飲食店の永遠の課題と向き合う! 食品ロスの原因や対策を徹底解説
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飲食店の経営において最も大切な管理項目に挙げられるのは人材と食材の管理です。この2大コストをコントロールできて、初めて熾烈な飲食業界での競争に参入できると言ってもいいでしょう。この記事では、その中でも食材管理を徹底することで食品ロスを限りなくゼロに近づける方法を検証したいと思います。
目次
飲食店における食品ロスとは何か?
飲食店における食品ロスとは、飲食店が必要なものとして仕入れた食品がお客様の口に入ることなくゴミ箱へと捨てられることを指します。
飲食店に納品された食品全体の1/3が何らかの理由で廃棄されているとも言われ、売上金額のうちの食材比率が30%の飲食店の場合、このうちの10%が廃棄された食品の金額になる計算になります。 実数で表すと月商200万円の小さなお店だとしても、そのうち20万円が食品ロスによる損失額となる計算です。 さらに飲食店における食品の損失という観点だけではなく、その食品に関わってきた農作業、加工・製造、輸送に必要な労力やエネルギーをも無駄にしていることになります。
そして、それまでの労力とエネルギーが無駄になるか否かは、最後にその食品を扱うエンドユーザーである飲食店とお客様に委ねられています。 これらのことから考えても、飲食店の経営改善のためだけではなく、社会全体を牽引する意味でも食品ロスの対策をさらに進めていくべきでしょう。
飲食店の食品ロスが増える原因
食品ロスが起こってしまう根本的な原因は、大まかに確認不足と予測ミスの2つになります。 飲食店の日常業務のどんなシーンで確認不足と予測ミスが起こっているのかを確認していき防止策を講じていきましょう。
仕込みの量が多すぎる
最も多い食品ロスの原因として挙げられるのが、必要な量より多く仕込みをしてしまうことです。 営業中に仕込みがなくなることで1からの調理となり、提供時間が長くなってしまったり、そもそもお客様に提供できなくなったりすることを恐れて、つい仕込みの量が多くなってしまいます。
そして、イメージよりもオーダーが少なかったり、来客数が伸びなかったりすることで大幅に食品ロスを生むことになります。
食品の適切な保存ができていない
多くの食品と仕込みをした調理済み食品の保存管理が徹底できていないことによってロスとなることが多くあります。 いつ仕込んだものなのか、いつ開封したものなのか、またはいつまでに使わなければいけないかが確認できない状態で、ある特定の人の頭の中で記憶されていることは、管理体制として思わしくありません。また、その食品の保存に際して適切な保存資材や容器が選ばれ、それらが正しい方法で使用されているかも大きなポイントであり、これは衛生管理にもつながってきます。
注文者の食べ残しが多い
飲食店側だけでなく、お客様に料理が提供されてからの課題もあります。料理一品一品の量が把握できずに食べきれないぐらいの量をオーダーしてしまったり、届いた料理が想像と違って手をつけなかったり、好みではなかったという理由で料理が残されてしまい、食品ロスなることもあります。
整理整頓ができていない
特に食材を管理しているキッチンのスタッフが食品を発注する際に、大きなロスを生んでしまうことがあります。 よく発生しがちなのは、食材の整理整頓ができておらず、必要十分な量の食材があるのに在庫がないと認識してしまい、さらに発注してしまうパターンです。
この場合、特にその食材の注文ロットが多かった場合、消費期限までに食材を全く使用することができず、大きな食品ロスにつながります。 数多くの資材や食材を常にストックする飲食店では、在庫管理の徹底がさまざまなところに影響を与えます。
飲食店における食品ロスを減らす対策
これらの原因を踏まえた上で、具体的にどのように対策を講じていくかを考えてみましょう。 食品ロスの対策は、人件費や店舗でのオペレーションにも密接に関連し、最終的に利益の確保につながることが多く、徹底をするべき最重要課題と考えて間違いありません。
必要以上に仕入れをしない
「お客さんにオーダーしてもらったのに料理が提供できない。」 全ての飲食店の方達は、この状況だけは作り出したくないという思いがあることでしょう。 しかし、その思いが強すぎて、常にどんなに混んでも確実に足りる量を仕込んでおこう、ストックしておこうと考えてしまうことが食品ロスの大きな原因となっています。
この対策として、まずはどんなに混んでも、注文が集中しても、これ以上は必要ないという数量を把握することが大切です。 手始めにどの料理、どの飲み物が最大でいくつ出ているかを3カ月間遡って確認してみてください。(その料理が一番出た日と一番少なかった日の数値を対象から外して考える方法もあります。) しかし実際のところ、多くのお店がその最大の量を上回るような仕込みや在庫をしています。
もちろん仕込みの頻度、食材納品のタイミングも考慮する必要はありますが、明らかに多い仕込みとストックを避けることが第一歩となります。
食品の管理方法を見直す
仕込み量やストック量が適正でも、保存方法やその管理方法が適切ではないことで、食品ロスにつながることが多くあります。
最初に確認すべきことは、食品の情報をきちんと全てのスタッフで共有できているかという点です。
一人の人がなんとなく記憶で管理することは論外で、確実にその食品に情報を記載しておきましょう。特に一定の調理プロセスを経た仕込みに関しては、管理を曖昧にしている店舗が多く、どちらが先に仕込んだものか、いつまでに使用するべきで、何gの小分けになっているかなど、仕込み作業をした当人でなくても詳細が把握できるように情報を共有することが大切です。
また、その食品にあった保存容器や資材を選び、正しく使用することが重要です。 せっかく性能の良い包装資材や保存容器を購入して鮮度を保とうとしても、正しく使用されていなかったり、雑に扱われていたりすることで性能を発揮していないことがあります。
食中毒が起こるような事例ではなくても、保存容器がそもそもきちんと洗浄できておらずに細菌が繁殖して劣化を早めたりするケースが多くあります。食品包装用のフィルムもきちんとラップができていないことで破棄することになるケースは多くあります。 ひとつひとつを見直してみましょう。
注文者に適切な量の注文を促す
お客様に食べきれる分の注文をしていただくことも必要な努力です。 特に初めての来店にも関わらず、量を気にしないで一度にオーダーする方もいます。こういったお客様には、必ずお声がけするべきでしょう。もしくは、メニューなどに質量や目安となるような表現を加えて、お客様自身でオーダー量をコントロールしていただくように促すことも大切です。『コンビニのおにぎり1個分』といった表記は、とてもイメージがつきやすいです。
また、メニューに写真を添えることも効果的です。どんな料理か明確に伝わることはもちろん、写真の盛り付けを見て「これには苦手な食べ物が入っているから、注文するのをやめておこう」と、お客様が注文を控えたりすることで、実際に届いた料理を見たらイメージと違ったといった事態を防ぐことができます。
売上データを正確に検証する
どの商品がどのくらい売れるのかを予測することは、食品ロスを減らすための有効な対策になります。しかし、多くの小規模事業者や個人事業主は、感覚を頼りにして商品の販売数を把握しています。 実際にその飲食店で一番売れている料理は把握できていても、ベスト5を当てられるスタッフや経営者は数少ないのが現状です。この実数の把握ができていないことが食品ロスにつながっていることを自覚するべきです。
人の感覚はあまり当てにならないことを認識してデジタルツールを採用し、販売数など売上データの集約をして、経営面だけでなく食品ロスの対策にも役立てていきましょう。
食品ロスを減らすことのメリットとは?
食品ロスを減らすことで食材費が低減され、利益が残るのではないかという点は誰しも想像がつくと思います。しかし、食品ロスを減らすことで得ることができるメリットはとても広い範囲に及んでいます。
食品を廃棄するためのコストを減らせる
食品ロスを減らすための対策を実施することで間接的にコストの削減になることは多くあります。 過剰在庫を極力減らし整理整頓を徹底することで、現在の在庫確認が簡単にできるようになり、発注作業をする際の必要な時間も半分以下になることもあります。
また食品ロスによる破棄作業の人件費や、破棄することになった食材を冷凍していた電気代も無駄になるので、これらも削減できるコストになります。
環境問題の改善につながる
食品ロスを減らすことは、その食品の製造プロセスや廃棄処理で発生するCO2を減らすことでもあります。 また、「ゴミ箱に捨てているもので使えるものはないか?」と常に考えることは、環境問題の改善とお店の収益の確保にもつながっていきます。
野菜クズを出汁に使ったり、漬物にしたり、最近では毎日廃棄していたご飯を米菓子にするなどのプロジェクトも注目されています。毎日ゴミ箱に入れているものを今一度見直してみることが、環境問題の改善につながっていくはずです。
まとめ
食品ロスが起こってしまう根本的な原因は、大まかに確認不足と予測ミスの2つです。つまり、「多分〜〜だっただろう。」と考えて目視確認を怠ったり、人の感覚だけでなんとなく予測したりしたことが原因で、実際と大きく異なってしまうことから起因します。
毎日のルーティンに追われてしまう飲食店の経営管理ですが、目先のひとつの丁寧な確認作業やデータによる検証が、遠回りとなっても確実な食品ロスの回避方法となるでしょう。 食品を収納している冷蔵庫の中に廃棄するべきものなのに、冷やし続けているものはないでしょうか。まずはそれを確認することが、食品ロスを減らす第一歩かもしれません。
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監修者:太田とよしき
プロフィール | 株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。 |
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