定

キッチンオペレーションの効率化を図るなら、メニュー変更を行うのもひとつの方法です。メニューが多いとそれだけキッチンスタッフの覚えるべきことや作業が増えてしまうため、必要に応じてメニューの絞り込みも検討しましょう。 メニューを改定する際は、売上や販売数のほか、調理の手間や時間、食材数などを判断材料にし、総合的に判断することが重要です。また、各時間帯にどのメニューが注文されやすいか把握すれば、仕込みなども計画的にムダなく作業しやすくなります。

5. 動線の改善

飲食店の動線の改善は、業務効率を向上させるうえで大事なポイントです。優れた動線が確保されていないと、従業員同士がお互いの動きを邪魔してしまったり、ムダに動いて時間や労力を余計に消費してしまったりします。そのため、スタッフの移動しやすさや作業しやすさを考えたうえで、ホールやキッチンの動線を再検討してみましょう。

6. 配置の変更

動線とも関係することですが、「もの」をどこに置くかも業務効率に影響します。キッチンならば調理道具などが該当し、よく使う道具はよく使う場所の近くに配置することが基本的な考え方です。また、ホールでは座席の配置を必要に応じて変更しましょう。

ホールスタッフから見えにくいところに座席を置くと、顧客の様子を見逃がし、対応が遅くなることが懸念されます。そのため、ホールスタッフが動きやすく、ホール全体が見渡せるような座席の配置を検討しましょう。

7. システムの導入

さまざまなITツールを活用することも業務効率化につながります。ITツールの中には、飲食店向けに特化した製品も多く、オンラインによる予約受付システム、モバイルオーダー、在庫管理システムなどをはじめ、最近では調理や配膳などを行うロボットも存在するほどです。自店の課題に即して、こうしたITツールを導入することも検討してみましょう。

「食べログ」で業務効率化を含め店舗の課題を解決

ITツールで業務効率化を図るなら、日本最大級のグルメサイト「食べログ」のサービスを活用するのがおすすめです。たとえば「食べログオーダー」を導入すれば、モバイルオーダーを使えるようになるので、オーダー業務の効率化が見込めます。

また、食べログ店舗会員になって「食べログネット予約」を使えば、予約業務の効率化が図れます。さらに「食べログ仕入」を利用すれば、スマホで簡単に発注業務が行えるようになるため、バックヤードオペレーションが楽になります。このように飲食店に特化した食べログのサービスを活用することで、業務効率化をスムーズに進められ、店舗の課題解決を実現しやすくなります。




飲食店の業務効率化に活用できるフレームワーク

最後に飲食店の業務効率化に活用できるフレームワークとして、「ECRS」と「KPT」の2つを紹介します。

ECRS

ECRS(イクルス)とは、「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(交換)」「Simplify(簡素化)」の4つのステップで業務効率化を進めるフレームワークです。最初にムダな業務を「排除」して、次に同時にできる作業を「結合」します。そして作業場所や担当者、手順などを見直して「交換・入れ替え」し、最後に作業手順などを「簡素化・省略化」します。基本的に業務効率化の効果もこの順番で大きくなるため、ECRSを手掛かりに業務効率化に取り組むことでスムーズに成果を挙げやすくなります。

KPT

KPT(ケプト)とは、「Keep(継続)」「Problem(問題)」「Try(挑戦)」の頭文字を取ったフレームワークです。既存の業務、あるいは業務効率化によって変更された業務の中には、良い面とそうでない面の両方が含まれていると予想されます。

そこでKPTでは、最初に良い面、つまり今後も「継続」していきたい面を洗い出します。続いて、改善すべき「問題」を把握し、最後にその問題の解決に向けて具体的な施策を導き出し「挑戦」するという手順です。KPTを活用することで業務の整理や問題の把握ができ、的確な業務の効率化が進められます。

まとめ

業務効率化は、利益の向上、人手不足の解消、顧客満足度の向上など、さまざまなメリットを飲食店にもたらします。業務効率化の方法は、マニュアルの作成、メニューの改定、システムの導入など多種多様です。まずはキッチン・ホール・バックヤードそれぞれの業務の課題を洗い出し、ここで紹介したフレームワークなども活用しながら、売上の改善に向けて業務効率化に取り組んでみましょう。

参考URL

飲食店は効率が命!売上にも影響する店舗オペレーションを改善しよう|フランチャイズの窓口
【2022年最新版】飲食店の業務を効率化するおすすめツールをご紹介!| IVRy(アイブリー)
飲食店の回転率を上げる方法|稼働率・客単価とのバランスと集客への工夫がポイント!|note 【公式】パーソルイノベーション株式会社
飲食店のオペレーションとは?効率化する方法も解説|ユニコレ飲食店ユニフォームのブログ
飲食店経営において業務効率化を進め、課題を解決するためのポイント |はたLuck®︎
飲食店のオペレーションとは?従業員の意識を高める改善方法を徹底解説|Airレジ マガジン
飲食店の業務を効率化するには?店舗が行うべき改善点とは|Upr
【飲食店】厨房での業務を効率化する6つのポイントとは?|飲食開業のミカタ
飲食店の業務効率化とは?業務効率化のポイントやツールについて解説|e無線
ホントに?飲食店のバイト比率が82%に達する現実と今後の数字を大胆予測
飲食店のハウスルールを作成するメリットと作成のポイント|シフオプ
ハウスルールの作り方を解説!飲食店が気をつけるべきポイントまとめ|CAROT(キャロット)
【飲食店経営】業務効率化におすすめの方法を紹介|ナシエル
飲食店の業務を効率化して売上増。DX化できる業務と成功事例 |おなじみ-近くの店から、なじみの店へ。
飲食店でのロボット導入が加速中!需要拡大の背景や導入のメリットを解説|canaeru
調理ロボットを導入する3つのメリット!特徴的な調理ロボット3選 | PITTALAB
業務改善に役立つフレームワーク5種類と具体的な活用方法 |School for Business
ECRSの4原則で始める、引き算の改善|ものづくりの現場トピックス
ECRS(改善の4原則)|株式会社 日本能率協会コンサルティング
ECRS(イクルス)とは?業務改善フレームワークの具体例| i-STAFF
業務改善の必要性と効果は? 役立つフレームワークと具体的な施策の例|大塚商会のERPナビ
KPTとは?やり方やメリット、効果を最大限に高める3つのコツ|ミツモア

監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com

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