飲食店における人件費削減のポイントとは? うまく管理して利益改善!
コロナショックから少しずつ日常が戻りつつある中で、店舗の人件費がふくらみ、利益が改善されずに悩んでいる経営者も多いでしょう。そこで考えられる一手は人件費の削減ですが、単純にスタッフのシフトを減らせばよいという問題ではありません。この記事では、飲食店における人件費削減のポイントと注意点を解説します。
目次
飲食店で人件費削減をする目的
飲食店の経営において、人件費は食材費と並んで大きな割合を占める経費です。人件費を適正に削減することは、利益の確保を目的とする上でとても大事なポイントになり、経営者がいの一番にチェックする経費でしょう。その反面、人件費のコントロールに失敗すると、スタッフの離反やモチベーションの低下を引き起こすこともあり、慎重さが求められる施策でもあります。 また、少子高齢化が進む日本の生産年齢人口は減少を続けており、今後は少人数でも営業できる収益モデルの確立が必要となってきます。これまでの常識を覆すほどの施策も考えて人件費削減に取り組むべきでしょう。
飲食店における人件費削減のポイント
飲食店の人件費を削減するには、人員の適正化やデジタルツールの活用、スタッフのスキル向上などが必要です。以下、人件費削減のポイントを解説します。
現状の把握
ただ単に人件費を削るのは非常に危険な施策です。まずは今の店舗の状況をしっかり把握しましょう。普段の勤務シフトと売上データから時間帯による繁閑の流れを確認し、シフトの人員と配置が適正かどうかを慎重に判断しましょう。もちろん、机上での想像ではほとんど意味がありません。実際に店舗に入って中期的に状況を確認するか、最低でも現場で聞き取りをしながら確認して判断しましょう。
簡単な計算で人員は適正かを判断する方法がありますが、これは相当な大型店舗で多数のスタッフを雇用して運営している場合でなければ有効ではありません。 人時生産性などを算出して、大枠で捉えることも大事ですが、よりリアルに現場の状況を把握する必要があります。たとえば、単純に1時間あたりにオーダーされたアイテム数を把握して、その時系列での変化を確認するだけでも状況は把握できます。
オペレーションの改善
店舗で行われているひとつひとつの作業を疑ってみることも大切です。たとえ20年間その方法でやっていたとしても、もっとやりやすい方法だったり、30秒でも早く終ったりする方法がないのかを考えることが大事です。 場合によっては道具ひとつ変えるだけで作業効率が2倍以上になることもあります。その小さな積み重ねが複数集まり、10分の短縮×10=100分の人件費削減となることを心得ましょう。
また、店舗のレイアウトの見直しは、とても大きな改善につながることがあります。レイアウトの変更はまとまった時間が確保できないと難しい場合が多いでしょう。たとえば、この冷蔵庫とこの作業台は逆のほうが効率がよいと気づいていても、開業時から変更できずに今日まで営業を続けてきてしまった店舗などはよく見かけます。しかし、営業を休んででも改善するべきケースが多く、思い切った変更も必要です。
ほかにも、業態にとらわれず、お客様にセルフサービスをお願いするなど、今までは考えもしなかった施策も検討の余地があります。
シフトの調整
シフトの作成は、飲食店の財務を決めるといってもいい大事な仕事です。 まずは人員が余剰となっている時間帯がないかを確認しましょう。また、ピークタイムに効率よく最少人数でオペレーションをするためには、アイドルタイムの準備が非常に大事になってきます。
ほかにも、「勤務開始時間はこれまで9:00と決まっているから」のように、今の状況に合っていないにもかかわらず、慣例的な理由だけで続けているようなことが多くあります。 勤務体系は根本的に大きく改善すると摩擦が起きることもありますが、従業員にしっかりと説明する時間をとり、理解を得た上で、皆が快適に感じられるよう工夫しましょう。
スキルの向上
一人一人のスキルアップは、確実に人件費の削減につながっていきます。そのスキルによって業務効率が上がり、「あのスタッフがいると、いつもより終業時間が早まる」といったことが起これば時給を上げても価値はあります。それによりスタッフの向上心にもつながり好循環となってくるでしょう。 従業員のスキルを向上させるための手段としては、マニュアルの作成や研修の実施などがあります。
機器・ツールの導入
業務の効率化をサポートする機器・ツールの導入も人件費削減につながります。 現在では、初期費用がほとんどかからないPOSレジや決済システム、勤怠管理や予約管理のアプリなどがあります。ランニングコストもここ数年でかなり低価格になり、導入の障壁はなくなりつつあります。
しかし一番の問題は、経営者や管理者の導入に対する抵抗です。「機械やツールを利用するとお客様に冷たい印象を与えるのでは?」といった気持ちはまだ理解できますが、「PCやiPadの操作を覚えるのが面倒」といった、非常に残念な理由で導入をしない店舗がまだあります。
圧倒的に人材が不足し、今後さらにその状況は驚異的なスピードで悪化すると予測される中で、そのようなことを言っていられる状況ではないのは明らかです。
ツールの導入で少しでも人の手が空けば、人件費が減るだけではなく、スタッフが心にゆとりを持てます。その分、クオリティーの高い仕事をすることができ、長期的にみると顧客のリピート率が上がり、売上高が徐々に伸びていきます。そして、最終的に人件費率も抑えられるでしょう。このような長期的なスタンスで、ぜひ一度検討してください。
飲食店で人件費削減をする際に注意すべきこと
人件費の削減は、最初に手をつけやすい改善策です。そのため、長期的な考えのもとに進めずに「とりあえずやってみよう」といった感じで行ってしまう事例を多く見てきました。しかし、経営者から告げられる方針転換に毎回左右されるのは従業員です。ここから人件費削減の弊害と注意点を取り上げます。
スタッフの理解
まずスタッフは、人件費を減らすということは自分にしわ寄せがきて、大変になることを一番に想像します。そして、慣れてきた労働環境が変化することには少なからず抵抗があります。こうした点を理解せずやみくもに人件費を削減しようとすれば、不満の増加や離職につながりかねません。
また、勤務形態の変更やシフトの再編成、それによるオペレーション変更は、経営者や管理者では把握しきれないような、スタッフにしかわからない細かい都合があったりします。
それを理解するためにも、そして快く変更や提案を受け入れてもらうためにも、まずは意見を聞くことから始めましょう。もしかしたら、スタッフの方がいいアイデアを持っているかも知れません。
サービスのレベル
人件費の削減によって、サービスの質や料理のクオリティーが下がってしまいお客様が離れてしまっては、経営改善の施策として成立しません。 むしろ事業自体が縮小のサイクルに入っていく危険な状況を生み出します。人件費の削減をするならば、どんな効果を期待するのかを明確にし、それと同時に進める経営改善の打ち手が必要です。
たとえば、浮いた人件費を機材の購入やアプリの使用料に投資する、あるいはその分を福利厚生に回すか、時給に還元するなど2次的なアクションがあった上で、初めて好循環が生まれます。
スタッフのモチベーションが上がり、労働環境が少しでも良くなり、お客さまへも余裕をもって接することができる。それによる売上アップの上での利益の増加が、人件費削減の最大の効果となります。
まとめ
人件費削減という打ち手は、短期的にそして即効性を望んでしまうとただの搾取になってしまう危険な施策です。何のために人件費を削減するのか、削減した分をどのように有効活用するのかといったイメージを持つことがとても大切です。
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参考URL
【飲食店】人件費削減のポイントとは?失敗しないポイントと進め方│ワイマガ|Wiz cloud(ワイズクラウド)
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監修者:太田とよしき
プロフィール | 株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。 |
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