売上アップ! 飲食店の回転率を上げる方法を解説

飲食店において、売上の概算は「客数×客単価」で計算します。売上をアップさせたければお客様の数を増やしたり、客単価を上げたりすることが必須です。しかし飲食店では、一度に客席数を超えるお客様へサービスを提供できません。そこで重要な指標となるのが回転率です。本記事では回転率の重要性や、アップさせるための施策を具体的に紹介します。

目次

飲食店における回転率とは

飲食店が売上増加をめざす時に重要となる指標が、回転率です。飲食店の売上は以下の式で計算できます。

売上=客数×客単価

上記の式をもう少し詳しく表したものが以下の計算式です。

売上=席数×客席稼働率×回転率×客単価

回転率とは、1日あたり、ひとつの席に何名のお客様が座ったかを示す指標です。 客席稼働率とは、客席の何%が実際に埋まっているかを表します(詳しくは後述します)。 飲食店では、一度に客席数を超えるお客様へサービスを提供できないので、回転率アップが売上増加に不可欠なことは明白です。

回転率の計算方法

回転率は、以下の式で計算します。

回転率=1日の来店数÷客席数

「率」は%で表すものなので、本来なら〇回転ではなく○○%と示すべきですが、飲食業では通常、パーセンテージではなく「5回転」など、回数で表現します。 たとえば50席のレストランを100人のお客様が利用した場合は「1日2回転」、10席のラーメン店を100人が利用したら、「1日10回転」です。

回転率が低いとは、本来ならサービスを提供できるはずのお客様を逃している状態なので、売上は低迷します。かといって、売上アップのために席数を増やすことは、店内スペースの都合などから現実的とはいえません。そこで、売上増のために回転率を上げる工夫が強く求められます。

回転率の目安

飲食店の回転率は業態によって大きく異なります。 回転率は客単価と相関関係にあります。ラーメンやうどん、そば、牛丼店、ファストフード店のようにスピ―ド勝負で単価が低い業態は回転率が高く、1日に10回転以上することも珍しくなく、20回転以上するケースもあります。 一方、コース料理を提供する高級料亭やフレンチレストランのように客単価が高い業態では、1回転のみの場合もあります。なお客単価が中間に位置する居酒屋の場合は、1日2回転くらいです。

飲食店の回転率を上げる6つの方法

回転率を上げるための施策を紹介します。店舗運営のスピードアップを図ったり、「客席」以外で売上をつくったりすることがポイントです。

オペレーションにかかる時間を見直す

オーダーや会計にかける時間を短縮できれば、回転率アップにつながります。 ラーメン店のように、特にスピード重視の業態なら、店内に券売機を設置したり、注文用端末を客席に置いたりすることで、時間のロスやオーダーミスを防ぐことで時間を短縮できます。また、最近導入され始めているモバイルオーダーの導入も効果的です。 (オーダーへのリンク)

会計にかかる時間を短縮しスムーズな退店を促すには、より直感的に操作できる決済端末やキャッシュレス決済の導入がおすすめです。 機器やシステムを導入せずに、回転率アップを図る方法もあります。ウェイティングのお客様には待ち時間中にメニューを見てもらう、着席前にオーダーを聞いて、席に案内した直後に提供するといった工夫も時間削減策のひとつです。

このほか、目の付く場所に大きなメニューをかかげる、文字だけでなく写真やイラスト入りのものを用意して料理へのイメージを持ってもらいやすくするといった方法で、メニュー決定までの時間を短縮できます。

料理の提供時間を短縮する

オーダーや会計のオペレーションがスムーズに進んでも、料理を提供するまでの時間がかかりすぎると、回転率は下がってしまいます。

オーダーから料理提供までのスピードを高めるには、スタッフのスキルアップや仕事の段取りの見直しが必要です。厨房スタッフは料理の仕込みや下準備を可能な限り開店前に済ませているか、ホールスタッフはスムーズな接客応対ができているかを確認しましょう。

混雑する時間帯に人員を増やしたり、厨房とホールスタッフの連携を強めたりといった柔軟な対応も必要です。テーブルなどの配置や動線も見直してみましょう。

中間下げ(中間バッシング)を行う

バッシングとは飲食業界の用語で、テーブル上の空になったグラスやお皿など、必要ないものを片付けることです。お客様が帰った後に全てを片付けるのではなく、食事をしている途中でタイミングをみて、一部の食器を下げる「中間バッシング」を徹底させることで、次のお客様のテーブルセッティングにかける時間を短縮させ、待ち時間そのものを短くできます。

飲食業界には「1WAY-3JOB」(ワンウェイスリージョブ)、つまり「ひとつの行動(WAY)で、3つの仕事(JOB)をこなす」という考えがあります。簡単にいうと、一度客席に出たら3つ以上の仕事をしましょう、ということです。料理を運んだら、テーブルの空のグラスを下げ、追加注文を伺うのは「1WAY-3JOB」の一例です。 「1WAY-3JOB」が示すとおり、他の仕事をしながら適宜の片づけをすることがポイントですが、お客様に不快に思われたりしないよう、タイミングを十分に見計う気配りも必要です。

長居されづらい空間にする

お客様に心地よい空間を提供できる飲食店は魅力的ですが、あまりに長居されると回転率の低下につながります。コーヒーおかわり自由やソフトドリンク飲み放題などは集客効果を期待できる反面、長居を促す要因にもなりえます。

そこで、業態によっては、あえて長居されづらい空間にすることを検討したほうがいいかもしれません。たとえばテレビやマンガ、新聞・雑誌などは撤去します。また、テーブル上に空きスペースがなくなると「早く食べよう」という心理が働くため、あえて小さなテーブルを置く方法もあります。ふかふかではなく座り心地の悪い硬い椅子を置くことを検討してもいい店舗もあるでしょう。

ただ、長居されにくい空間を重視しすぎると、顧客満足度の低下につながりかねません。顧客のニーズに注意を払い、一定の快適性や清潔感はキープしつつ、長居しにくい環境を整えましょう。 なお、居心地のよい空間をコンセプトにしている業態が回転率を上げたい場合は、混雑時のみ時間制限を設けるなどの方法を検討しましょう。

テイクアウトやデリバリーを始める

テイクアウトやデリバリーは、店舗の座席を占有することなく一定の売上を確保可能です。座席が空くまで待つ必要がないため、お客様側にとってもメリットがあります。 一方で、容器や使い捨てカトラリーなどの備品、新しいスタッフが必要となるため、価格設定やメニュー構成は慎重に検討しなければなりません。

また、テイクアウトやデリバリーに力を入れ過ぎて、店内イートインのサービス低下を招いてしまうおそれもあるので、人員やコストなどのバランスをよく考えましょう。 テイクアウトを待つ行列ができる店舗では、オーダーと決済を来店前に完了できる事前オーダー・決済アプリを導入すると効果的です。 なお、特に回転率が重視される客単価の低い業態でテイクアウトやデリバリーの需要が高まっていけば、回転率の重要度は低くなっていくことが予想されます。

ネット予約サービスを活用する

インターネット予約サービスの活用は回転率アップにつながります。予約手段が電話のみだと混雑ピーク時に電話をとれないおそれがあります。

しかし、インターネット予約なら24時間受付可能ですし、お客様自身が入力した予約情報が予約台帳にそのまま記録されるので、聞き間違いなどのトラブル防止にも有効です。また営業時間中もインターネット予約を受け付ければ、二次会などの遅い時間帯の需要も期待できます。

登録店舗数83万、多くのユーザーが利用する日本最大級のグルメサイト「食べログ」の店舗会員になると、固定費無料で店舗ページの編集や24時間365日のネット予約受付が可能になります。またユーザーに、リアルタイムでの空席状況も伝えられます。来店者数を増やし回転率をアップさせるために、ネット予約サービスを活用してみてはいかがでしょうか。





回転率だけじゃない!飲食店の売り上げUPに重要な指標

売上アップのために注目すべき指標は回転率だけではありません。あわせて注目すべき指標を紹介します。

満席率(客席稼働率)

満席率(客席稼働率)とは、客席の何%が実際に埋まっているかを表す指標で、以下の式で求められます。 満席率(%)=満席時のお客様の数÷総座席数 たとえば座席数が100のお店ですべてのテーブル席に誰かしら座っているものの、お客様の数自体は合計80人だとします。 この場合、満席率は80(人)÷100(席)で、80%です。

飲食店では4人座れるテーブル席に2人で座っていたり、2人席に1人しか座っていなかったりするケースがよく見られます。この場合、空席や荷物置きにされている席は売上を生まない「死に席」となり、稼働率低下を招くことになります。 一般的に飲食店の平均客席稼働率は65~70%とされています。稼働率が低い場合、客席を埋めて数値を高める施策が必要です。

たとえば満席率を高める施策として、インターネット予約を活用することがあげられます。予約手段が増えることで集客機会も連動して増えることはもちろんですが、システムが24時間体制で予約を受け付けてくれることのメリットはそれだけではありません。忙しいなどの理由でお店の営業時間内になかなか電話ができない人や、そもそも電話が苦手という人も、インターネットなら気軽に予約ができます。 予約に対するハードルが下がるので、電話予約だけではアプローチができなかったターゲットにも集客のチャンスが生まれます。

また、ファミリー客が多い飲食店では4人がけの席を増やす、逆に1人や 2人客が多いビジネス街のカフェではカウンター席や2人席を増やすといった方法で、「死に席」を減らす努力も有効です。 特に混み合うには、テーブル席を3人以上で利用してもらう、ランチタイムは相席をお願いするといった案内ルールを設けておくことも大切です。

顧客満足度

回転率を重視するあまり、顧客満足を軽視するのは本末転倒です。足を何度も運んでもらったり、客単価を上げたりするためには、顧客満足度を常に意識しなくてはなりません。そのため、料理の味はもちろん、接客態度のよさ、清潔感のある店舗づくりも並行して進めていく必要があります。

こういう場面でも、インターネットを活用してみるのがいいでしょう。指標として効果が測定しにくい顧客満足度ですが、SNSなどを見ると率直な「口コミ」が投稿されていることもあります。また、予約サイトには口コミコーナーが設けられていることも多いので、ネット予約を取り入れつつ口コミを確認することもできます。口コミから思わぬアイデアを発見できる可能性もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

客単価

客単価とは、1人のお客様が1回の食事で支払う平均額のことです。どんなに回転率を上げてたくさんのお客様を入れたとしても、お客様が支払う金額が少なすぎては意味がありません。先に紹介したように、売上は「客数×客単価」で決まるので、客単価が売上に直結する大事な指標であることは一目瞭然です。

とはいえ客単価を上げるために、メニューの価格を安易に上げることは避けた方がいいでしょう。客単価を上げるだけが目的の単純な値上げはお客様の購買意欲を下げてしまい、客単価をむしろ低下させる可能性があります。

食事1つの価格を上げることのほかに、お客様に頼んでもらう品数を増やすというアプローチも考えられます。メインに気軽に添えられるサイドメニューを増やしたり、お得なセット価格を設定したり、お客様がもう1品を注文しやすい環境を作ることが大切です。

まとめ

飲食店にとって回転率を上げることは、売上増加に欠かせない施策です。回転率アップのためには、店舗オペレーションを見直す、料理提供のスピードアップを図る、オーダーや会計のシステム化を進めるなど、さまざまな方法があります。

なかでも効果的なのが、インターネット予約サービスの活用です。予約の取りこぼし防止やオペレーション効率の向上などが期待できます。回転率アップのためにも、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考URL

儲けたい飲食店は滞在時間と回転率を意識して売上アップを目指そう!|花王プロフェッショナル・サービス株式会社
計算式で攻略!飲食店の売り上げを左右する回転率|Square
売上の公式解説|CASIO
飲食店の回転率とは?回転率の計算式や回転率を効率よく上げる方法とは?|ラーメン開業支援サイト
飲食店の客席回転率とは?計算方法、稼働率からの売上改善策の考え方|Self Order Lab
飲食店経営 売上向上のカギ《回転率と稼働率とは?》計算式と対策を知ろう|開店ポータルBiz
客席回転率(客席回転数)|シマウマ用語集
飲食店の回転率が売上を左右する!回転率を上げるポイントを徹底解説|株式会社FOODOAG
飲食店の回転率とは?計算方法や回転率を上げる具体的な方法について解説!|株式会社インパクトブルー
テンポス情報館|飲食業界用語集
飲食業・接客業の基本、「1WAY-3JOB(ワンウェイスリージョブ)」|Gouter
実は知らない回転率アップの方法!飲食店店長が知っておくべき失敗しないためのポイントとは?|口コミラボ
売上に直結!飲食店の回転率を上げる4つの裏技とは?|DIG-IN
飲食店の回転率を上げるためにできる対策7つを紹介|ten職レストラン
飲食店はネット予約を活用しよう! ~ はじめてでもこれなら怖くない|CASIO
ウェブ予約導入のメリットは?電話予約との違いも紹介|TableCheck
飲食店が客席回転数を高めるための3つのポイント|CASIO
ニューノーマル時代の飲食店における席数は?売上や回転率の計算式も解説。|canaeru
コロナ禍でも“選ばれる飲食店”の条件とは? ~「必ずまた来たい」のカギは○○と○○!?~|KnowledgeLabo
飲食店の接客スタッフがやりがちなNG行為と改善策を知ろう|開店ポータルBiz
飲食店の回転率を上げる方法|稼働率・客単価とのバランスと集客への工夫がポイント!|note
客単価とは?計算方法や上げる方法を解説 活用する方法も紹介|株式会社SENTOEN

監修者:太田とよしき

プロフィール

株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。

サイトURL

https://toyoshiki-ohta.com

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