飲食店の開業に必要な準備は?資金計画や資格、注意点を解説

飲食店を勢いだけで開業して失敗してしまうケースは少なくありません。
この記事では、飲食店を開くための基本的な流れをまとめています。飲食店経営を開業からなるべく早く軌道に乗せ、安定した状態を保つためにも、ぜひ参考にしてください。

目次

飲食店開業に必要な準備の流れ・手順

飲食店を開業するにあたっては、全くのゼロから始める場合、1年ほどの準備期間が必要です。
事業の計画をたてる構想段階から、資金調達を始め、物件の確保や資格取得、関係各所への申請など、それぞれの手続きにはそれなりの時間がかかります。

事前にしっかりと準備をしておくことが店舗経営を早く軌道に乗せるための大事なポイントになります。各ステップの詳細と、実施時期の目安を解説します。

コンセプトを検討する

まずは、「どのようなお店にするのか?」というコンセプトの検討から始めます。
コンセプトをしっかりと固めておくことは、とても大事であり、明確に決まっていないと経営方針にブレが生じます。
この作業は開業の6カ月前までに終わらせるべきです。一番大切な部分なので、必要な時間を十分にかけて決めていきましょう。

どのようにコンセプトを決めれば良いのか、悩んでしまう場合は「5W1H」を基礎として考えてみると良いでしょう。
「何を、誰が、いつ、どこで、なぜ、どのように」といった6つの要素に分けて考えることで具体的なコンセプトが見えてくると思います。

  • 何を:どのようなメニューにする? ジャンルは?
  • 誰が:ターゲットとなる客層は?
  • いつ:営業時間は? ランチ? ディナー?
  • どこで:駅チカにする? 住宅街にする?
  • なぜ:どのような目的で使う? デート? 飲み会?
  • どのように:内装や雰囲気は? 業態は?

繰り返しますが、開業してから軌道にのるまでの時期に焦らず、ブレずに営業していくためにも、お店のコンセプトをはっきりとさせることが大切です。

参考:失敗しない飲食店の出店計画! 出店までの流れや立地選びのポイントを解説

事業計画を作成する

飲食店を始めるには、開業資金や運転資金など、場合によっては1,000万円以上の費用がかかります。安定した経営状態を保つためには、収支予測などを含む事業計画をしっかりと検討し、作成する必要があります。
この作業は開業5カ月前を目安に行い、開業準備が進むごとに、常に整合性を確認していくべきです。

作成した事業計画書は金融機関から融資を受ける際にも必要になる重要な役割を担うものです。
融資を見据えて事業計画書を作成する場合は、それぞれの金融機関のフォーマットを早めに確認しておきましょう。

参考:飲食店の開業に必要な資金はいくら? 費用の内訳や調達方法

店舗を選定する

飲食店開業までのプロセスで、最初にやってくる大きな決断が店舗物件の決定です。

まず、コンセプトをもとに雰囲気や予算の合う店舗を探します。
ターゲットとなる客層が来店しやすい立地に絞り込んでいくことで、ある程度エリアを限定して探していきましょう。
不動産会社のWebサイトの情報を常に確認しつつ、実際に候補となるエリアを自分の足で歩き、地道に募集の張り紙のある物件を探すことが重要です。

内覧をする際に、内外装工事の際の問題点や予算感を掴むために、常日頃から相談できる施工業者を確保しておくことも重要です。
物件探しから契約に至るまでのプロセスは、開業6カ月前から4カ月前までに済ませておくと良いでしょう。

参考:飲食店の店舗物件探しの方法やコツとは? 注意点もあわせて解説

資金を確保する

飲食店を開業するには、まず開業に必要な資金を用意する必要があります。開業5カ月前を目安に行います。
日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、飲食店開業時における平均資金調達額は1,194万円、そのうち金融機関等からの借り入れが平均825万円、自己資金が平均266万円です。

近年は開業費用が少額化の傾向にありますが、それでも一般的に1,000万円程度の初期費用が必要になるとされており、自己資金のみでの開業はハードルが高く感じられます。
自己資金が用意できない場合は、融資や補助金制度の活用も検討する必要があるでしょう。

開業資金や各種補助金に関する詳細は、後に詳しく解説します。

参考:飲食店の開業に必要な資金はいくら? 費用の内訳や調達方法

店舗を準備する

資金調達に動くよりも先に、店舗の候補となる物件探しに着手しましょう。
選ぶ物件によって、必要となる金額が大きく変わるためです。

また、店舗の準備には、コンセプトに沿った店舗の設計・施工やメニュー開発、レイアウトを考慮した設備や備品の準備など物件が決定したと同時に即座に始めるべきことが多くあります。
店舗の内装・外装における設計から施工に至るまでのプロセスは、開業4カ月前の時点で、ある程度イメージしておきましょう。

物件を内見してから契約するかどうか決断するまでの間でおおよその予算だけは把握し、物件が決定したらすぐに設計と施工に入ることになるので、そのスピード感が非常に重要です。
トラブルを防止するためにも、内装業者・設計士・デザイナーにはコンセプトや要望を明確に伝え、すれ違いのないようにしなければなりません。
施工費用は、お店の業態によって変わるほか、スケルトン物件か居抜き物件かによっても大きく異なることを念頭においてください。

メニュー開発において押さえるべきポイントとしては、

  • 「店舗の立地(エリア)やターゲットとなる客層との乖離がないか」
  • 「原価をどの程度に設定するか」
  • 「調理スタッフの工数は適正にできるか」

といったことが挙げられます。

メニューは、遅くても開業3カ月前までに決まっているべきで、契約し確定した店舗物件とミスマッチがないか見直していくべきでしょう。
また、開業3カ月前から2カ月前までに厨房の設備や備品などを下調べ、もしくは調達しておく必要があります。
設備・備品の詳細に関しては後で紹介します。

各種手続きを行う

飲食店開業には、業態により省略できるものもありますが、基本的には「食品衛生責任者」「防火管理者」の資格を取得する必要があります。
また、警察署、税務署、保健所の3カ所へも届出を提出しなければなりません。届出や資格に関しては、後ほど詳細を解説します。

参考:飲食店の開業に必要な資格、許可と届出を徹底解説

人材を確保する

スタッフの採用・教育を始めるタイミングは開業1カ月前あたりが目安です。
調理スタッフには調理方法や盛り付け方、ホールスタッフには接客の指導を行い、ベストな状態でオープンできるよう調整しましょう。
また、資料を事前に配布したり、簡易でも作業の工程やレシピがわかるようにしたりしておくことで、教育期間を短くでき開業資金の節約となります。

もちろんベストなのは、マニュアルが作成されてあることです。
従業員の能力は、飲食店での勤務経験の有無、年齢、性別、習得してきたスキルで、それぞれ違います。
マニュアルには誰にでも再現できる内容を記載した上で、定期的に見直しを実施して提供する商品・サービスのクオリティーを維持していきましょう。

集客施策を検討する

人材を確保できたら、集客施策を検討しましょう。
まず、ターゲット層を明確に特定し、その層に合わせた集客施策を検討する必要があります。
SNSを活用したプロモーションや、チラシの作成・配布、グルメサイトへの登録など多角的なアプローチが効果的です。
集客戦略は一度設定したら終わりではなく、継続的にデータを分析して効果的な手段を見直し、調整していく必要があります。

また、無料で出来る集客施策として食べログ店舗会員登録もおすすめです。営業時間やメニュー、コースなどの情報をお客様に届けることができます。


店をプレオープンする

本格的な開業の前にプレオープンによってテストを実施してから本番(グランドオープン)に臨むことをおすすめします。
実際に営業してみると、足りない備品が発覚したり、予想外のトラブルが起こったりすることが多くあります。グランドオープンの際に慌てることなくオペレーションができるよう課題を洗い出しておくためには、プレオープンでの検証が必要です。

また、プレオープンの目的は本番のシミュレーションとトラブルシューティングが目的で、レセプションや宣伝の意味を合わせ持つことはとても危険です。ここはしっかりと目的を分けて実施しましょう。

参考:飲食店のイベント・キャンペーンアイデア! 面白い例や集客のコツ

飲食店の開業に必要な資格

飲食店を開業するには、いくつか取得すべき資格があります。代表的な資格や認可としては、食品衛生責任者や防火管理者などが挙げられます。

食品衛生責任者

飲食店を営業するのなら、店舗に1名の食品衛生責任者を配置しなくてはなりません。
飲食店営業の許可を取得するにも、食品衛生責任者を届け出る必要があります。

食品衛生責任者の資格を取得するには、都道府県知事等が実施する講習会を受講しなくてはなりません。
ただ、栄養士や調理師、製菓衛生師など法律で定められた資格を取得している者に関しては受講が免除されます。

防火管理者

飲食店の規模によっては、防火管理者を配置する必要があります。
従業員を含め収容人数が30名以上の店舗には、防火管理者を配置しなくてはなりません。

防火管理者の資格は、所定の講習を受講し修了試験に合格する必要があります。
なお、開業する店舗の面積によって、受講する講習の種類が変わるため注意しましょう。延床面積300平米以上なら甲種、300平米未満なら乙種の防火管理講習を受講します。

参考:飲食店の開業に必要な資格、許可と届出を徹底解説

飲食店開業に必要な資金の目安

飲食店の開業に必要な資金としては、主に物件取得費用と設備投資用が挙げられます。
また、当面の事業を継続するため、一定の運転資金も準備する必要があります。コンセプトや条件によってはこれら以外にも資金がかかる可能性を考慮に入れなければなりません。

初期投資資金

店舗物件を確保するためには不動産関連の資金が必須です。
これは「物件取得費用」と呼ばれ、物件の契約時に必要となります。その中でも最も大きな割合を占めるのが保証金(敷金)です。
店舗保証金は家賃の3~12カ月分と物件によって大きく異なります。
また、その他に礼金や不動産会社への仲介手数料、居抜き物件の場合は造作譲渡代などがかかります。

また、営業にあたっての設備投資用の資金も必要です。
最も高額なのは、内装外装の施工費で、それに続きエアコンと厨房機器があります。
さらにイスやテーブルから調理器具など店舗環境を整えるための費用が含まれます。

具体的に、どれくらいの初期資金があれば飲食店を開業できる、と断言するのは困難です。
ただ、その気になれば自己資金100万円でも開業は可能です。
もちろん、100万円だけでは物件の取得や設備投資はできません。ですが、100万円を自己資金として貯めた実績をアピールし、金融機関からより大きな融資を引き出すことは可能です。

100万円をコツコツ貯めるのは、誰にでもできることではありません。
金融機関の担当者から、計画性があると判断され、審査が有利になる可能性があります。
実際、自己資金100万円から飲食店を開業した事例はあるため、貯蓄が少ないからといって諦める必要はありません。

運転資金

店舗営業を維持しつづけるためには、運転資金が必要です。
運転資金には家賃などの店舗維持関連の費用や人件費や人材確保関連の費用、食材などの原材料費や、広告宣伝費などが含まれます。

飲食店開業から軌道に乗るまでの間、少なくとも半年間は赤字になることを想定して、約6ヶ月分の運用資金を準備しておくと、不測の事態が起こっても焦らずに対処できます。

飲食店開業に関連する補助金

飲食店の開業に関連する補助金は、さまざまな種類があります。
ここでは主な補助金として「小規模事業者持続化補助金」および「事業再構築補助金」の詳細を紹介します。
他にもIT導入補助金などがあるため、対象となるものがないか必ず確認しましょう。

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者の販路開拓や業務効率化などを支援するために支給される補助金で、事業を継続させるために必要となる経費の一部が補助の対象となります。
補助上限は基本的に50万円ですが、特別枠などに該当する申請者はそれ以上の補助があります。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営状況が変化した中小企業などを支援する補助金です。
名前が表すように事業再構築にフォーカスされており、新分野展開や事業転換、事業再編といった取り組みをする事業者が対象です。
ポストコロナ・ウィズコロナを見据えた制度で、飲食店経営者も利用可能です。

参考:飲食店の開業に必要な資金はいくら? 費用の内訳や調達方法

飲食店開業に必要なもの

初期投資資金や運転資金と並んで必須となる設備や備品、資格について、解説します。

設備・備品

どのような設備・備品が必要なのかはお店のコンセプトやメニュー、その提供方法によって大きく変わります。
オープンの際に必要な設備・備品が完全に整っていないとオペレーションに大きく支障をきたす場合もあるため、事前にチェックリストを作成しておくと良いでしょう。

また、設備を選ぶ際は、製品の規格、スペックなど十分に検討して決定してください。
開業早々の買直しや変更は、大きなロスになります。特に多いのが設備品のサイズが1cm大きくて、その場所に入らないといった小さいミスです。

厨房機器

一般的に厨房で必要とされる設備には、ガステーブルや食器棚、冷蔵庫・冷凍庫などが該当します。
物件が決まる前の構想段階で調理に必要な厨房機器は、あらかた決まってくると思いますが、最終的に物件が決まらないと、サイズやレイアウトの都合で使用できるかどうかはわかりません。
常にいろんな製品の情報を持っておき、物件が決定した瞬間に手配できるようにしておきましょう。

ガステーブル・オーブン

多くの飲食店において必要な設備となるのがガステーブルやオーブンといった熱器具です。
ガス台に関しては火口がいくつ必要か、作業工程に適した高さはいくつか、といったこと規格・配置での違いでスタッフの疲労度が変わり労働環境に大きく影響してきます。

また、オーブンを併設しているガスレンジの方がいいのか、同時に調理をするメニューは何かによっても、作業効率は変わりますので、メニュー構成をもとにじっくり検討していきましょう。

食器棚

食器棚は顧客に提供する食器を収納するだけでなく、調理器具を衛生的に保管する役割もあります。
店舗を構えるエリアの保健所の規定に沿う必要があるため、「好みのものをなんとなく」選んではいけません。
地域によって規定は異なりますが、基本的には下記のポイントを満たすことを心掛けておいた方がいいでしょう。

  • 扉付き
  • 防錆加工済
  • 掃除がしやすい
  • 全ての食器を収納できる
コールドテーブル・作業台

調理用の作業台も必須です。
作業台の下が冷蔵庫や冷凍庫になっているコールドテーブルを設置することで、スムーズな動線を確保しつつ、スペースを有効に活用できます。

冷蔵庫・冷凍庫

コールドテーブルとは別に縦型冷蔵庫・冷凍庫があった方が衛生面でも冷却効率の点でもいいでしょう。
規模や業態などに応じて、適切な容量のものを購入することで、買い直しやレイアウト変更がないようにしましょう。
温度計で常に庫内の温度を管理することも保健所の検査で確認されます。

製氷機

飲食店ではドリンクなどで氷を使う場面が数多くあります。
また、仕込んだ食材を冷ますためにたくさんの氷を使うことも忘れずに、店舗の規模やメニューなどによって、どの製氷機のタイプ・能力が適切なのかをよく検討して選びましょう。

洗浄設備・シンク

食器棚と同様にシンクも店舗エリアの保健所の規定に合わせなければなりません。
ほとんどの場合は、二槽シンクが常設されていないと保健所の検査が通りません。

また、お店の規模によっては、食器洗浄機との連結がされているシンクの方が使い勝手が良い場合もあります。
このシンクとは別に手洗い用のシンクも必要ですので、忘れないようにして下さい。

ホール

ホールの備品や設備はお店全体の雰囲気を左右します。
機能面だけに気を取られることなく、統一感が出せるよう、コンセプトに合ったテイストの備品を調達することも重要です。

椅子やテーブル

ターゲットとなる客層にどのように過ごしてもらいたいかを具体的にイメージすることによって、候補となる椅子やテーブルは絞り込まれると思います。

居心地はそこまで重視せず回転率を上げたいのであればカウンター席で椅子の数を増やす、逆にゆっくり過ごしてもらいたいのであれば座り心地の良い椅子や広めのテーブルを用意する、といったようにお店のコンセプトを判断基準として一貫して選定するとスムーズに決められるでしょう。

テーブルウェア

食器やカトラリーなどもコンセプトを基準に判断することがベストです。
しかし、椅子やテーブルと違い、テーブルウェアは備品の中でも破損率が高いもので、一般的に高価なものは壊れやすく、良いものを採用すれば買い替える頻度が高くなります。

反対に、壊れにくいものや扱いやすいものはビジュアルや質感の面で相当劣ることになります。
その両方の特性を考慮しつつ、決定しましょう。

食器の数は、一般的には席数の2倍弱程度が必要とされていますが、汎用性の高いものや目玉商品となるメニューに使われるものは、それより多めに用意していた方が安心かもしれません。

清掃・衛生用品

飲食店を営業する上で、厨房や客席、トイレ、床、窓ガラスなどを掃除するためのほうきやモップ、雑巾などの清掃用品が必要です。
また、除菌剤やアルコール消毒液、漂白剤などの衛生対策用品は必須です。

清掃用品は一般家庭と比較にならないぐらい使い込みますので、耐久性があるかどうかはいつも以上にチェックして購入しましょう。
感染症の防止や食中毒予防のためにも普段から衛生対策用品は切らさないようにストックしておきましょう。

決済端末・レジ用品

レジ周りで必要な備品は主にレシートロール紙やカルトン(つり銭受け皿)、伝票(挟み)、電卓などです。
クレジットカード決済やキャッシュレス決済にも対応できるよう、専用端末も用意しておくと便利でしょう。
また、POSレジなどを利用する場合は、無償で設置してくれることもありますので、確認してみましょう。

その他

その他にもお客様に快適に過ごしてもらうために、必要な設備やそれに関連したものは多くあります。
「冷暖房の動作に問題はないか」「音響システムに問題はないか」「照明は店舗のコンセプトに合う明るさか」「Wi-Fiなどのインターネット回線は導入しているか」など、必要に応じて設備・備品を用意しましょう。

資格・届出

飲食店を開業するにあたって最低限必要となる資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2種類です。

「食品衛生責任者」の資格はイートイン業態の場合、食品営業許可申請をする際に必要です。
店内の衛生管理とスタッフへの衛生管理指導を行う立場で、飲食店で働く従業員のうち1人以上は必ず取得していなければならない資格とされています。
取得費用は一般的には1万円ほどですが、地域によって異なるため店舗を構えるエリアが管轄の保健所に確認しましょう。

「防災管理者」の資格は収容人数が従業員を含めて30名を超える店舗を運営する場合に必要です。
消防署で講習を受けることで取得できます。
費用は3,000円から5,000円が一般的ですが、食品衛生責任者の資格と同様、地域によって異なるため事前に確認しましょう。

他にも、開業するにあたって保健所や税務署、消防署、警察署などに届出の申請が必要です。
個々の業態や店舗を構えるエリアによって変わります。失敗を避けるためにも、どの届出を申請する必要があるのか、事前に確認しておきましょう。

参考:飲食店の開業に必要な資格、許可と届出を徹底解説

飲食店の開業に必要なスキル・能力

飲食店を開業するだけならそれほど難しくはありません。
しかし、開業した飲食店を軌道に乗せ、ビジネスとして成功させるには資金調達力やマーケティング力、コミュニケーション能力、メニュー開発力などさまざまなスキルが求められます。

資金調達力

どのような業界であっても、ビジネスには資金が必要です。
飲食店を開業するにあたっても、開業資金や当面の運転資金を用意しなくてはなりません。
一般的に、これらの資金は自身で賄うのではなく、金融機関から融資を受けるケースがほとんどです。

融資を受けられないとなると、ビジネスを始めるどころか開業すらできないかもしれません。スムーズに融資を受けられるよう、漏れなく準備を進めておきましょう。
日本政策金融公庫のような国の金融機関から融資を受ける場合、綿密な事業計画書を作成し審査を受ける必要があるため、入念な準備は不可欠です。

マーケティング力

ビジネスで成功する人は、例外なくマーケティングの重要性を理解しています。
どれほど素晴らしい商品やサービスを扱っていても、それを売る力、売れる仕組みを構築できるスキルがなければビジネスは成功しません。

マーケティングの重要性や必要性を理解せず、集客にも力を入れないような状態では、飲食店を開業しても繁盛しません。
繁盛する飲食店を営業したいのなら、集客手法やリピーターを増やす具体的な方法などに意識を向けなくてはなりません。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力が低いと、採用した従業員たちともうまく意思疎通ができないおそれがあります。
人間関係が悪化し、従業員が次々と入れ替わるといった状況にも陥りかねません。また、仕入れ先と交渉し、自社に好意的な条件で仕入れを行うにも優れたコミュニケーション能力が求められます。

ビジネスで成功するには、顧客のニーズを正確に把握しなくてはなりません。
そのためには、顧客に寄り添う姿勢と、コミュニケーションを介して要望を正確に抽出できる能力が必要です。

メニュー開発力

繁盛店を目指すのなら、メニューの開発にも力を入れる必要があります。
人気店へ積極的に足を運び、味や盛り付けを研究する姿勢、努力が必要です。

食材など原価にお金をかければ、安い食材よりも美味しい料理は作れます。
ただ、コストパフォーマンスを度外視したメニューは経営を圧迫するおそれがあります。
提供金額から原価を逆算し、限られた金額で美味しく、なおかつ利益率の高いメニューを開発できるスキルがあれば、繁盛店への道のりは遠くありません。

飲食店の実務経験

実務経験がないまま飲食店を開業するのはリスキーです。
脱サラして飲食店を開業するのなら、まずは飲食店で実務経験を積みましょう。

アピールポイントになるほど十分な実務経験を積めば、経験が浅い20代の若者であっても、取引先や顧客からの信頼を獲得できます。
実務経験を積むのなら、いずれ自身が開業したいと考えている飲食ジャンルのお店がおすすめです。

まとめ

飲食店の開業を成功させるには、漏れなく準備を進めるだけでなく、資金調達能力やコミュニケーション力、マーケティング力なども求められます。
必要な資格や届出も把握し、注意点も踏まえた上で開業の準備を進めていきましょう。

参考文献

飲食店を開業するにはどんな準備が必要?開業資金についても解説!|Money Forward クラウド株式会社|株式会社マネーフォワード
飲食店を開業は何歳でもできる!年齢別開業ポイント|油そば ぶらぶら|株式会社 高関食品
よくある質問|コロンブスのたまご|株式会社コロンブスのたまご
小さい飲食店を開きたい!開業までの準備を細かく紹介!|UCC|フーヅフリッジ株式会社
独立して飲食店を開業するのに向いている人、向いていない人とは?|ご贔屓ナビ|花王プロフェッショナル・サービス株式会社
飲食店開業に必要なこととは?スキルや資金調達・開業の手順と注意点|創業手帳|創業手帳株式会社
防火管理講習|一般財団法人 日本防火・防災協会
小さい飲食店を開業するために必要な準備・資金は?成功させるためのコツもご紹介|ペイサポ|三井住友カード株式会社
食品衛生責任者について|一般社団法人東京都食品衛生協会

監修者:太田とよしき

プロフィール 株式会社パディーズの代表。20歳より大手飲食チェーンにて店長職につき、エリアマネージャー、県内の統括責任者を経験。
その後、新規事業開発部への所属となり、外食産業の新業態の開拓、商品開発、人材教育を担当した後に退職。
海外の16都市にて飲食ビジネスを勉強したのち、恵比寿にて独立開業し、2年目に年商6000万を達成する。 多店舗展開しながら兼業で飲食店コンサルタントを開始。
2022年4月に飲食事業を売却し、現在は飲食系のコンサルタント業に専念し、新規開業のサポートを数多く手がけている。

noteにて、ブログと音声メディア『ラジオ開店準備中!』を配信中。
サイトURL https://toyoshiki-ohta.com 

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