飲食店の主な経費とは? 平均や削減方法をわかりやすく解説

飲食店にとって利益の拡大は事業の継続に欠かすことができません。そして、経費は利益を大きく左右するものです。売上の何割がどのような経費に使われているのかを把握することは、確定申告においても重要です。本記事では、経費の概要から削減方法までをわかりやすく解説しています。

目次

まず、飲食店の経費にはどのような種類があるのかについて解説します。確定申告を行うためにも、また効果的な税金対策のためにも、どのような費用が経費として計上できるのかを把握しておくことは重要です。

飲食店における主な経費

飲食店の経費は大きく変動費と固定費とに分けられます。

変動費

変動費とは、商品の売上(販売数)の増減によって、発生する金額が毎月変わってくる経費のことです。例えば、アルバイト・パートの人件費や水道光熱費、材料費、消耗品費などが該当します。変動費は、削減しやすい経費であるものの、提供する商品やサービスの質に直結しています。削減する場合には顧客満足度が低下しないよう、十分に注意して行う必要があります。

アルバイト・パートの人件費

アルバイトやパートに支払う人件費は、勤務時間によって毎月変わってきます。飲食店の場合、売上の30%程度に抑えるのが理想的だとされます。人件費で注意しておきたいのは、従業員に支払う給与は経費として計上できるのに対して、店舗で働いている親族に支払う給与は原則、経費にはできないことです。例外として、

  • 別生計の親族の場合
  • 同一生計でも、青色申告で事前に「青色事業専従者給与に関する届出」をした場合
  • 同一生計でも、白色申告で「事業専従者控除」が適用される場合

には、親族に支払った給与も人件費(経費)として計上できます。

コロナ禍以降、求人広告を掲出しても飲食店のアルバイトやパートが集まりにくい傾向が強くなっています。飲食店の人手不足を解消し、省人化や売上の向上にもつながるのが、飲食店のためのモバイルオーダーシステム「食べログオーダー」です。

「食べログオーダー」を使えば、顧客は、店舗の用意したQRコードをスマートフォンで読み込むだけで商品を注文できます。アプリをダウンロードする必要はありません。さらにQRコードの読み込みで表示されるメニューの注文画面には、店舗が推したいトッピングやドリンクメニューなどをあわせて表示できるため、売上のアップも期待できます。会計時には、顧客がスマートフォンで会計を依頼したり、オンライン決済したりすることが可能で、店舗内のオペレーションがスムーズになります。「食べログオーダー」を導入したある飲食店からは「ホールスタッフ一人分の戦力になり、深刻だった人手不足が解消された」との感想が寄せられています。キャンペーン期間中は3か月間の月額利用料と機器代がともに無料で、試用することも可能です。


水道光熱費

水道光熱費は水道代・電気代・ガス代といった、公共機関から提供されるサービスにかかる費用のことです。飲食店は業種柄、調理に多くの水道光熱費がかかるため、ほかの業種に比べて請求額が高くなる傾向があります。飲食店の場合、水道光熱費が売上に占める適正な割合は5%~10程度とされおり、業態やその時期にガス/電気料金事情により変動します。

材料費

フードメニューやドリンクメニューを提供するための原材料となる食材費や酒類の費用も経費として計上できます。飲食店では人件費と並んで多くの費用がかかるのが材料費です。ただし、確定申告で経費として計上できるのは、前年度からの在庫と、当該年度に仕入れた材料から使用しなかった分を差し引いた金額です。経費の二重計上を防ぐために、この計算を忘れてないようにしましょう。

消耗品費

消耗品は、飲食店の店舗運営に必要となる文房具や、キッチンで使う衛生用手袋、テイクアウト用のレジ袋などで、原則1年以内に使い切ってしまう、10万円以下のものです。消耗品の購入にかかる費用が消耗品費です。何が消耗品に該当するのかは業種によって異なります。確定申告の際には、備考欄に消耗品の品目名を記載しておけば明細がわかりやすくなり、領収書やレシートとの突合時に便利です。

固定費

変動費が売上の増減によって金額が変わる費用であるのに対し、固定費は売上の多寡にかかわらず、毎月一定の金額が発生する経費のことです。店舗の家賃や設備・器具のリース費、通信費などが該当します。

家賃

家賃は、一般的な飲食店にとって人件費および材料費に次いで大きな金額のかかる経費です。店舗の賃料は通常、毎月決まった金額の支払いが求められます。駐車場が付いている場合は、駐車場の賃料も家賃と同様に経費として計上できます。住居との一体(併用)型店舗の場合には、一般的に床面積などで按分し、飲食店として使っている部分のみを経費として計上します。

設備・器具のリース費

店舗運営のための調理器具や設備をリースしている場合には、リース料を経費として計上できます。通常、毎月決まった金額をリース会社へ支払うと考えられるため、固定費に分類されます。飲食店の場合、リースできる設備や器具は業態によって異なりますが、製パン機や製麺機なども含まれ、さまざまなものが該当します。

通信費

店舗経営のために定額のブロードバンドやモバイルインターネットなどを契約している場合には、毎月決まった通信費を支払う必要があります。このような場合の通信費は経費として計上できます。

その他

そのほかにも一時的に発生する広告宣伝費や、調査目的で使用した交通費、飲食費、取引先への接待費、会議費、会議時に手配した5,000円以下の飲食代など、店舗を経営するうえで必要不可欠だと判断される費用は経費と見なされます。経費であるかどうかの判断基準は、店舗の売上に有用なものかどうかという点にあります。そのため売上に必要な活動として使用したことがわかるよう、「いつ」「誰が」「どのような理由で」「何に対して」金銭を使用したかを、第三者が見てもすぐにわかるよう、記録を残しておくことが重要です。

まかないは経費になる?

店舗が従業員に提供しているまかないを経費として計上できるか否かは、どのような形で提供しているかによって異なるため、注意が必要です。まかないを無料で提供している場合は「給与」として計上します。給与であるため課税され、従業員から源泉徴収する必要があります。無料ではなく、例えば従業員がまかない費の半額以上を自己負担で支払っており、かつ店舗側の補助金額が1か月3,500円(税抜き)を超えない場合には、従業員のための「福利厚生費」とされ、経費として計上できます。ただし、3,500円を1円でも超えた場合には、超えた部分だけが給与扱いになるのではなく、全額を給与として扱わなければなりません。まかないの経費計上には、こうした細かな条件があることを把握しておきましょう。

飲食店における経費の平均

飲食店における平均的な経費の割合は売上の60%から75%だとされています。だいたいの目安として人件費が25~30%以内、家賃が10%以内、材料費が30%以内、水道光熱費が5%以内、消耗品と通信費で5%程度という内訳です。経費の割合を把握することは、利益が出る損益分岐点を出すためにも必要です。

経費の削減方法

飲食店における主な経費

飲食店の経費は大きく変動費と固定費とに分けられます。

変動費

売上に対して、思ったよりも経費の割合が高い場合には、経費の削減を考える必要があります。すぐに売上を伸ばすことはかなり困難ですが、経費の削減であれば、すぐに着手することが可能です。固定費と変動費とでどのような経費削減方法があるのかを見ていきます。

固定費

変動費に比べれば、固定費の削減は難しいですが、それでも工夫次第で可能です。

家賃

毎月発生する家賃は、管理会社や大家さんに対して、例えば長期契約をすることで減額できないかといった交渉をすることも選択肢のひとつです。賃貸する側にとっては、長期でテナントが入ることで安定した家賃収入を得られることになります。長期契約による減額交渉は貸し手にも借り手にも好都合の可能性が高いと考えられます。

設備・器具のリース費

設備・器具のリース費用は、より費用の安い会社へ乗り換えるか、または現在の契約先にほかの会社への乗り換えを検討していることを提示し、値引交渉をするといった方法が考えられます。設備・器具は調理に必要で毎日使うものが多く、他社と比較せず、最初に契約したリース会社との契約を継続しがちです。しかし、常に他社の価格や設備・器具と比較することを忘れず、よりリーズナブルな条件で契約できるリース会社があれば、乗り換えを検討すべきです。

通信費

通信費は、来店する顧客へのサービスとしてフリーWi-Fiを提供している店舗の場合、低速なWi-Fiに乗り換えることには躊躇があるかもしれません。しかし、他社への乗り換え優遇が実施されていたり、長期割引プランが設定されていたりする場合もあることから、より割安なパッケージに変更すれば、費用を抑える余地はあります。

変動費

固定費に比べると、変動費は自店でコントロールしやすい費用です。しかし、変動費を削減する際にはサービスの質を低下させないよう配慮する必要があります。

人件費

人件費は売上の25~30%程度に達する、経費としてはかなりの割合を占める費用です。人件費を削減すると、店舗オペレーションに悪影響が出る可能性が高いことが悩みどころです。コロナ禍が長引く昨今ではどの業界も人手不足の影響で、求人広告の効果がなかなか得られないという悩みも出てきています。人手不足の解消に役立つのが、オーダーから決済までをひとつで完結できるシステムを導入することです。ホールのオペレーションを効率化し、顧客満足度を上げながら、人件費の圧縮を図れます。国内最大級のグルメサイト「食べログ」が提供する、POSシステムとの連携も可能なモバイルオーダーシステム「食べログオーダー」は、オーダーから決済までに対応しています。詳しい内容は下記をご覧ください。


水道光熱費

飲食店は他業種に比べて水道光熱費が多くかかる業種であり、節約したいポイントです。調理そのものにかかる水道光熱費を下げるのではなく、例えば、キッチンやホールの照明を消費電力効率のいいLEDライトに変更したり、電源タップにスイッチが付いた製品を採用して待機電力の消費を防いだり、夏はブラインドで日光を遮り、ホールの温度が上がるのを防いだりなどの工夫をすることで、費用を下げられるように努めます。

材料費

材料費は人件費と並んで大きな割合を占める経費ですが、材料費の削減は、提供するフードメニューやドリンクメニューの品質に直接影響するため、顧客満足度の低下を招きやすく、慎重に行う必要があります。普段の仕入れ先と材料価格の交渉をする、別の仕入れ先を開拓する、店舗のコンセプトから逸脱しない範囲で廉価な食材を使ったリーズナブルな価格の商品を開発するといった施策で経費を削減しつつ、顧客満足度の低下を抑えることができると考えられます。

そのほかにも、材料を仕入れに行くための交通費や手間の削減といった方法も考えられます。仕入れにかかる交通費・手間を節約するためには、スマートフォンからオーダーできる「食べログ仕入れ発注」が有効です。在庫を見ながら発注することができ、食品ロスも防げます。くわしくは下記をご覧ください。発注を体験したり、発注書のサンプルを見たりすることも可能です。


設備機器の修繕費

調理設備や機器の修繕回数が多いようであれば、エネルギー効率のいい新しい機器に交換するなどといった工夫を行えば、節約につながります。

まとめ

飲食店における経費の種類や、経費と判断される基準を把握することは、健全な店舗経営を目指すうえで重要です。確定申告では、飲食店ならではの経費計上項目がある点には注意する必要があります。どのような項目にどのぐらいの割合の経費がかかっているかを明らかにすることは、適正な売上目標を立て、経費削減を行うためにも重要です。効果的な経費削減を行い、利益の拡大につなげましょう。

参考URL

飲食店経営のオーナーが落とせる経費項目一覧!【元国税局職員監修】 – キクログ
飲食店が経費で落とせるのは何? 確定申告の時期に確認しておきたい経費項目 | 飲食店経営PRO
飲食店の人手不足は“後遺症”、コロナ禍で痛めつけられた非正規社員は戻らない | Business Insider Japan
飲食店の人手不足はどうなる!?アルバイト市場動向から見る採用戦略|みんなの採用部
飲食店が知っておくべき経費削減基礎知識!具体的な経費削減のアイディアも|Food's Route Magazine
飲食店の経費の一般的な割合は?コスト削減するためのテクニックも|AIG損害保険株式会社
飲食業の経費はどのくらいが適正? | 自己資金なしで開業 | 融資を日本政策金融公庫の借入れ
飲食店の確定申告は経費がカギ!項目まるっとご紹介! | 電力・ガス比較サイト エネチェンジ
知っておきたい!飲食店経営にかかる経費|税理士法人Bricks&UK
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飲食店における「変動費」「固定費」とは?変動費と固定費を削減する取り組みについて解説 | 飲食開業のミカタ
飲食店経営の要点。変動費・固定費それぞれのコスト削減方法|フーズチャネル
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飲食店での経費とは?種類や経費で落とせるもの・落とせないもの | フランチャイズの窓口(FC募集で独立開業)

監修者:丸山 理

プロフィール

行政書士丸山理事務所 代表 行政書士・顧客心理士・銀行融資診断士 1997年10月より横浜市内飲食店勤務、店長としてアルバイト100名を率い、年商3億円を達成。2011年10月からは東京都内居酒屋チェーン勤務し、店舗開発・店舗マネジメントに従事。2018年12月、行政書士丸山理事務所開業独立開業以来、数多くの飲食店顧問として業務に従事。事業再構築補助金・小規模事業者持続化補助金・神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金等採択実績多数。

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